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王子様を看病していたら王子様に抱きしめられました
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一体全体どうなっているのよ!
なんで会長がウィル様になってまた会長に戻った?
どういう事?
私の頭はとても混乱していた。
あれから外に待機していた騎士たちが大挙してやってきて、魔物たちは一掃された。
会長は直ちに管理塔に設置された医務室に運び込まれた。
校医さんが会長を診てくれたが、ほとんど傷も塞がっているし問題ないと。
この子はすごい癒やし魔術の使い手だと校医さんは私を絶賛してくれた。
おばあちゃんからは
「お前の癒やし魔術を見せたら、国に囲い込まれて一生日の当たるところにはいられなくなるよ」
って注意されたのにやってしまった。
でも、ウィル様の命を助けられたのだ。
そこは良しとしよう。
そして、その頃にはウィル様が会長だったということも頭の中では判ってしまった。
ウィル様は会長でこの国の第一王子殿下だ。
元々ウィル様は高位貴族だと思っていたけれど、王子様だとは思ってもいなかったのだ。
平民の私と王子殿下が結ばれることなんて無い。
一緒にいられるのなんて今だけだろう。
ということで私は癒やし魔術の使い手として今だけ半ば強引にウィル様の看病をしているのだ。
ウィル様もとい会長を見て、その見目麗しい顔を頭に焼き付けていた。
でも、考えたら私の初恋がウィル様だと会長には話してしまった。
本人相手にそんな事言っていたのだ。それに恥ずかしい手紙も全て会長に渡していたのだ。ほとんど会わないウィル様だからこそ書いていたのに、本人に渡していたなんて。それに、本人の前でウイル様の惚気話をしていたなんてどんな破廉恥行為だったんだろう!
私は知らなかったのだ。会長がウィル様だなんて。
会長も言ってくれたら良かったのに! 本当に意地悪だ。
そう言えば子爵令息もウィル様を見て驚いていた。ひょっとして皆知っていたんだろうか?
元々人のことを覚えるのが苦手な私は人を髪の色とかで覚えているので、良く判らなかったけれど、考えたらウィル様と会長の顔が似ているとは判っていたのだ。親戚か何かと思ったいんだけど。
「どう見ても同じじゃない」と後でライラに完全に馬鹿にされてしまった。
でも、そうなら、何故ライラは会長狙いで私はウィル様を狙えなんて言ったんだろう。同じだと判っていたのに。
ライラは男爵令嬢でお貴族様だから王子様のお妃様に成れるんだろうか?
ライラがお妃様で、私がお忍びのウィル様の奥さん。すなわち、王子様の陰の妻になれってことなんだろうか。
他の女の人と夫を共有するなんて前世の記憶のある私には絶対に出来ない。
せっかく健康な体を手に入れられたのだ。
そんな人様に陰で囁かれる存在になんてなりたくないわってライラに言ったら
「今でも十分に囁かれているじゃない」
ライラに一言で言われてしまったんだけど。
ちょっとそれどういう意味よ!
そらあ、平民の分際で新入生歓迎パーテイーで殿下にエスコートしてもらったけれど、陰では囁かれてはいないはずで……
「ヴィルタネン先生のカツラを何回も飛ばしたし」
ヨーナスに突っ込まれたけど、
「それは一度はあなたとアハティのせいじゃない!」
「礼儀作法の先生の授業に二回も遅刻したぞ」
「あなたが起こしてくれなかったんじゃない」
ライラの声に私が反論する。
「いつも歴史の先生の授業で居眠りしているし」
「あの先生の声はお昼の後の私には丁度子守唄に聞こえるのよ」
アハティに私は反論した。
「どちらにしろ噂には事欠かないじゃない」
「……」
まじめなハッリにまで言われて私はもう沈黙するしか無かったんだけど。
「うーーー」
それやこれや考えていると会長がうめき声をあげた。
「会長!」
私が慌てて会長の額の汗を拭う。
「大丈夫ですよ。私が側にいますから」
そう言って看病していたらうなされていた会長が静かになった。
良かった。会長が死なないで無事で。
私がそう思った時だ。
その手をいきなり掴まれたんだけど。
そして、会長が目を覚ましていた。
「ニーナ」
会長は目をぱっちり開けて私を見てきた。
「会長」
私は呼ばれて会長の顔を見た。
気づいたら私達の目と目が合って見つめ合っていた。
そして、次の瞬間ガシッと会長に抱きしめられたんだけど……
「良かった。お前が無事で」
会長は思いっきり抱きしめてくれたのだ。
えっ?
私は突然のことで慌てて離れようとしたが、会長の力が強くて離れられなかった。
ま、いいか。
私は思ったのだ。
どのみち、そんなに長く会長の側にはいられない……
今だけだ……
私はおずおずと手を伸ばすと会長の胸の暖かさを堪能したのだった。
**************************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の別の物語『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです 』が書籍化されて全国1200もの書店様で売られています。
詳しくは10センチ下を御覧下さい。きれいな表紙絵にリンク張っています。
手にとって見てもらえたら嬉しいです!
