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男が父に婚姻の申し込みをしてきました
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そして、翌日だ。
私はその日は珍しく早めに家に帰れた。
でも、家に着くと父も何故か早めに帰っていて、それ以外に別の馬車がもう一台止まっていた。
お客様が来ているようだ。
「どなたがいらっしゃっているの?」
私が部屋に戻ると侍女のアリスに聞いた
「さあ、私はお名前までは聞いておりません。キャロライン様が帰ってこられたら、客間にお連れするようにと旦那様からは言われております」
アリスの言葉に父のお友達だろうか?
私は何故かアリスに着飾られて一階に降りた。
「いやあ、あの娘をこれほど気にいって頂けるとは」
「キャロライン嬢はとても魅力的な女性です」
上機嫌の父の声の後に聞こえた声に私は聞き覚えがあった。
私は唖然としたのだ。
この声は……
でも、アリスは私の動揺などお構いなしに扉をノックしてくれたのだ。
「キャロライン様がお戻りになられました」
「ああ、すぐに通してくれ」
私は上機嫌の父に迎え入れられたのだ。
応接には赤い3本のバラの花がいけられていた。そして、中にはお父様と机を挟んでもう一人の男がいた。
「エイブラハム殿。ご存じたとは思うが娘のキャロラインだ」
「キャロライン嬢。エイブラハム・オルグレンと申します。正式なご挨拶は初めてかと」
ニコリと微笑んでエイブラハムが挨拶してくれた。
父の前では無碍にも出来なかった。
「初めまして、エイブラハム様。バーゼル伯爵家の長女キャロライン・バーゼルと申します」
仕方なしに、私は初めて会ったように自己紹介をするとカーテシーをしたのだ。
「ん、二人は初めてではないと今エイブラハム殿からは聞いていたのだが」
父が少し不審がって聞いてきた。
「お話ししたことはあるのですが、自己紹介は初めてでしたから」
エイブラハムがそう言ってくれたが、私は許した覚えはないので、
「そうですか? 私はお会いするのも初めてのように思うのですが」
私の言葉にエイブラハムが少しは怒るかなとも思ったのだが、
「エイブラハム殿? どういう事ですかな?」
父は私とエイブラハムを見比べてくれた。
「いやあ、前回お会いした時に私が少し失礼な言葉を言ってしまって、キャロライン嬢の機嫌を損ねてしまったのです」
「そうなのですか? なのに、娘のことを想って頂けるとは。この娘の母が早くに亡くなったもので、娘は男所帯の中で育ちました。だから、どうしても、少しきつい言動をしがちになっているのです」
父が言い訳を始めてくれたのだが、
「いや、私はそういった所も含めてキャロライン嬢を気に入っているのです」
「なんと、そうですか! それはそれは」
父は感激しているんだけど……
いや、なんか、おかしいだろう!
そこで感激するのか?
「キャロライン! 父はこれ程感激したことはないぞ! エイブラハム殿、娘を宜しくお願いします」
父が、エイブラハムに頭を下げて頼みだしたんだけど、ちょっと待ってよ!
おかしくない?
結婚するのは私だ。少しくらい私の意見を聞けよ!
「お父様。お待ちください。私はまだ付き合うともなんとも申しておりません」
「何を言うのだ。キャロライン。それでなくてもお前は気が強すぎる女は嫌いだとゴードンの軟弱野郎に言われて婚約破棄されたところなのだぞ。それをこのエイブラハム殿がもらってくれるというのだ。こんなに機会は二度とないぞ」
父は私に向かって好きなことを言ってくれた。
「お父様、何を言っているのですか? 私は別に無理して結婚したいとは思いません」
私が否定すると、
「何を言うのだ。キャロライン。このエイブラハム殿は、お前の気の強いところも気に入ったとおっしゃって頂いているのだ。こんな縁は二度とないぞ」
「何を言うのですか? エイブラハム様はいろんな女性にも優しい声をかけられると噂のおありになる方です。大方、私に同情しておっしゃっていらっしゃるのです」
私がむっとしてエイブラハムを見ると、
「いや、キャロライン嬢。それは違います。確かに私は今までいろんな女性に言い寄られて、好き勝手にしていた。でも、私はあの時にあなたに頬を張り飛ばされて、我に返ったのです。このままではいけないと。颯爽と歩いて去って行くあなたの姿がどれだけ美しく見えたか。私はあなたに恋をしてしまったのです」
なんか、エイブラハムは言ってくれたが、こいつは絶対に変だ。
どこの世界に頬を張られて張った相手に恋する男がいるのだ。
普通はあり得ないのだ。
「な、何と、キャロライン。その方はまた、殿方に手を出したのか?」
それを聞いて父は怒りだした。
「まあまあ、バーゼル伯、そこは穏便に願いたい。私はキャロライン嬢のその姿に惹かれたのですから」
