悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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犯人が捕まらなかったのでお兄様はますます過保護になって、帰りの馬車の中はお兄様の膝の上に座らされてしまいました

 その日の夜は私は最悪だった。

「皆、俺たちはやったぞ!」
「そうよ、皆でサラマンダーを倒せたわ」
「やったわよね」
「「「おおおお!」」」
 クラスの皆はサラマンダーを皆で倒せたので、超ハイテンションだった。
 たき火を囲んで、ダミアンなんて喜びで裸踊りを踊りそうになっていた。

 でも、私もクラスの中に入って騒ぎたかったのに、お兄様が抱き上げて離してくれなかったのだ。
 本当に最悪だった。

 あの後、私の暗殺未遂事件があったとお兄様が騒ぎ出して、もう大変だった。公爵家の騎士が急遽100人以上も動員されて、徹底的に洞窟内が捜査されたのだ。
 そもそもいるはずのないサラマンダーがいた事からしておかしいかった。
 公爵家の騎士は優秀だからすぐに犯人の足取りは判るだろう。

 でも、お兄様は徹底的に捜査しろと言っていたけど、何しろ我が家の騎士団は王国最強なのだ。それも王都に滞在しているのはその中の精鋭のはずだ。それが100人も中に入ったら、このダンジョンも魔物が刈り尽くされて終わりではないだろうか……そこまで心配するくらいには強かった。

 それに、お兄様はおなざりで私に浄化魔術をかけてきたピンク頭には誠意がこもっていないとか言って怒り出すし、私が吸った毒をほとんどお兄様が吸い返したんだから自分を治療してもらった方が良いと言ったら、
「このような毒は毒にもならない」
 訳の判らないこと言ってくれたけれど…… と言うか、私が吸った毒を私からキスで奪い取ってそのまま飲み込んだお兄様は絶対に変だ。

「ユリアの物は皆、俺の物」
 とか訳のわかんないことを言っていたし……
 私の治療とか言う前に、自分の治療をしてよ……
 と言うか毒を飲み込むな!
 と私は言いたかった。

 クラスのみんながはしゃぐ中、一人幼子のようにお兄様に抱きかかえられて参加出来なかった私って何?
 恥ずかしさで私は赤くなっていた。

 お兄様の代わりに現場の騎士の指揮を執るように言われたエックお兄様とフランツお兄様は呆れたように私達を見つめてきたし、
「兄上が行かれた方が良いのでは?」
 至極当然の事をフランツお兄様が聞いてきた。
「俺はユリアを守る必要がある」
「えっ?」
 答えたお兄様にフランツお兄様は絶句していた。
「エック兄上、竜をもペットにするユリアを兄上が護衛する必要なんてないですよね」
「まあ、そう言うな」
 不満顔のフランツお兄様にエックお兄様がなだめていた。
「ユリアが襲われて怪我する危険性よりもダンジョンに入る俺の方が余程危険ですよね」
 なんかフランツお兄様が聞き捨てならない言葉を発していたような気がしたが、私は聞かなかったことにしてあげた。

 私はお兄様に抱き上げられて皆の中に入って騒げないわ、私の方を怒りの視線で睨み付けるツェツィーリア様の視線も気になるわでもう最悪だったのだ。

 挙げ句の果てには安全のためにお兄様が私の傍で寝ると言い出して、さすがのマイアー先生が怒りだして連れて行ってくれて私はほっとした。

 最もその夜は私のテントの前に騎士が二人も警護してくれてとても物々しかったけど……

 そして、翌朝、早朝だ。

 ビュン! ビュン!

 私は凄まじい音で目が覚めた。
 素振りの音だ。
 公爵家の騎士団の朝の日課、素振りだ。
 我が公爵家は武の公爵家、当然朝練があって、まずは素振りから始まるのだ。
 それを100人も始めたら、もう騒音以外の何物でもなかった。

「えっ、何なのこの音は?」
「朝から魔物の襲撃?」
 ローズなんて真っ青になっているし……
「何でもないわよ。私言ってくる」
 私は外に出て、騎士達にもう少し離れてやるように指示したのだ。
「離れたらユリアーナ様を守れません」
 職務に忠実な騎士達が反論したんだけど、私は強引に私の護衛をしている二人を除いて100メートルくらい離れさせたのだ。でも、二人でも煩いのは変わらなかった。

 そして、その音で全員起こされてしまったのだ。
 特に昨夜は興奮して皆遅くまで騒いでいたので辛そうだった。
 皆の白い視線が私には痛かった。

「ユリア!」
 半分寝ぼけ眼の皆と朝食を食べていると朝から元気なお兄様がやってきた。
 私は不吉な予感しかしないんだけど、
「何お兄様?」
 私が警戒して聞くと
「昨日、弓をお前に放った犯人だが、まだ消息は掴めていない。それで俺がお前と同行して帰ることにした」
「えっ? お兄様は生徒会長で5年A組でしょ。そんな勝手な事していいの?」
「マイヤー先生には昨日お前と一緒に寝ない代わりに、今日は同行する許可は得ている」
 ええええ! マイヤー先生、何許可してくれているのよ!
 と言うか、そんじょそこらの刺客が襲ってきても、私それを撃退できるようにお兄様に死の特訓されているからお兄様がいなくても問題ないんだけど……
「でも、私一人で問題ないわよ。うちのクラスにはブレンダー先生もいるし」
 私が問題ないから要らないと断ったのに、

「何を言っているんだ。敵はサラマンダーまでこのダンジョンに持ち込んだんだ。余程大きな組織だ。我が公爵家も全力で取り組まねばなるまい」
 お兄様は全く聞いてくれなくて、帰りの馬車の中はお兄様の膝の上に座らされたんだけど……
 こちらを睨み付けるツェツィーリア様の私を射殺さんばかりに睨み付けてきた視線は本当に怖かった。
 馬車の中ではマリアとかビアンカらの生暖かい視線と、フィリーネが「禁断の愛だ」と呟いてくれるし、クラスの男連中からは何故か敵意の籠もった視線を受けて、本当にもう最悪だったのだ。
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