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王子をいじっていたら陛下に呼び出されました
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「ジャ、ジャンヌ、何しに来たのだ?」
地面から起き上がろうとして起き上がれずにエドが聞いて来た。
「あら、殿下、何を言われるんですか! シャルルが侯爵位を継承できた御礼に参ったのですわ」
私がさも当然のように言うと、
「何を言っている。カーティス、お前はジャンヌに礼に来るには及ばずと伝えなかったのか?」
エドがカーティスに小声で文句を言うのだが、地獄耳の私には丸聞こえだ。
「何をおっしゃっているのですか。私は殿下のおっしゃるように一言一句違わずお伝えしましたよ。『お子様が幼少のみぎり子育てに専念して王宮に参上せずとも良い』と」
「それがいけないのだ。参上せずとも好いではなくて来るなと何故はっきりと伝えん!」
「言いましたよ。来ないでくださいって」
「じゃあ、何でいるのだ?」
エドは何かムカつくことを言っているんだけど。
「殿下丸聞こえですわよ」
「ヒィィィィ」
私が近付くとエドは必死に後ずさって逃げようとするんだけど……
逃げられたら追いかけてみたくなるのが人間だ。
アリスからはドラゴンの主だと注意されたが……私は誰が何と言おうと人間だ。
面白がって、私はエドのズボンのすそを踏んでみた。
「ヒィィィィ」
更にエドは更に悲鳴を上げるんだけど。
ここまで怖れられる理由はないはずなんだけど……さすがの私も少し可哀そうになった。
ズボンが破けたら見たくもないものをもせられるかもしれないし……
私は手を差し出して
「や、止めろ、離せ!」
逃げようとするエドの手を強引に引くと椅子ごと起き上がらせたのだ。
「はい」
そして、手を離したら、
「離すな!」
今度は暴れたアドがそのまま頭から地面にいすごと突っ込んでいった。
「えっ?」
これは私の想定外だ。
暴れるからだ。
そのまま地面と激突してくれるんだけど……
「ジャンヌ、何をするのだ!」
怒り狂ってエドが立ち上がるんだけど……
私は知らないわよ。
「えっ、私は起こしてあげただけよ。手を放せって言うから離してあげただけじゃない」
私が文句を言うと。
「はああああ! どう見ても貴様は俺で遊んでいるだろう!」
エドの言葉にアリスまで頷くんだけど、何でよ! 私もそこまでひどくはないわよ。
さすがの私もむっとしたのだ。
「お取込み中申し訳ありません。陛下がお呼びです」
そこへいきなり王宮の侍従が現れたのだった。
地面から起き上がろうとして起き上がれずにエドが聞いて来た。
「あら、殿下、何を言われるんですか! シャルルが侯爵位を継承できた御礼に参ったのですわ」
私がさも当然のように言うと、
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エドがカーティスに小声で文句を言うのだが、地獄耳の私には丸聞こえだ。
「何をおっしゃっているのですか。私は殿下のおっしゃるように一言一句違わずお伝えしましたよ。『お子様が幼少のみぎり子育てに専念して王宮に参上せずとも良い』と」
「それがいけないのだ。参上せずとも好いではなくて来るなと何故はっきりと伝えん!」
「言いましたよ。来ないでくださいって」
「じゃあ、何でいるのだ?」
エドは何かムカつくことを言っているんだけど。
「殿下丸聞こえですわよ」
「ヒィィィィ」
私が近付くとエドは必死に後ずさって逃げようとするんだけど……
逃げられたら追いかけてみたくなるのが人間だ。
アリスからはドラゴンの主だと注意されたが……私は誰が何と言おうと人間だ。
面白がって、私はエドのズボンのすそを踏んでみた。
「ヒィィィィ」
更にエドは更に悲鳴を上げるんだけど。
ここまで怖れられる理由はないはずなんだけど……さすがの私も少し可哀そうになった。
ズボンが破けたら見たくもないものをもせられるかもしれないし……
私は手を差し出して
「や、止めろ、離せ!」
逃げようとするエドの手を強引に引くと椅子ごと起き上がらせたのだ。
「はい」
そして、手を離したら、
「離すな!」
今度は暴れたアドがそのまま頭から地面にいすごと突っ込んでいった。
「えっ?」
これは私の想定外だ。
暴れるからだ。
そのまま地面と激突してくれるんだけど……
「ジャンヌ、何をするのだ!」
怒り狂ってエドが立ち上がるんだけど……
私は知らないわよ。
「えっ、私は起こしてあげただけよ。手を放せって言うから離してあげただけじゃない」
私が文句を言うと。
「はああああ! どう見ても貴様は俺で遊んでいるだろう!」
エドの言葉にアリスまで頷くんだけど、何でよ! 私もそこまでひどくはないわよ。
さすがの私もむっとしたのだ。
「お取込み中申し訳ありません。陛下がお呼びです」
そこへいきなり王宮の侍従が現れたのだった。
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