なんで会長がウィル様になってまた会長に戻った?
どういう事?
私の頭はとても混乱していた。
あれから外に待機していた騎士たちが大挙してやってきて、魔物たちは一掃された。
会長は直ちに管理塔に設置された医務室に運び込まれた。
校医さんが会長を診てくれたが、ほとんど傷も塞がっているし問題ないと。
この子はすごい癒やし魔術の使い手だと校医さんは私を絶賛してくれた。
おばあちゃんからは
「お前の癒やし魔術を見せたら、国に囲い込まれて一生日の当たるところにはいられなくなるよ」
って注意されたのにやってしまった。
でも、ウィル様の命を助けられたのだ。
そこは良しとしよう。
そして、その頃にはウィル様が会長だったということも頭の中では判ってしまった。
ウィル様は会長でこの国の第一王子殿下だ。
元々ウィル様は高位貴族だと思っていたけれど、王子様だとは思ってもいなかったのだ。
平民の私と王子殿下が結ばれることなんて無い。
一緒にいられるのなんて今だけだろう。
ということで私は癒やし魔術の使い手として今だけ半ば強引にウィル様の看病をしているのだ。
ウィル様もとい会長を見て、その見目麗しい顔を頭に焼き付けていた。
でも、考えたら私の初恋がウィル様だと会長には話してしまった。
本人相手にそんな事言っていたのだ。それに恥ずかしい手紙も全て会長に渡していたのだ。ほとんど会わないウィル様だからこそ書いていたのに、本人に渡していたなんて。それに、本人の前でウイル様の惚気話をしていたなんてどんな破廉恥行為だったんだろう!
私は知らなかったのだ。会長がウィル様だなんて。
会長も言ってくれたら良かったのに! 本当に意地悪だ。
そう言えば子爵令息もウィル様を見て驚いていた。ひょっとして皆知っていたんだろうか?
元々人のことを覚えるのが苦手な私は人を髪の色とかで覚えているので、良く判らなかったけれど、考えたらウィル様と会長の顔が似ているとは判っていたのだ。親戚か何かと思ったいんだけど。
「どう見ても同じじゃない」と後でライラに完全に馬鹿にされてしまった。
でも、そうなら、何故ライラは会長狙いで私はウィル様を狙えなんて言ったんだろう。同じだと判っていたのに。
ライラは男爵令嬢でお貴族様だから王子様のお妃様に成れるんだろうか?
ライラがお妃様で、私がお忍びのウィル様の奥さん。すなわち、王子様の陰の妻になれってことなんだろうか。
他の女の人と夫を共有するなんて前世の記憶のある私には絶対に出来ない。
せっかく健康な体を手に入れられたのだ。
そんな人様に陰で囁かれる存在になんてなりたくないわってライラに言ったら
「今でも十分に囁かれているじゃない」
ライラに一言で言われてしまったんだけど。
ちょっとそれどういう意味よ!
そらあ、平民の分際で新入生歓迎パーテイーで殿下にエスコートしてもらったけれど、陰では囁かれてはいないはずで……
「ヴィルタネン先生のカツラを何回も飛ばしたし」
ヨーナスに突っ込まれたけど、
「それは一度はあなたとアハティのせいじゃない!」
「礼儀作法の先生の授業に二回も遅刻したぞ」
「あなたが起こしてくれなかったんじゃない」
ライラの声に私が反論する。
「いつも歴史の先生の授業で居眠りしているし」
「あの先生の声はお昼の後の私には丁度子守唄に聞こえるのよ」
アハティに私は反論した。
「どちらにしろ噂には事欠かないじゃない」
「……」
まじめなハッリにまで言われて私はもう沈黙するしか無かったんだけど。
「うーーー」
それやこれや考えていると会長がうめき声をあげた。
「会長!」
私が慌てて会長の額の汗を拭う。
「大丈夫ですよ。私が側にいますから」
そう言って看病していたらうなされていた会長が静かになった。
良かった。会長が死なないで無事で。
私がそう思った時だ。
その手をいきなり掴まれたんだけど。
そして、会長が目を覚ましていた。
「ニーナ」
会長は目をぱっちり開けて私を見てきた。
「会長」
私は呼ばれて会長の顔を見た。
気づいたら私達の目と目が合って見つめ合っていた。
そして、次の瞬間ガシッと会長に抱きしめられたんだけど……
「良かった。お前が無事で」
会長は思いっきり抱きしめてくれたのだ。
えっ?
私は突然のことで慌てて離れようとしたが、会長の力が強くて離れられなかった。
ま、いいか。
私は思ったのだ。
どのみち、そんなに長く会長の側にはいられない……
今だけだ……
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