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第二部 四章 各々の想い
ベジリータ
しおりを挟むオルライフ大陸のとある町、ベジリータ。
緑、赤、黄などカラフルな建築物が彩る美しい町並み。
現在ベジリータに到着したエビル達は鮮やかな町を歩く。
「……ここに来るのは随分と久し振りだな」
歩いている途中にロイズが呟いた。
「え、来たことあるの?」
「幼い頃、師や使用人と共に一度だけ。ベジリータはバラティアの領土内にある町だ。もっともバラティアが滅びた今となっては、どこの国にも所属していない独立した町という扱いだろう。……ふっ、王都が壊滅しても町は変わらないな」
バラティアの領土内だとエビルは知らなかった。
サイデモン・キルシュタインの手によって滅ぼされたバラティア王国。ロイズの故郷でもある国の王都は彼女の話によれば壊滅状態。彼女にとっては辛い思い出が蘇る場所である。エビルが様子を見ていると彼女の心への負担は思ったよりも少ないのに気付く。
「みんな、私のことは心配しなくていい。心配なのは強生命タマネギだよ。私が以前訪れた時は確か売り切れて店で買えなかった覚えがある。売り切れは心配だし青果店へと急ごう」
ベジリータを訪れたのはミヤマ考案ハイパー特訓のためだ。
特訓と称して頼まれた買い物で入手すべきは三種類の食材。
強生命タマネギ。濃塩鶏。黄金卵。
既に手に入れた濃塩鶏については、郵便局の運送サービスによってギルド本部に届いた。ベジリータに来る前にコミュバードで連絡を取り、ミヤマから無事届いたと報告されているので間違いない。
この町で入手しなければならないのは強生命タマネギ五個。
ロイズの話では市販されている野菜なので店で容易に入手可能だ。
「売り切れるくらい人気なわけ? アランバートじゃ野菜なんていつも売れ残ってたわよ。野菜より肉ってね」
「肉、最高」
「レミさんとクレイアちゃんはもう少しお野菜を食べた方がいいと思います」
「な、何よ、作られた料理は残してないじゃない」
「ええ、残してはいませんね。エビル様に分けていますもんね」
旅の野宿中、レミとクレイアはサラダが食事に出た時決まって渋い顔をする。
二人は野菜が食べられないわけではないが好きでもない。毎度サラダの半分はエビルに押しつけているため、エビルは実質二人分の野菜を食している。しかも、断らないせいか最近押しつけられる量が増えている気がする。
「野菜、嫌い。食べたくない」
「そうそう、嫌いな物を無理して食べる必要ないのよ。ストレスになるもの」
「子供みたいな我が儘言わないでください。野菜を食べないと栄養が偏りますよ。肥満の原因にもなりますし、体調を崩すかもしれません。私の力でも栄養失調は治せませんからね」
「半分は食べているじゃない。半分は」
「半分しか食べていないの間違いです」
二人が中途半端にしか野菜を食べないのを知っているため、リンシャンは最近ある手法を使っていた。サラダを用意するのはもちろんのことだが、ハンバーグなど二人が大好きな肉料理の中に野菜を入れている。細かく刻んで野菜だとバレないように混ぜて、密かに二人に野菜を食べさせているのだ。エビルが食事当番の時も同じ手法を使うようにしている。
「リンシャン、この町で野菜を多く買っていけ。ベジリータで採れた野菜は栄養価も高いし絶品だぞ。バラティアの人間の間では美容にいいともっぱらの噂だ。野菜を食べ続けたら美人になるなんて内容の絵本もあったか」
「本当ですか! では多めに買っていきましょう!」
リンシャンの宣言にクレイアだけが絶望的な表情になった。
