私が転生したのは腐女子に優しい世界でした

支倉りおと

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これからのイベント管理をはじめる腐女子

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 「ふぅ……」

 手に持っていたペンを机に置き、思い出せる範囲で思い出したゲームのイベントやフラグの建つ分岐点や攻略対象者の情報などを書きなぐったノートを閉じる。
 割とびっちり詰まったノートの内容に私はめまいがする。

 なんで私はゲームの世界になんかに転生してしまったんだろう。

 いや、よくある転生もののように私が死ぬような事はないからそんなに慌てる事はないんだけれど、私が今日確認出来ただけでも既に大分違うストーリー展開になりつつあることに驚愕する。

 大体、もうお兄ちゃんは中等部3年生だ!本当ならこのゲームは2年前の入学式にスタートしているはずなのにそれらしきイベントも攻略対象者との接触もあったのか怪しい所だ。
 実際3年生の今頃は選んだ対象者とラブラブ一歩手前だっておかしくはないのだ。

 本当にどうなってるんだろう?
 ここはBLゲームの世界であってるんだよね?
 今更違うと言われても、私が知る僕嫁のキャラクターは普通に存在しているし、通っている学園も東城学園と間違いない。
 何がどうなってこうなってるんだ?
 私の疑問は深くなる。

 でも・・・・

 正直私が悩んだ所で何も変わらないんだよね。

 だって私は所詮、ヒロインの妹でただのモブだ。

 その事実は変わらない。

 とにかくお兄ちゃんが幸せになる事を祈って見守る事しか出来ない。


 本当、モブってなにも出来ないんだなぁ。

 その現実に少しへこむ。

 とにかく、落ち込むのはここまでだ。

 私はお兄ちゃんと攻略対象者のラブラブスチルが見たいだけの傍観者モブだ。
 その願いの為にもお兄ちゃんには是非とも攻略対象者の誰かと恋をしてもらわねば。

 そう、こぶしを握り締めるが

 私はある事をふと思い出した。


 あれ?お兄ちゃんって男の人が好きだっけ?


 私が知る限り、お兄ちゃんはノーマルだった気がするんだけど……。

 この世界は同性同士の恋愛も結婚も何の問題もなくそれが普通の世界だ、

 お兄ちゃんは妹の私が贔屓目で見なくても、10人いたら10人がイケメンと答える程超絶イケメンだ。
 自慢だがお兄ちゃんは本当にかっこいい。妹にも優しいなんてポイント高いと思う。
 なのに、お兄ちゃんには彼女はいない。
 
 何故だ?イケメンなら女子が放っておくわけないのに。

 なんだ?この違和感は。


 ムムムムムム。

 何か引っかかっているのはわかる。わかるのに何が引っかかっているのかが思い出せない。
 
 うーん私の記憶いまいち使えない。

 しょうがないよね。完璧な記憶なんてないもの。私はどうやっても生まれてからずっと佐々倉陽菜として生きて来た。
 5歳の時に前世の記憶を思い出したからと言って、私は佐々倉陽菜であって前世の私ではない。
 記憶は共有しているけれど、私は私。佐々倉陽菜なんだ。

 
 結局私が分かった事は、この世界は前世の私がプレイしていた18禁BLゲーム僕のお嫁さんになって~君だけが僕の運命~の世界に似た現実だったと言う事。

 ゲームの中に存在していたキャラクターが現実に生きていて私の兄や隣の兄弟だった事。
 
 このゲームの内容と私が生きる現実の常識が少し違っている事。

 うん。ゲームだけどやっぱり現実なんだな。

 はぁ。やっぱり頭の中の整理は大事だね。
 混乱してばかりだとどうしていいかわからないもの。


 ま、モブの私にはこのゲーム世界の恋愛には関係ないから普通に堅実に生きてたまにお兄ちゃん達の恋愛を覗き見させて貰えれば腐女子の私が幸せな世界には違いない。

 そう、結論付けた私だった。


 
 
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