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元側妃視点3 ついにこの世の春が来ました
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私は今回は前回の同じ轍を踏まないように苦心した。
王国の敵兵をエスカールの軍で一蹴したのだが、前回のように怒り狂ったブルーノが帰って来て制圧されても困るので、必死に言い訳を書いてブルーノに送ったのだ。
今回の件は、妹想いの兄王が、妹がブルーノに無理やり手籠めにされて監禁されていると勘違いして軍を送ってきたのであって、今は兄の勘違いも解けて、私はブルーノの帰りを待っているという内容の手紙を、これでもかというくらい装飾しつくして送ったのだ。あなたが好きだとか、女王のベッドには行かないでとか、思っていることないことを書きまくったのだ。
「こんな手紙であのブルーノが騙されるのか?」
兄王は呆れて言ったが、こんな手紙も無いよりはましだろう。それにブルーノはまた私の魅了に少しはかかっているのだ。しばらくは通用するはずだ。
その上、今はブルーノはアンネの娘に対しての対応で精一杯のはずだ。
こちらに帰ってくる暇はないはずだ。
この手紙でさらに帰ってくる可能性は減るはずだった。
アンネの娘は魔力量だけはあるみたいだから、うまく、ブルーノさえ倒してくれれば良いのだ。
ブルーノさえいなくなれば、おべっか使いの溜まり場の王宮など、大した人物は残っていまい。
こちらが圧力をかければあっさりと寝返るやつらばかりだ。
何とかなろう。
アンネの娘たちは所詮はオースティンの貴族子弟の集まりのおままごと王朝。百戦錬磨の私の敵ではあるまい。
何ならこの私の色気でオースティンの王太子を誑し込んでもいい。
そうなれば、私がオースティンとスカンディーナの王妃になるのも可能やもしれない。
その為にはブルーノ亡き後、いかに早く王都を落とすかにかかっている。
私はそのための準備を着々としていったのだ。
王都との間にある最大領地の侯爵プオランカが妻を失ったところなのをいいことに、侯爵に取り入ったのだ。この体を使って。
老齢の侯爵は私の色気の前にいちころだった。
そして、ブルーノ死去の報を受けとるや否や電光石火の勢いで、兄の指揮するエスカールの五万の軍勢とともにスカンディーナの王都へ向かったのだ。
途中でプオランカの軍も加えて七万の大軍になったわが軍は王都に流れ込んだのだ。
ブルーノがいなくなったスカンディーナの軍は脆かった。わが軍の前に次々に降伏してくるのだ。
王宮を囲むとあっという間に降伏してきたのだ。
私は兄とともに王宮に入った。
久々の王宮は変わり果てていた。
前あった本宮は跡形もなくなっており、昔、マティルダ女王が使っていた王女宮が本宮の代わりをしているみたいだった。
その王女宮に入るとマティルダは縛られて転がされていた。
「ドロテーア、どういうつもりなの。女王の私を縛るなんて」
女王がきっとして睨んできた。
「何を言う! わが夫、オスヴァルドを弑逆した反逆の元王女風情が」
私はマティルダを見下して言った。
「何言っているのよ。ブルーノを唆して弑逆させたのはあなたじゃない」
マティルダは必死に叫んできたが、
「それが事実ならば、なぜ、そのあと王宮で私が逆臣ブルーノに殺されそうになったのよ」
「それは・・・・」
マティルダはそれには答えられなかった。そう、こいつは知らないはずだ。
ブルーノが怒ったのは、自分の浅はかさゆえに、最愛のアンネローゼを殺してしまったからだ。私を殺そうとしたのは、単なる八つ当たりだ。
まあ、私が魅了でブルーノにささやいたから弑逆したのは事実だが。ブルーノの奴はアンネを殺してしまったショックで私の魅了が解けてしまったのだ。そうでなければ、今頃私が王太后として、息子のオットーを国王にして、ブルーノを侍らせてこの国を支配していたはずなのに。
しかし、やっとその望みがかなう時が来たのだ。
今度は私が王太后として、兄のエスカール国王を侍らせて全権を握るのだ。
ついでにオースティンの王太子も侍らせれば、三国の支配も夢ではない。
史上最強のドロテーア帝国の誕生だ。
その為にはこの女には今までのすべての罪を背負って死んでもらうしかないだろう。
「弑逆の王女、マティルダは明朝、国王夫妻弑逆とそれ以降の冤罪で気に入らない多くの貴族を処刑した罪により公開処刑とする」
「な、何ですって。あなたの使者は許すと言ったじゃない」
「連れて行け」
私は泣き叫ぶマティルダを下がらせたのだ。
ついに私の時代がやってきたのだ。夢にまで見た時代が。
側妃時代、国王に全く相手にされなかった。大国の王女なのに、高々伯爵令嬢のアンネのせいで国王に相手にされなかったのだ。どれだけの屈辱だったか。
その恨みを晴らさせるために、ブルーノにその国王を殺させて嫌がるアンネを無理やりに凌辱させて憂さを晴らさそうと思ったのに、その前にアンネは死んでしまった。
私を馬鹿にしていたやつらは、幸いなことにマティルダが処分してくれた。女どもは夫を殺されて、その殺した元平民どもに下げ渡されたのだ。ふんっ、私を馬鹿にしたからだ。
あとはアンネの娘か。娘には恨みはないが、アンネには山のようにある。アンネの娘はどのみち、邪魔だ。どのみち処分するなら、兄にでも襲わせて、その側室の一人にするのも一考だ。泣き叫ぶアンネの娘を見るのもいいだろう。