野菜があまり好きではないレミも同じ表情になると思いきや、真顔で何かを考え込んでいる。
「……ロイズ、本当に野菜が美容にいいわけ? 食べて美人になれるわけ?」
「あくまで噂さ。科学的根拠は存在しない」
「火のない所に煙は立たないとも言うわ。前からアンタのこと綺麗すぎると思っていたのよ、謎が解けたわ。そうと分かれば仕方ない。アタシは今日から野菜好きになる! この町の野菜をお腹いっぱい食べる!」
急に心変わりしたレミにクレイアは「裏切り者」と呟く。
会わないうちにエビルはレミの女性らしさが増した気がした。
胸の成長が乏しいのは相変わらずだが心は変化している。髪も少し伸びたせいか何となく、彼女が彼女の姉に近付いた気もする。以前はもっと綺麗になりたいという欲を持たない女性だった。……悪い変化ではない、寧ろ良い。自惚れでなければエビルのために美しくあろうとしているし、もしそうなら非常に嬉しい。
――そしてそんな彼女に未だ答えを返せていない自分を嫌う。
三年待つと言ってくれたレミの優しさに甘える自分に腹が立つ。
当然恋愛について今まで真剣に考えてきた。テミス帝国にてミトリアに相談をした時、彼女の恋愛観の語りは心に強く残っている。彼女は『ナナクと一緒にいると胸が温かくなり、嬉しさが込み上げるのをもっと感じたかっただけだからな。その感覚が恋愛だと知ったのは随分後だったのさ』と語っている。
一緒にいると胸が温かくなり、嬉しさが込み上げる存在。
そんな存在として真っ先に思い浮かんだのは……村長だった。
愛は愛でも家族愛。ミトリアが『お前の答えはお前自身が見つけなければならない』と告げた通り、ミトリアの恋愛観はエビルと違う。一種の正解だろうがエビルには当て嵌まらない。
難しく考えすぎだとは思うが、適当に妥協した返事をレミにしたくない。
一緒にいて嫌ではなく、楽しく、もっと傍にいたい相手がレミである。
これこそが答えだと勘違いしかけたが実は同じ感情をロイズ、リンシャン、クレイア、同性のセイムにさえ抱いていた。つまり村長への気持ちと同じ家族愛や友愛だ。考えるのに長い時間掛けた結果、余計分からなくなる事態に陥っている。
『嘘つき』
誰かの声が聞こえた。
『いつまで誤魔化すつもり?』
よく知っている声。エビルのような声。
『答えなんて最初から出ている』
表情や仕草には出さず心の中で動揺する。
何となく、このまま深く考えるのはマズい気がした。
「――ん、あったぞ。あそこが青果店だな」
エビルの思考がロイズの声で中断した。
ロイズが指す方向を見れば市場の左側に青果店があり、多くの野菜や果物が並んでいる。カラフルな町並みと同じで店内の野菜や果物は多彩。見ているだけでも楽しめる。
買い物をするためにエビル達は青果店へと近付く。
「いらっしゃい! 新鮮な野菜と果物揃ってるよ!」
町の騒々しさに負けないよう店主の中年男性が元気よく声を出す。
「店主、強生命タマネギを五個買いたいんだが」
「強生命タマネギかあ、そりゃタイミング悪かったな。今はどこの店にも売ってないぞ」
店主の言葉にエビル達は「え?」と呟く。
「どこの店にも売っていない? おかしいな、確か以前来た時はどこの青果店でも取り扱っていたと思うんだが」
「今は入荷したくても入荷出来ないんだよ。最近、強生命タマネギの畑を魔物に荒らされちまったからな。ま、町の〈スピアズ〉が魔物を倒してくれるまでの辛抱さ。あいつらならきっと倒してくれる」
エビルは「〈スピアズ〉?」と言って知らないことを伝える。
一人、ロイズだけは顎に指を当てて何やら考えていた。
「旅人さん知らねえのか? 何があったのか、バラティア王国の王都は壊滅。民を守る兵士達も当然いねえ。今のこの町じゃ自警団〈スピアズ〉だけが頼りさ。〈スピアズ〉は王都が壊滅する前から魔物を狩ってくれているんだ。町想いの良い奴等さ」
