理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき

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第二章 無計画な白い結婚

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「マリアとの結婚は許さないって…なぜです!?」

卒業式の翌日、マリアを連れて城にやってきたヨーゼフは両親である国王夫妻の決定に声を荒げた。厳しい顔の国王夫妻の隣には兄である王太子にエアハルトが、そしてヨーゼフの隣にはおろおろとした愛しのマリアがいる。


「ヨーゼフ、約束を忘れたのか?クラウディア嬢との婚約を解消して婚約者とするのなら、クラウディア嬢以上に優秀でなければならないと言っただろう?」

「マリアはクラウディアの組んだひとまず王太子妃に必要な教育のカリキュラムを無事に終えました!十分に優秀です!」

「そうなのかもしれないが、対外的にはどうだ?」

「対外的…?」

「彼女は二年への進学が認められていない。つまりは留年だ。」

「留年…、留年!?」

ヨーゼフはぎょっとして青い顔をしているマリアを見た。エアハルトはため息をついてめくっていた書類をヨーゼフへと投げ渡した。

「二年への進学に令嬢たちはグループで茶会を主催することが求められる。令息たちの狩りの試験の代わりだ。そこの令嬢はグループ課題への参加の意思が見られず、当日も主催者としての役目を露骨に果たしていなかったそうだ。」

ヨーゼフは進言してきたビアンカ・アスマン辺境伯令嬢のことを思い出す。

「これは陰謀です…!誰かが私とマリアの仲を妨害しようとしているのです!」

「令嬢たちも、教師たちも全員がか?」

「…何とかならないのですか?追試などは?」

「できなくもないが、その場にいた令嬢たちはもう彼女がクラウディアに大きく劣ると知ってしまっている。今頃彼女の実家である男爵家にも留年の通知があるだろう。となれば、男爵は彼女と縁を切るかもしれない。」

マリアが隣で目を見開いた。

「な、なぜ…。」

「あのなあ、留年なんて、ありえないんだ。休学でもしていない限りな。しかも貴族であれば誰でも卒業できるような仕組みになっているのが貴族学園だ。留年するようなことになれば、その前に貴族籍から外し、いなかったことにする。それが普通だ。」

「追試験を受ければ問題ありません!マリアは十分に優秀なのです!」

重ねて主張するヨーゼフをエアハルトはため息をついて見た。


「じゃあ追試験を手配してやる。条件は、お前も試験に立ち会うことだ、ヨーゼフ。」



ーーーー



マリアは追試験として一人で小さなお茶会を教師相手に主催した。結果は、散々だった。適切な話題をふれないところから始まり、教員の好みを把握していない独りよがりな茶や菓子の選択、お茶を飲む所作の一つ、全てがクラウディアに劣る、どころか貴族令嬢のそれではなかった。さすがに、ヨーゼフにもわかってしまった。

マリアの貴族教育は何も実を結んでいないと。


「ヨーゼフ様、ようやくわかってくださいましたか?」

隣に控えていたダミアンは困ったような表情でヨーゼフを見てくる。

「しかし…、マリアは確かに私との勉強では優秀だったんだ。」

「それはどのような勉強だったのでしょうか?」

「どのような…?」

「実技はされたのですか?教えた内容が身についていることを確認されたのですか?」

「いや…。座学のみだが…。」

「ヨーゼフ様は優秀であられたから、一度習えばできてしまえたのでしょうね。しかし、普通はそうではないのです。聞いて理解しているようだから、身に着いた、とは言えないのです。
クラウディア嬢は幼い頃から自由時間を削って勉強し、実践し、やり直すということを繰り返し、才媛と呼ばれるようになったのです。
それをお嬢様が一年以内に成し遂げるなど、無理なのです。」

「…では、兄上も父上も、無理だと思ってこの条件を課したのか?」

「ええ。そうしてあなたが気づいてくれることに期待したのでしょう。」

「…何にだ?」

「ヨーゼフ様の”運命の姫”とは本当にあのような方なのか、ということです。たしかに、見た目は似ているのかもしれませんが、中身はどうですか?
姫は一国の姫でいらっしゃった、つまりは高貴な王族です。本当に、あのような方だったのでしょうか?」

離れた場所でぎこちない所作でお茶を飲むマリアとヨーゼフはぼんやりと眺めた。


それは”高貴”からは程遠い姿だった。


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