私が転生したのは腐女子に優しい世界でした

支倉りおと

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ヒロインはやっぱり最強だと思う。

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 一年生の昇降口でお兄ちゃんから連絡を貰って、私とお兄ちゃんが来るのを待っててくれたふーちゃんを回収して、お願いして来てもらった進藤家の車で佐々倉家まで送って貰った。

 進藤家に長く勤めていて、なっちゃん専用の運転手さんの田中さんとは顔なじみだ。
 なっちゃん専用なのに主を置き去りにしていいのか?そこは疑問なんだけど、田中さんはなっちゃんが主人のはずなのにたまにお兄ちゃんの命令を優先してくれるのがまた謎だ。お兄ちゃんは一体何者なの?

 車から降りる時に田中さんに感謝の気持ちを伝えると、田中さんからは

「陽菜様の一大事とあれば、夏月様より優先するのは当たり前でございます。お気になさらず呼び出してください」

 とてもいい笑顔で言ってくれた。

 ありがたいんだけど、なぜか解せない。田中さん主を大切にしてください。

 心配してくれていたふーちゃんとも別れ、佐々倉家へ帰ると玄関に入った途端にお兄ちゃんに抱きしめられた。

「え?お兄ちゃんどうしたの?」

 黙って私を抱きしめるお兄ちゃんにびっくりしていると、大きく息を吐いたお兄ちゃん

「はぁぁぁぁ。もう心配させないでくれよ陽菜ぁぁぁ」

 そう言うと、私の顔中にキスの雨を降らせる。
 さっきまでと態度が違うって?え?これも通常運転の範囲だよ。

 だって佐々倉唯斗は自他共に認める重度のシスコンだもの。
 普段、なっちゃんやふーちゃんの前ではこんなに暴走しないけど、私と2人きりになると多分なっちゃんよりキス魔だ。
 小さい頃からの延長であんまり気にしてはないんだけど、さすがに実の兄の暴走はそろそろ止めないとマズいよなとは思ってる。

「お兄ちゃん、もう大丈夫だから。ね、心配してくれてありがとう」

 抱きしめてくるお兄ちゃんの背中をポンポンと叩き安心させる。

「陽菜が無事でよかった。陽菜大好きだよ」

 甘々な蕩けそうな笑顔で私の頭を撫でまわすお兄ちゃん。

 なんでこう私の周りにいる男性は可愛いんだろう?私って本当にこの世界に甘やかされてるなぁ。

 



 お兄ちゃんと別れ、自室へ帰ると制服を脱ぎ、部屋着に着替えると私は自分の勉強机に向かった。

 そしてストックしてある文房具の中から一冊のなんでもないノートを取り出し。

 ページを捲ると、赤ペンを握りしめると私はスラスラと文字を書いた。


 

 僕のお嫁さんになって~君だけが僕の運命~




 これが前世の私がプレイしていたBLゲームのタイトルだ。

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