兵士は基本王都にいるので生き残りがいるか不明。魔物から守ってくれる存在がいなかったらベジリータも壊滅していたかもしれない。七魔将でも何でもない、そこらにいる魔物の仕業で。
町は平和なように見えるので自警団〈スピアズ〉はそれなりに優秀だと分かる。町人からも頼りにされているし、今まで実績も多いのだろう。エビル達が助けに行くまでもなく魔物を討伐出来るかもしれない。
「その畑を荒らす魔物は〈スピアズ〉の方々で討伐出来るんですか?」
「奴等はこれまで数々の魔物を駆除してきた。今回も大丈夫さ。……というわけで強生命タマネギは売れないが、他の青果は全部揃っているから買っていきなよ! どれも美味しいよ!」
畑を荒らす魔物を〈スピアズ〉だけで倒せるなら心配はいらない。
困っている人々は見過ごせないが、今回の話はベジリータを守ってきた自警団に任せても問題ないだろう。解決してくれる者が他にいるなら出しゃばる必要はないのだ。誰かが誰かを助けようとすることが一番大事であり、助ける側がエビルである必要は全くない。寧ろ世界中の人々が誰かを助けながら生きるのが理想である。
「あ、では他の野菜や果物を買いますね」
店に並ぶ青果を見ながらリンシャンが買いたい物を選ぶ。
大量に購入した彼女は満足そうに袋を持ち、そんな彼女を見たクレイアが嫌そうな顔をする。
魔物のことは自警団に任せ、エビル達は泊まるための宿探しを始めることにした。
泊まる宿は二十分もせず見つかった。
宿の部屋を予約した後でエビル達はベジリータを観光する。
カラフルな町並みを楽しみながら歩いていると町の平和がよく分かった。人々は何の不安も顔に出しておらず、とても王都が壊滅しているとは思えない。道の隅で踊り子が踊っていたり、多くの店の店主が呼びかけを行っていたりと賑やかだ。
歩いていると、町全体に届く大きさの音楽が聞こえてきた。
「ん? 音」
「ああ、この町では毎日決まった時間に音楽を流すのだ。野菜に音楽を聞かせると育ちが早くなるとかいう理由でな。全く意味が分からないが、この町の人間は本気でそう思っているらしい」
聞いているだけで楽しくなるような陽気な音楽が町全体を包み込む。
音楽が鳴る中エビル達は観光を続け、町中をだいたい見終わった。
観光の名所は少ないため時間は掛からなかった。
店は青果店が一番多く、他の店も特別なものではない。
珍しい物も売られていないので寄った店といえば服屋くらいである。女性陣四人が服を見る時間は想像以上に長かった。意見を聞かされたりして退屈さは少なかったが一時間は長すぎる。
西に傾いた太陽が町を茜色に染め出す時間。
宿に戻ろうとするエビル達が歩いていると妙な男を見つけた。
サングラスを掛けた黒髪の男が大慌てで町中を走り回っている。
彼は目が合ったエビル達を見て「おお!」と目を見開き駆け寄って来る。
「君達、そこの彼女達! 今日って時間空いてたりするかな!?」
ナンパ目的で声を掛けてきたわけじゃない。
彼からは何かを心配する感情を感じ取れる。
おそらく困っているのでエビルは邪険に扱わないようにした。
「何かあったんですか?」
「それが聞いてくれよ! 今夜ウチの劇場で踊る予定だった踊り子が、全員来られなくなっちまったんだ! このままじゃ楽しみにしていた客から大バッシング。明日からの営業に支障が出ちまう!」
劇場といえば酒場の地下にあったとエビルは記憶している。
物語を役者が演じる演劇や、踊り子達がダンスを披露する場所だ。
なぜ踊り子が全員来られなくなったのか訊けば男は早口で説明した。
