私が転生したのは腐女子に優しい世界でした

支倉りおと

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BLは私の生きがいだ

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 私は自他共に認める所謂、腐女子ってやつで三度の飯よりBLの妄想に事欠かなかった。
 
 もともとオタク気質だった私がBLの世界に目覚めたのは、JK時代に仲よくなった友達に見せて貰ったある一冊のBL本。
 とても切なく人にはなかなか言えない関係、そしてじれじれの内容に、私はその世界に瞬時に開花した。
 私が求めていたものはコレだと。

 それ以降、私が興味を惹かれるのはBLばかり。
 街を歩いていても、学校やそれこそ就職してからは職場でもカップリング妄想が止まらない。
 
 今日も私が働く会社、私が所属している部署のイケメン若手のホープの課長と同僚の可愛い系後輩の絡みを見守る仕事がメインで、その片手間に本業をしている状態。
 あ、今日も課長は麗しいし後輩君もワンコ系でとても可愛い。
 
 なになに?今日は後輩君何をしでかしたのかな?朝イチで課長といちゃいちゃしていてオイシすぎる。
 おっと、涎が。これは失敬。
 あまりガン見がすぎると気づかれてしまうのでチラ見を心掛ける。
 
 あともう一組気になっているのは、私の同期の2人。
 俺様の体育会系男子と美人で儚い系の2人。私としては体育会系男子攻めは王道でオイシイのだが、彼らで妄想する時は美人攻めが私の妄想力を掻き立てる。
 あんなキレイな人に攻められるなんてじつにいい。羨ましいぞ!!

 おっと、妄想はこのくらいにして今日の仕事に身を入れないと定時上がりに間に合わなくなりそうだ。

 一旦妄想をやめ仕事に集中した。
 

 その日も仕事に集中しながら彼らの動向に気を配り、妄想は止められないが、なんとか定時で私は仕事を上がる事に成功した。


「すみません、今日はお先に失礼させていただきます」

 そう課の人たちに声を掛けると私は急いで更衣室へ滑り込むと、制服から私服に着替えると飛び出すように会社を後にした。

 帰宅途中にある行きつけの書店に飛び込むと、待ちに待っていた作家さんのBL本をこれでもかと買い漁る。
 二重にして貰った紙袋いっぱいの戦利品にホクホク顔で私は今日の目的地である行きつけのbarへ向かった。

 

「いらっしゃいませ」

  
 少し薄暗く雰囲気の良いbarにはイケおじなバーテンダー兼オーナーと20代前半の猫系美人のバーテンさんがいる。
 初めてこの店に入った時あまりに私の性癖を刺激するので、それ以降の常連になっている。

「また来ちゃいました。今日もいつものお願いします」

 そう言うと、この店にくるといつも座るカウンターの隅を陣取る。
 荷物を置くとカウンターにある高めの椅子に腰かける。ブックカバーを掛けて貰った新刊を一冊取り出すと、頼んだお酒が出されるのを待つ。

 持ち込んだ本の世界に入り込む前に出されたお酒を前に私は頭を捻る。

「あの?私コレ頼んでませんけど?」
 
 怪訝な顔をする私に、オーナーが

「今日は、お誕生日でしょう。だからこれは僕からのお祝いだよ」

 オーナーから聞くとそれは私の誕生日酒のラズールリッキー。とても綺麗で海のような青いカクテル。
 青いのに味はグレープフルーツなんて変わってるよね。
 ソーダで割ってあるのでとても飲みやすい。これから毎年誕生日がくるたびに飲むことになりそうだ。
 今日で私は30歳。この歳になると誕生日なんておめでたい物でもなんでもないけれど、お祝いしてもらえるのはなかなか嬉しいものだね。
 まぁ、私の場合BLと妄想が友達でリアルの恋愛に全く興味がないから私はこのままおひとり様街道を爆進する予定だ。
 

 それからオーナーと少し話して、何杯か飲むと良い感じに酔えたので私は帰宅することにした。

 立ち上がった時に少しふらついていたからオーナー達は少し心配していたけれど、大丈夫だと言って店を出た。

 店を出て、最寄り駅へ向かう途中の歩道橋を上ると空に綺麗な満月が浮かんでいた。

「キレイ」

 暫く月の美しさに魅入られてぼんやり立っていたが、帰宅途中なのを思い出して私は駅へと急いだ。

 下りの階段に差し掛かった時に、前からやって来た人をよけ切れず少し接触してしまった。
 あ、と思っていたら手に持っていた本の重みで体がぐらついたと思ったら次の瞬間感じた浮遊感と落下する体感に思わず手すりに手を伸ばすが、その手に手すりを掴むことは出来ず私はそのまま歩道橋から落下した。

 
 遠くなる意識の中私の覚えている最後の記憶はこれだった。


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