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筆頭魔導師様は黒死病の菌を浄化されました
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筆頭魔導師様が黒死病にかかられた。
その噂が駆け巡った時、皆に衝撃が走った。
「暴風王女や赤い死神は黒死病なんかにかかるわけはないと安心していたのよ」
ケチャの言うことに理由があるのだろうか。見た感じそうだとか言いそうなんだけど。
「何で?」
「だって馬鹿は風邪ひかないって言うじゃない」
ケチャの言葉に私は絶句した。
そして慌てて周りを見る。どこの誰が聞いているかわからないのだ。
「あなた、何てこと言うのよ。他のものに聞かれたら不敬罪でしょっぴかれるわよ」
「それよりも本人に聞かれたら爆炎魔術で燃やさるわよ」
部屋がケチャの隣のメリと私で必死に注意する。
「だって本人たちもそう言っているって話よ」
言われたケチャは全然響いていなかった。
「それに内務卿も本人らにはっきりとそう言われたって聞いたわ」
「あんた、内務卿ってあの二人と同じで王族じゃない」
「それもマーマレードにとっては同盟国だし母親同士は姉妹よ。ノルディンにとっても同じ強さの国だし、そんなお方と同じように言っちゃ駄目でしょ」
メリと私が言う。
「そうかな」
「そうよ。燃やされるなら私達を巻き込まないで。どこにノルデインの犬がいるかわからないのに」
私は肝が冷えた。相手は平気で1つの国を火の海にするくらいだ。私のせいで我がインダルが火の海になるのは嫌だし、王女にも申し開きが立たない。
「だからかかるなら絶対に筆頭魔導師様だと思っていのよ。筆頭魔導師様はあの中では一番華奢だし、体も弱そうだし」
「そうよね。暴風王女の100倍くらいか弱そう」
私もケチャに続いて思わず言ってしまった。
「あんたも言っているじゃない」
メリが頭を抱えていた。
「大丈夫かな。筆頭魔導師様」
私が心配して言った。少ししか会ったことはないが、見た目はとてもいい人に見えた。
私自身は雷撃の恐怖でよく見れなかったが。
施政者というものは、冷たいものだとは思うのだが、そんな感じには見えなかったのだが。
アルバートとも普通に話していたし。
「うーん、怒ったら何千キロも雷撃飛ばせる方だからいざとなったら雷撃でウイルスも吹っ飛ばしてしまうんじゃないかな」
ケチャが言う。それはそう出来たら言うことはないけれど。
筆頭魔導師様のことも心配だったが、それ以上にアルバートは大丈夫なんだろうか。
側にいたら伝染るって言うし、アルバートはずうーっと筆頭魔導師様の側にいそうだ。
私は下唇を噛んだ。
「あんた、今、筆頭魔導師様のことよりもアルバート様の無事を祈ったでしょ」
「えっ、いや、そんな事は」
ケチャはそういう時はカンが働く。私が言い返せないと、
「そらあ、筆頭魔導師様のことよりも恋人のこと心配するのが当然じゃない」
メリが言う。
「いや、アルバート様は恋人じゃないし」
私が必死に否定するが。
「でも、あの重いハンカチの刺繍受け取ってくれたんでしょ。普通は何も思っていなかったら手縫いの刺繍なんて受け取らないって」
ケチャが言う。
「そんなんじゃないって。アルバート様は筆頭魔導師様に言われて私の面倒を見てくれているだけなのよ」
私が言い訳する。
「でも、筆頭魔導師様に目にかけてもらえるなんて凄いじゃない。あんたの王女に後ろ盾になってくれそうな人を探せって言われているんでしょ。筆頭魔導師様はこの国のトップなんだし、彼女以上の人はいないわよ」
ケチャは良いことを言ってくれる。
「でもどれだけ力になってくれるかわからないし、この魔王の件が落ち着かないと到底何もしていただけないわ」
「そんなの当然じゃない。でも、平民のあなたがここまで出来ただけで良しとしないと」
「ありがとう」
私の言葉にケチャが言ってくれた。確かにそうだ。筆頭魔導師様に名前を覚えられたのだ。これ以上にないくらいうまくいっているはずだった。
「まあ、筆頭魔導師様は世界最強の聖女クリスティーナ様なんだから。黒死病くらい何とかしてくれるって」
ケチャの言葉に私もそう思おうとした。
そして、その後3日間、私達は筆頭魔導師様の容態の変化に散々やきもちした