ベジリータは農家が多く、踊り子達の実家も農業を営んでいる。そしてよく売り物にならない野菜などを家族で食べているのだがそれがいけなかった。普段は平気でも今日に限って全員が酷い腹痛に襲われたのである。
劇場まで行ける体調ではないし他に踊り子は雇っていない。
演劇を急遽やることは可能だが客層が違う。一週間で演劇とダンスをやる日は定められており、今日来る客は演劇ではなくダンスを見に来ているのだ。演劇をやろうものなら結局ブーイングの嵐になる。
「踊り子の代役を捜しているんだけど踊ってもらえないかな!? もうこの際美人なら誰でもいい、未経験でもいいから代役見つけないといけないんだ。頼む、俺を助けると思って!」
男は「この通り!」と土下座までし始めた。
正直な気持ちをいうとエビルは断りたい。
踊り子が劇場で披露するダンスは一度、セイムに誘われて見に行ったことがある。露出多めの扇情的な衣装を着た踊り子達が、主に男性客の前で踊っていたのを覚えている。セイムが興奮して叫んでいたのも覚えている。
レミ達に、大事な仲間にそういった場ではあまり踊ってほしくないのが本音だ。
「私はやっても構わないぞ」
意外にも承諾したのはロイズであった。
「引き受けるの?」
「強生命タマネギの入荷は未定だし人助けする時間くらいある。それに、元王女として困る民の願いはなるべく聞きたい。問題ないさ。いずれ女王になる予定だったから、ダンスパーティーのために踊りは習っていた。町の踊り子の踊りとは毛色が違うと思うがな」
「そういえばアタシも踊り習ったわよ。一応王女だし」
「え、ええええ……私、人生で一度も踊ったことないんですけれど」
リンシャンの発言に同意するようにクレイアが頷く。
もう引き受けるムードになっているし、エビル一人が反対するのもどうだろうと思い悩む。劇場のオーナーが困っているのは事実だし勇者としては見過ごせない。困る人間を見捨てたくない気持ちと、仲間に過激な衣装で踊ってほしくない気持ちがぶつかり合う。
「……本当に引き受けるの? 劇場で踊る人を見たことあるの?」
「お父様に連れられて見たことがあるぞ」
「アタシはないわね」
「私もありません」
「劇場、何?」
「不安だ……。一応言っておくけど、嫌になったら止めなよ?」
「なーに心配してんのよエビル。ダンスくらい余裕よ余裕」
心配しているのはそこではない。
おそらくロイズ以外は露出多めの衣服で踊るなど想像もしていないだろう。
「オーナー、あなたの頼みは私達が引き受けた。劇場に案内してくれ」
「ありがとう美人の旅人さん! この恩は一生忘れないよ!」
ずっと土下座していた男が起き上がり、号泣しながら叫ぶ。
案内のために立った彼が「こっちだ!」と言って走り出すので、レミ達女性陣も走り出す。レミ達はすっかりやる気のようだが逆にそれが不安だ。本当に大丈夫か不安に思いながらエビルは彼女達の後を追った。
*
酒場の地下にある劇場の更衣室。
役者や踊り子達が使うそこの外でエビルは劇場オーナーと共に、女性四人が踊り子の衣装へと着替え終わるのを待っていた。ちなみに常夏の島で水着に着替えた時と同じ羞恥の風が吹いている。主にレミとリンシャンが恥ずかしがっているのを感じ取れてしまう。
「すまんねエビル君、彼女達を巻き込んで」
オーナーの黒髪サングラスの男が前を向きながら喋る。
「いえ、ロイズ達が自分で決めたことですから」
「ダンスを見る連中は基本男。分かっていると思うが、純粋にダンスを見に来る奴なんざあんまりいねえ。エロい恰好して踊る女を見に来てるんだ奴等は。君も、君の旅仲間も、嫌な思いをするかもしれない」