私は翌日、私の前に泣き叫んで許しを請うマティルダの処刑を、笑顔を浮かべて見物したのだった。
王国の敵兵をエスカールの軍で一蹴したのだが、前回のように怒り狂ったブルーノが帰って来て制圧されても困るので、必死に言い訳を書いてブルーノに送ったのだ。
今回の件は、妹想いの兄王が、妹がブルーノに無理やり手籠めにされて監禁されていると勘違いして軍を送ってきたのであって、今は兄の勘違いも解けて、私はブルーノの帰りを待っているという内容の手紙を、これでもかというくらい装飾しつくして送ったのだ。あなたが好きだとか、女王のベッドには行かないでとか、思っていることないことを書きまくったのだ。
「こんな手紙であのブルーノが騙されるのか?」
兄王は呆れて言ったが、こんな手紙も無いよりはましだろう。それにブルーノはまた私の魅了に少しはかかっているのだ。しばらくは通用するはずだ。
その上、今はブルーノはアンネの娘に対しての対応で精一杯のはずだ。
こちらに帰ってくる暇はないはずだ。
この手紙でさらに帰ってくる可能性は減るはずだった。
アンネの娘は魔力量だけはあるみたいだから、うまく、ブルーノさえ倒してくれれば良いのだ。
ブルーノさえいなくなれば、おべっか使いの溜まり場の王宮など、大した人物は残っていまい。
こちらが圧力をかければあっさりと寝返るやつらばかりだ。
何とかなろう。
アンネの娘たちは所詮はオースティンの貴族子弟の集まりのおままごと王朝。百戦錬磨の私の敵ではあるまい。
何ならこの私の色気でオースティンの王太子を誑し込んでもいい。
そうなれば、私がオースティンとスカンディーナの王妃になるのも可能やもしれない。
その為にはブルーノ亡き後、いかに早く王都を落とすかにかかっている。
私はそのための準備を着々としていったのだ。
王都との間にある最大領地の侯爵プオランカが妻を失ったところなのをいいことに、侯爵に取り入ったのだ。この体を使って。
老齢の侯爵は私の色気の前にいちころだった。
そして、ブルーノ死去の報を受けとるや否や電光石火の勢いで、兄の指揮するエスカールの五万の軍勢とともにスカンディーナの王都へ向かったのだ。
途中でプオランカの軍も加えて七万の大軍になったわが軍は王都に流れ込んだのだ。
ブルーノがいなくなったスカンディーナの軍は脆かった。わが軍の前に次々に降伏してくるのだ。
王宮を囲むとあっという間に降伏してきたのだ。
私は兄とともに王宮に入った。
久々の王宮は変わり果てていた。
前あった本宮は跡形もなくなっており、昔、マティルダ女王が使っていた王女宮が本宮の代わりをしているみたいだった。
その王女宮に入るとマティルダは縛られて転がされていた。
「ドロテーア、どういうつもりなの。女王の私を縛るなんて」
女王がきっとして睨んできた。
「何を言う! わが夫、オスヴァルドを弑逆した反逆の元王女風情が」
私はマティルダを見下して言った。
「何言っているのよ。ブルーノを唆して弑逆させたのはあなたじゃない」
マティルダは必死に叫んできたが、
「それが事実ならば、なぜ、そのあと王宮で私が逆臣ブルーノに殺されそうになったのよ」
「それは・・・・」
マティルダはそれには答えられなかった。そう、こいつは知らないはずだ。
ブルーノが怒ったのは、自分の浅はかさゆえに、最愛のアンネローゼを殺してしまったからだ。私を殺そうとしたのは、単なる八つ当たりだ。
まあ、私が魅了でブルーノにささやいたから弑逆したのは事実だが。ブルーノの奴はアンネを殺してしまったショックで私の魅了が解けてしまったのだ。そうでなければ、今頃私が王太后として、息子のオットーを国王にして、ブルーノを侍らせてこの国を支配していたはずなのに。
しかし、やっとその望みがかなう時が来たのだ。
今度は私が王太后として、兄のエスカール国王を侍らせて全権を握るのだ。
ついでにオースティンの王太子も侍らせれば、三国の支配も夢ではない。
史上最強のドロテーア帝国の誕生だ。
その為にはこの女には今までのすべての罪を背負って死んでもらうしかないだろう。
「弑逆の王女、マティルダは明朝、国王夫妻弑逆とそれ以降の冤罪で気に入らない多くの貴族を処刑した罪により公開処刑とする」
「な、何ですって。あなたの使者は許すと言ったじゃない」
「連れて行け」
私は泣き叫ぶマティルダを下がらせたのだ。
ついに私の時代がやってきたのだ。夢にまで見た時代が。
側妃時代、国王に全く相手にされなかった。大国の王女なのに、高々伯爵令嬢のアンネのせいで国王に相手にされなかったのだ。どれだけの屈辱だったか。
その恨みを晴らさせるために、ブルーノにその国王を殺させて嫌がるアンネを無理やりに凌辱させて憂さを晴らさそうと思ったのに、その前にアンネは死んでしまった。
私を馬鹿にしていたやつらは、幸いなことにマティルダが処分してくれた。女どもは夫を殺されて、その殺した元平民どもに下げ渡されたのだ。ふんっ、私を馬鹿にしたからだ。
あとはアンネの娘か。娘には恨みはないが、アンネには山のようにある。アンネの娘はどのみち、邪魔だ。どのみち処分するなら、兄にでも襲わせて、その側室の一人にするのも一考だ。泣き叫ぶアンネの娘を見るのもいいだろう。
私は翌日、私の前に泣き叫んで許しを請うマティルダの処刑を、笑顔を浮かべて見物したのだった。
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