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100話記念 クリスマスデート

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勝手に100話記念にしてしまいました。
たのしんで頂けたら幸いです。
本日4話目です。

*****************************

今日はクリスマスイブだ。
クリスマスは初代国王陛下の誕生された日だそうだ。
まあ、私には関係ないが・・・・
学園を作ったのも初代国王陛下だそうだから少しは関係あるかもしれないけれど。


私は朝からご機嫌だった。

学園は今日から休みだった。

折角のクリスマスのデートなのに、その格好は何だとかさんざんベッキーらに言われたが、私は変えなかった。今日は黒いジャージの上下だ。

何しろ初めてのダンジョンに潜るのだ。

変な格好はしていけない。

そう言うと、

「あんたのその格好が変なのよ! 」
とベッキーに言われたが・・・・・

2月にでもなれば雪がちらつくときもあるが、王都はまだ南方でそこまで寒くはなかった。

私はその上に軽くコートを羽織る。

学園の入口で待っているとカートが2頭立ての馬車で迎えに来てくれた。

今日は二人っきりのデートなのだ。
最近カートは忙しかったみたいで、二人きりで会うのは久しぶりだった。
荷物をカートが持ってくれて、御者台のカートの横に乗り込む。

まあ大した荷物はないが、ルンルンだ。

カートは冒険者の格好だった。

片道8時間、カートの横に乗っての馬車の旅だ。

「カートは卒業したら、何をするの?」
私は聞いた。

「取り敢えず、王宮の文官にでもなろうかな」
「えっ、そうなんだ」
私は少し驚いた。カートが文官になるなんて思ってもいなかった。冒険者を続けると思っていたのに・・・・

「そうすれば週末にはリアとダンジョンに潜れるだろう」
「えっ」
私は驚いた。そうか、そのまま今まで通り潜ってくれるのか。

「何驚いているんだよ。当然のことだろう」
カートが言ってくれた。

「約束だよ。卒業しても、私と一緒に潜るって」
「当然だろう」
「じゃあ指切り」
私達は指切りをした。

私はこの約束が果たされるとこの時はつゆとも疑わなかった。

「リアはどうするんだ」
「私は母の薬屋を継ぐよ」
「でも、ハンスはどうするんだ。最近ラモーナといい感じなんだろ」
そうなのだ。なんとあのハンスとラモーナが付きあっているのだ。私は最初は何の冗談だろうと信じられなかった。

「まあ、別に問題ないんじゃないかな。今でも十分に夫婦2組と母が生活していけるくらいは稼いでいるし、何なら帝国に輸出してもいいしね」
私はサラリととんでもない事を言ってしまった。
夫婦二組だなんてカートと結婚するみたいだ。

「まあ、それはそうだよな」
頷いたってことは、それってカートと夫婦になるってことよだよね。

私は確認したかったが、まだまだ、言うべきことではないだろうと取り敢えずスルーした。

でも、私の心はそう決めていたのだ。

二人だけの馬車の旅は楽しかった。


途中のお昼はおしゃれなレストランで食べた。
クリスマスだからかカップルが多かった。
当然おしゃれしている女の子が多かった。

「あの冒険者の男、行かす男なのに、連れている女があのダサい格好ってどうなのよ」
「まあ、蓼食う虫も好き好きなんじゃない」
カップルの会話が聞こえてきて、私はぶすっとした。

「こんなところてお昼食べるなら、おしゃれしてくればよかったかな」
私はベッキーらに言われたことを思い出した。

「え、まあ、リアはその格好で良いんじゃない」
カートがあっさりと言った。

「うーん、その反応もなんか違う」
私は更に怒りだした。

「えっ、ちょっとまってくれよ。じゃあなんて言えば良いんだよ」
カートは慌てて聞いてきた。

「うーん、そうね。また、考えておく」
「何だよそれは」
カートが脱力して言った。

まあ、このレストラン自体が冒険者の格好している者はほとんどいなかったが・・・・

次からはカートと来る時はもう少し服装は考えようと心に誓った私だった。

取り留めのない話をして、私達はレストランを後にした。



ダンジョンの入口についたのは夕刻だった。
いつもは栄えいるはずのダンジョンもクリスマスだから、人の気配がほとんどしなかった。

私達は早速準備をして潜る。

一層はもう薄暗かった。

カートを先頭に私が続く。

「あっ、月見草だ。こっちはヒカリゴケがある」
私はいつものように薬草に夢中だった。

途中で魔物は次々と出てきたが、カートが次々に退治してくれた。集団は私が障壁で弾き飛ばしたし・・・・。

なんやかんやで目的地の10層に来るまでに結合時間がかかってしまった。

私は途中でレアなハヤガネソウを採取できて超ごきげんだった。

「リア、ここだよ、ツチボタルの生息地は」
言うや、カートは私の手を引いてくれた。

「えっ、じゃあ、ランプ消す?」
「そうだな」
二人してランプを消した。

最初はいきなり暗闇になった。

私はちょっと恥ずかしかったけど、カートにくっついた。カートは肩を抱いてくれた。
私の心臓はドキドキだった。

そう思っている時だ、天井が薄っすらと光りだした。

目がなれてくると天井一面が輝いていたのだ。

「きれい」
私は思わずつぶやいていた。

「そう、これがリアと見たかったんだ」
カートがギュッと肩を抱く力を強くした。

「ありがとう」
私は更にカートにくっついた。

しばらく私達は何も言わずに天井を見ていた。





外に出るともう日にちが変わっていた。

外は流石にコートを羽織らないと寒かったが、焚き火を焚けば、分厚い毛布を被って過ごせる感じだった。

空は満天の星だった。

持ってきたクッションを引いて私達は毛布を纏って寄り添った。

「リア、近くによりすぎ」
カートが文句を言ってきた。

「えええ、なんで? 出来たらカートの毛布の中に一緒に入りたいのに」
「・・・・」
私の言葉にカートが固まっていた。

「だめ?」
私は上目遣いにカートを見た。

「ちょっと、リア、俺を煽るのは止めて。これでも必死に我慢しているんだから」
なんかカートがとても焦っている。

うーん、くっつくくらい良いと思うのに。

「俺はハンスからは手を出したら、リアのお母さんに言いつけるって、それはきつく言われているんだから」
「えええ?、母は好きに生きているんだから、私がどうのこうの言われる筋合いはないよ」
私が文句を言うと

「そう言うわけにも行かないだろう。俺にとっても、未来のお義母さんなんだから」
「えっ、本当にそう思ってくれているの」
私はカートに思わず更にくっついていた。

「ちょっとリア」
カートは慌てたが私はしっかりとカートに抱きついていた。

「ありがとう。カート、初めてはっきり聞いた」
「何いってんだよ。昔からそれっぽいことは言っているだろう」
「でも嬉しい」
私はギュッとカートにしがみついた。

カートがおずおずと私の背中に腕を回してきた。

私は幸せだった。

この幸せがいつまでも続いてくれますようにと神様に祈った。


カートは色々話していたようだが、私はいつの間にか眠ってしまっていた。
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