彼はスーツの胸ポケットから箱を手に取り、中からオレンジ色の棒を出す。趣向品の一つとして煙を吸っては吐く煙草という物が世にはあるが、明らかに違う。彼が口に咥えたオレンジ色の棒はニンジンだ。
ポリポリと彼がニンジンを齧る音が通路に広がる。
「何事も経験ですよ。嫌になったらもう踊り子の代役なんてしなければいい」
「ま、そりゃそうだ。しかし君、男が羨ましがるハーレム形成しちゃったもんだね。女の子四人と一緒に旅なんて最高じゃないか。恋人は誰? あの槍持った子? 赤髪の子? 緑髪の子? それともまさか褐色肌の子だったりする?」
「いえ、僕には恋人なんていませんよ」
「えーそうなの、もしかして男好き?」
「違います」
彼と話していると更衣室の扉が開く。
ロイズが「待たせたな」と言って出て来て、レミ達が後に続く。
彼女達を一目見てエビルは絶句する。
彼女達が着ているのはウサギの耳にウサギの尻尾、俗に言うバニースーツ。
露出が多いのは想像していたが服のイメージは少し違った。
レミとリンシャンは胸や股を隠すようにして頬を赤くしている。普段恥ずかしがることがあまりないロイズでさえ若干恥ずかしがっている。全く服を気にしていないのは、羞恥心がないとしか思えないクレイアくらいだ。
「四人共いいね! 後は踊りの練習! 付け焼き刃でもいいからやってみよう!」
「みんな、その服装で踊るの? 嫌なら止めた方がいいと思うけど」
「……正直恥ずかしい。……が、引き受けると言った以上踊る」
「う、うう……布が足りません」
「……アタシは知らなかった。知らなかったのよ」
一名を除き恥ずかしがる彼女達をエビルは改めて見る。
バニースーツはスタイルがいい女性に似合う。
ロイズやリンシャンは特に……と、そこまで考えて首を横に振った。
いったい何を考えていたんだと自分を責める。
様子がおかしいのに気付いたクレイアが「大丈夫?」と話しかけてきた。
今までの生活のせいか、長寿泉を飲んでいたせいかバトオナ族は発育が悪い。年齢に比べてという意味であり、もっと年数が経てばクレイアもスタイルのいい美女に成長するだろう。しかし今は幼児体型。エビルにとって一番目に優しいし心が和む。
心配してくれた彼女にエビルは「大丈夫」と返して優しく笑う。
「それじゃ早速練習に行こう! ダンスショーまで二時間切った!」
オーナーの男に従ってエビル達は練習用の部屋へと移動した。
――約二時間後。
劇場の客席に座るエビルは今か今かと開始を待つ。
客席は満席ではないが六割は埋まっている。上階の酒場で酒を飲む者達も後で来るかもしれない。とにかく大勢、百人近い人数が席に座るだろう。……それだけの人数の前で、バニースーツを着た仲間が踊るのは複雑な気持ちだ。
舞台にレミ達が上がり、観客がざわめく。
いつもの踊り子ではないことに対して観客達が驚いている。
そんな驚きも、音楽が鳴ると共にレミ達が踊り出せば別の驚きに変わる。
……下手だった。レミとクレイアが圧倒的に下手だった。
実はエビルは約二時間の練習を見学していない。レミが「客と一緒に驚かせてあげる」と言ったので、踊りを楽しみに待った結果がこれだ。二人の動きの酷さでリンシャンとロイズの踊りがより良く見える。
しっかり踊れている方の二人は優雅な動きだ。
事前に毛色が違うと言っていた通り、セクシーというより美しい踊り。
蝶が舞うかのように華麗な足取りで観客達を魅了していく。
エビルの周囲の観客が「こういうのもありだな」や「いい脚だなあ」と呟いていることから概ね好評。当然不満を持つ者もいるが極少数。バニースーツのセクシーさを打ち消す華麗な踊りは、寧ろ衣装のせいで評価が下がっている気がする。
「二人共、凄いや」
「――他の二人は阿呆らしい動きだ。子供染みている」