でも、4日目に私達は筆頭魔導師様が黒死病の菌を身を以て浄化されたのを知ったのだった。
その噂が駆け巡った時、皆に衝撃が走った。
「暴風王女や赤い死神は黒死病なんかにかかるわけはないと安心していたのよ」
ケチャの言うことに理由があるのだろうか。見た感じそうだとか言いそうなんだけど。
「何で?」
「だって馬鹿は風邪ひかないって言うじゃない」
ケチャの言葉に私は絶句した。
そして慌てて周りを見る。どこの誰が聞いているかわからないのだ。
「あなた、何てこと言うのよ。他のものに聞かれたら不敬罪でしょっぴかれるわよ」
「それよりも本人に聞かれたら爆炎魔術で燃やさるわよ」
部屋がケチャの隣のメリと私で必死に注意する。
「だって本人たちもそう言っているって話よ」
言われたケチャは全然響いていなかった。
「それに内務卿も本人らにはっきりとそう言われたって聞いたわ」
「あんた、内務卿ってあの二人と同じで王族じゃない」
「それもマーマレードにとっては同盟国だし母親同士は姉妹よ。ノルディンにとっても同じ強さの国だし、そんなお方と同じように言っちゃ駄目でしょ」
メリと私が言う。
「そうかな」
「そうよ。燃やされるなら私達を巻き込まないで。どこにノルデインの犬がいるかわからないのに」
私は肝が冷えた。相手は平気で1つの国を火の海にするくらいだ。私のせいで我がインダルが火の海になるのは嫌だし、王女にも申し開きが立たない。
「だからかかるなら絶対に筆頭魔導師様だと思っていのよ。筆頭魔導師様はあの中では一番華奢だし、体も弱そうだし」
「そうよね。暴風王女の100倍くらいか弱そう」
私もケチャに続いて思わず言ってしまった。
「あんたも言っているじゃない」
メリが頭を抱えていた。
「大丈夫かな。筆頭魔導師様」
私が心配して言った。少ししか会ったことはないが、見た目はとてもいい人に見えた。
私自身は雷撃の恐怖でよく見れなかったが。
施政者というものは、冷たいものだとは思うのだが、そんな感じには見えなかったのだが。
アルバートとも普通に話していたし。
「うーん、怒ったら何千キロも雷撃飛ばせる方だからいざとなったら雷撃でウイルスも吹っ飛ばしてしまうんじゃないかな」
ケチャが言う。それはそう出来たら言うことはないけれど。
筆頭魔導師様のことも心配だったが、それ以上にアルバートは大丈夫なんだろうか。
側にいたら伝染るって言うし、アルバートはずうーっと筆頭魔導師様の側にいそうだ。
私は下唇を噛んだ。
「あんた、今、筆頭魔導師様のことよりもアルバート様の無事を祈ったでしょ」
「えっ、いや、そんな事は」
ケチャはそういう時はカンが働く。私が言い返せないと、
「そらあ、筆頭魔導師様のことよりも恋人のこと心配するのが当然じゃない」
メリが言う。
「いや、アルバート様は恋人じゃないし」
私が必死に否定するが。
「でも、あの重いハンカチの刺繍受け取ってくれたんでしょ。普通は何も思っていなかったら手縫いの刺繍なんて受け取らないって」
ケチャが言う。
「そんなんじゃないって。アルバート様は筆頭魔導師様に言われて私の面倒を見てくれているだけなのよ」
私が言い訳する。
「でも、筆頭魔導師様に目にかけてもらえるなんて凄いじゃない。あんたの王女に後ろ盾になってくれそうな人を探せって言われているんでしょ。筆頭魔導師様はこの国のトップなんだし、彼女以上の人はいないわよ」
ケチャは良いことを言ってくれる。
「でもどれだけ力になってくれるかわからないし、この魔王の件が落ち着かないと到底何もしていただけないわ」
「そんなの当然じゃない。でも、平民のあなたがここまで出来ただけで良しとしないと」
「ありがとう」
私の言葉にケチャが言ってくれた。確かにそうだ。筆頭魔導師様に名前を覚えられたのだ。これ以上にないくらいうまくいっているはずだった。
「まあ、筆頭魔導師様は世界最強の聖女クリスティーナ様なんだから。黒死病くらい何とかしてくれるって」
ケチャの言葉に私もそう思おうとした。
そして、その後3日間、私達は筆頭魔導師様の容態の変化に散々やきもちした
でも、4日目に私達は筆頭魔導師様が黒死病の菌を身を以て浄化されたのを知ったのだった。
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