「なんと、エイブラハム殿。それは誠か。あなたのような良い方に出会えて、キャロラインは幸せですな」
「ちょっとお父様。いい加減にしてください」
私が文句を言うが、
「いい加減にするのはその方だ。絶対にエイブラハム殿を逃すでないぞ」
父は言うことを聞いてくれなかったのだ。
****************************************
ここまで読んで頂いて有り難うござました
新作『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/860023128書き出しました。
パシーン! アマーリアは母に頬を引っ叩かれて前世の記憶を取り戻した。この世界がどのゲームの世界か判らないけれど、前世病弱で出来なかった学園生活を楽しむために、アマーリアは反対する母の元から家出して王都の魔術学園に通うことに。平民のアマーリアはやっかい事を避ける為に、貴族とは出来るだけ接触しないように注意しているのに、何故か次々と貴族と関わってしまうことに。学園で再会した平民の幼なじみだと思っていたリックもどうやら貴族らしい。やることなすこと規格外のアマーリアとその友人達の巻き起こす学園ドタバタ劇。貴族達の虐めも持ち前のパワーと魔術の前で叩き潰すアマーリア。
探しているアマーリアの実の父は誰なのか?
アマーリアの母の正体がわかるとき衝撃の事実が判明します。
現在ドンドン更新中です
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/860023128
直リンクは20センチ位下にあります
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私は唖然としたのだ。
この声は……
でも、アリスは私の動揺などお構いなしに扉をノックしてくれたのだ。
「キャロライン様がお戻りになられました」
「ああ、すぐに通してくれ」
私は上機嫌の父に迎え入れられたのだ。
応接には赤い3本のバラの花がいけられていた。そして、中にはお父様と机を挟んでもう一人の男がいた。
「エイブラハム殿。ご存じたとは思うが娘のキャロラインだ」
「キャロライン嬢。エイブラハム・オルグレンと申します。正式なご挨拶は初めてかと」
ニコリと微笑んでエイブラハムが挨拶してくれた。
父の前では無碍にも出来なかった。
「初めまして、エイブラハム様。バーゼル伯爵家の長女キャロライン・バーゼルと申します」
仕方なしに、私は初めて会ったように自己紹介をするとカーテシーをしたのだ。
「ん、二人は初めてではないと今エイブラハム殿からは聞いていたのだが」
父が少し不審がって聞いてきた。
「お話ししたことはあるのですが、自己紹介は初めてでしたから」
エイブラハムがそう言ってくれたが、私は許した覚えはないので、
「そうですか? 私はお会いするのも初めてのように思うのですが」
私の言葉にエイブラハムが少しは怒るかなとも思ったのだが、
「エイブラハム殿? どういう事ですかな?」
父は私とエイブラハムを見比べてくれた。
「いやあ、前回お会いした時に私が少し失礼な言葉を言ってしまって、キャロライン嬢の機嫌を損ねてしまったのです」
「そうなのですか? なのに、娘のことを想って頂けるとは。この娘の母が早くに亡くなったもので、娘は男所帯の中で育ちました。だから、どうしても、少しきつい言動をしがちになっているのです」
父が言い訳を始めてくれたのだが、
「いや、私はそういった所も含めてキャロライン嬢を気に入っているのです」
「なんと、そうですか! それはそれは」
父は感激しているんだけど……
いや、なんか、おかしいだろう!
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父は私に向かって好きなことを言ってくれた。
「お父様、何を言っているのですか? 私は別に無理して結婚したいとは思いません」
私が否定すると、
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私がむっとしてエイブラハムを見ると、
「いや、キャロライン嬢。それは違います。確かに私は今までいろんな女性に言い寄られて、好き勝手にしていた。でも、私はあの時にあなたに頬を張り飛ばされて、我に返ったのです。このままではいけないと。颯爽と歩いて去って行くあなたの姿がどれだけ美しく見えたか。私はあなたに恋をしてしまったのです」
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「まあまあ、バーゼル伯、そこは穏便に願いたい。私はキャロライン嬢のその姿に惹かれたのですから」
「なんと、エイブラハム殿。それは誠か。あなたのような良い方に出会えて、キャロラインは幸せですな」
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