「ま、まあまあ、彼女達も一応頑張って練習をしたはずなので……え?」
懐かしい声が聞こえたエビルは目を見開く。
隣から聞こえてきた声の正体を探るべく目を向ければ、やはり知り合いだ。
鋭い金色の目。高い鼻。尖った耳。白髪オールバックで紺色のスーツを着ている男が隣に座っていた。舞台上で踊る仲間達を眺める彼が、最初からエビルの隣にいたかは分からない。そもそも彼がこんなところにいることが信じられない。
「……白竜」
「アランバートの王女は踊り子にでも転職したのか? にしては酷い踊りだ」
「ど、どうして君がここに……? 天空神殿にいるはずじゃ……」
彼の名は白竜。封印の神カシェに仕える白き竜。
魔信教討伐に手を貸してくれた恩人ならぬ恩竜。
女好きでもない彼がこんな場所にいる理由が全く分からない。
「エビル、貴様等がどんな存在と戦おうとしているのかはカシェ様から聞いた。……が、今の貴様等は何をしているんだ。踊り子の真似事なぞして何の得がある。まさか踊って強くなるなんて考えているわけじゃあるまいな」
「あははは、まさか、そんなわけないよ。あれは人助けだよ」
「……うるさい場所だ。ここでは落ち着いて話も出来ん。外へ出ろ」
「あ、うん、分かった」
エビルは白竜と共に劇場を出て行く。
途中でレミが白竜の存在に気付き、動きが悪くなる事態が発生したが些細な問題だ。彼女は元々動きが悪いし、観客達のほとんどが華麗に踊る二人に注目している。彼女達の踊りを最後まで見られないのを残念に思いつつエビルは建物の外へ出た。
建物同士の隙間、裏路地でエビル達は話を再開する。
「……で、貴様等は今、人助けなぞしている場合なのか?」
「強生命タマネギの入荷が未定らしいからね」
「は、タマネギ? 貴様はいったい何を言っているんだ?」
呆けた顔になる白竜に事情を説明していないことに気付く。
天空神殿からは地上で起きている騒動を全て確認出来るので、エビルは彼が自分達の事情を全て知っていると思い込んでしまっていた。重かったはずの空気が霧散して、動揺とは無縁に思える彼が驚くのが見られたのは面白いのだが。
「ああごめん、君やカシェ様は地上の出来事を全部知っていると思い込んでいた。最初から話すよ。実は今、ギルド本部のミヤマさんから提案された特訓を実行しているんだ。内容は買い物なんだけどね」
「ミヤマ……ああ、そういうことか」
「やっぱり知っているんだね」
「詳しくは知らん。ただカシェ様がやたら気にかけている……って今はそんなことどうでもいいな」
感情を感じ取れないミヤマは只者ではない。
神性エネルギーを用いているのか、それともエビルの知らない何かがあるのか。どちらにせよ得体の知れない存在であるのは確かだ。正体不明なミヤマのこと神なら何か知っているのかもしれない。二人がどういう関係か非常に気になる。
二人の関係も気になるが一番気になるのは白竜が劇場にいた理由だ。
本来の彼はダンスを見るために劇場へと足を運ぶような者ではない。
「白竜はどうしてベジリータに来たの?」
「俺は悪魔王の根城を探している。奴は結界で根城を隠してしまったから空からは発見出来ない。ベジリータに寄ったのは偶然だが、少し怪しい者を見たから気になって探しているのだ。貴様も用心しておけ」
「悪魔王の根城……まさか、君も悪魔達を倒したいってこと?」
「貴様等と会う前から俺は悪魔王を追っている。カシェ様からの命でな」
基本的に神や神の従者は人間を助けない。
病に苦しんだり、魔物に襲われていても見守っているだけの存在。
かつて欲に溺れて神を利用しようとした人間がいたからこそ、基本的に誰も助けないとカシェは告げていた。
そんなカシェが白竜に悪魔王への対処を任せているのは、助けを請われなくても世界に巣くう悪を許せないからだろうとエビルは思う。魔信教を放置していたのは、魔信教以上の悪が世界に存在していたからに違いない。
「君も動いていると分かれば心強いよ。……あ、でも、奴等の本拠地ならシャドウに訊いた方が早いかも。後であいつに手紙を出して確認しておく。本拠地が判明したら教えるから白竜も同行しない?」
「断る。あんなのがもたらす情報なぞ信用に値しない。……だが、この町にいる間程度なら共にいてやっても構わない」
「えっと、お礼でも言った方がいいのかな」
「礼などいらん」
本当なら町を出ても同行してほしいのだが叶わない願いかもしれない。彼は自分が一刻も早く悪魔王の本拠地を見つけたいという使命感を持っている。町に留まる理由は不審者を気にしているからだが、同行してくれる理由はおそらく情報を聞きたいからだ。……毛嫌いしているシャドウからの情報を。
「ああそうだ、白竜に一つ訊きたいことがあるんだけど」
「何だ」
「恋って何か分かる?」
先程のタマネギ発言より呆けた顔を白竜が見せる。
「何、だと?」
「恋。恋愛」
呆けていた彼は目を瞑ってため息を吐く。
「今日だけで貴様の考えが分からなくなる。なぜそんなことを訊く?」
状況を理解してもらうためにエビルは詳細を話す。
説明するのは愛の告白をされたが保留していること。そしてその理由。
さすがに当事者のレミの名前は出さなかった。白竜が相手で少し迷いはしたが、自分が知らないところで恋愛情報が筒抜けになるのはレミが可哀想だ。こういった情報を勝手に話すのは当事者の気持ちを軽んじている気がする。
「レミ・アランバートか」
「……どうして彼女の名前が出るのかな」
「あの女が貴様を愛しているのはとっくに知っている」
結果として隠しきれなかったわけだがこれに関しては相手が悪い。
「話を整理すると、貴様はレミのことを友として好きだが異性として好きなのか分からない。だから誰かに訊いて答えを模索している、か。馬鹿だな貴様は。自分のことくらい自分で考えろ」
「返す言葉もないな」
正論だとエビルも思う。
ミトリアにも答えは自分でしか出せないと言われた。
仮に誰かの考えに影響されて答えを出したとして、それは本当に自分の答えなのか分からない。他人の考えが答えだと自分を騙し、考えることを放棄しているとも言える。
「だいたい貴様は難しく考えすぎだ。俺はカシェ様を主としても女性としても愛している。どちらかではなく、どちらもだ。貴様も同じかもしれないぞ。レミのことを友としても、女性としても愛しているんじゃないのか?」
「どうかな、自覚ないよ」
「自覚の有無はどうでもいい。ただ、そういった可能性があると思え」
馬鹿と言いつつ白竜はちゃんとした意見をくれた。
ありがたい助言をエビルは胸に刻む。
「仮に友として好きなだけでも恋人になっていいと思うぞ。俺は恋人なんて友人の延長線だと思っている。重要なのは共にいて楽しいかどうかだ。貴様はレミと共にいて楽しいか?」
「楽しいよ」
「俺はそれだけ分かっていれば十分だと思うがな」
確かに一緒にいれば楽しい時間を過ごせるがレミに限った話ではない。
ロイズとも、リンシャンとも、クレイアとも、村長やセイムとも一緒にいて楽しい。白竜の話を鵜呑みにすると男性とも恋人になる可能性があってしまう。世の中には同性愛者や両性愛者もいるのでおかしくはないが、エビルは違うと断言出来る。性的な行為を男性とする想像をしたら嫌な気分になる。
ただ、大部分は間違っていないようにも思えた。
一緒にいて楽しいことが重要なのは事実だ。
友達や仲間として接する彼女達と恋人になることに嫌悪感はない。想像するのは恥ずかしいが性的な行為をするのも、子孫を残すのも苦ではないだろう。
しかし仮にレミと恋人になったらリンシャンが悲しむ。逆も同じ。
自分の選択で誰かが悲しむのをエビルは見たくないし想像したくもない。
いっそのこと複数人と恋人になれたら……と考えて首を横に振った。
可能といえば可能だ。複数人と恋人になり、結婚が許可されている国はある。だがアスライフ大陸では一夫一妻制なのでエビルの価値観には合わないし、堂々と浮気宣言しているようにしか思えない。個人的に恋人は一人でいいとエビルは思っている。
『誰も傷付かない答えなんてないだろ』
誰かの声がした。
『既に答えは出ているのに色々な理由付けて隠してる。誰も傷付けないために』
一瞬シャドウかと思ったが紛れもなく自分の声だ。
『一人を選べない理由は単純明快。君は誰のことも――』
声を中断させるためにエビルは自分の頭を殴りつけた。
いきなりの自傷行為に白竜は目を丸くしている。彼は「大丈夫か」と問いかけてきたので、エビルは「大丈夫、驚かせてごめん」と笑う。手遅れかもしれないが心配させないように取り繕う。
昼間も聞こえた声の正体は自分自身だ。
ストレスなのか、出自なのか原因は一切不明。
精神が分裂しかけているのは確かなので気を付けなければならない。
正常な状態に戻るにはやはり、答えを出すしかないと強く思う。
誰を傷付ける結果になったとしてもエビルは返事をしなければならない。
今はまだ勇気が足りないし、決戦を控えているのもあって言えない。告白の返事が原因で連携が崩れ、勝てる敵に敗北することだけは阻止する必要がある。つまり決戦後、悪魔王との戦いが終わった後でエビルはレミに告白の答えを返す。今そう決めた。
* * *
劇場でのダンスが終わり、ロイズ達は報酬を受け取る。
今日の公演を無事に終えられてオーナーの男は咽び泣いていた。彼からの報酬は三万二千カシェと高額であり、実際の踊り子への日給四人分。レミとクレイアは客に披露するレベルで踊れていないため、二人分でもいいのだがとロイズはこっそり思う。
「エビル、途中で白竜と出て行ったでしょ。てか何であいつがいるわけ?」
劇場からの帰り道でレミがエビルへと問いかける。
「町には偶然いたんだってさ。悪魔王がいる場所を調べていたみたい」
「ふーん、心強いじゃない。また加勢してくれるかもね」
「白竜とはいったい誰だ? 知り合いのようだが」
「戦友よ。カシェ様の従者で、人間の姿だけど実際は竜で、めっちゃ強い男」
「……つまり、仲間という認識でいいな」
情報が混雑しているが要約すればエビルの仲間の一言で済む。
神と崇められるカシェの従者だとか、人型は仮の姿で本当は竜だとか、色々聞きたいことはあるが一先ず後に置いておく。傍で聞いていたリンシャンも今は頭の中で情報を整理しているようだ。クレイアは深く考えず戦友という言葉で納得している。
「……当然、強いのだろうな」
ロイズは周囲に聞こえない程度の小声で呟く。
秘術使いですらない白竜という男にロイズはおそらく勝てない。
白竜が強いのはエビル達が信頼している時点で確定したこと。
エビル達と同格と考えても違和感はない。
心を占めるのは嫉妬。かつてエビルと共に旅をしていたレミの強さを間近で見てから、膨張し続ける実力者への嫉妬。普段は表に出さないが心の中では溢れそうなくらいに肥大化している。
結局その日、ロイズは上の空な状態で夜まで過ごした。
予約していた宿のベッドで眠ろうとするが眠くならない。
今思うことはシンプル。ただ強くなりたい。今よりも強く、師よりも強く。
目標と呼べる男の背中は遠く感じる。もうこの世にいないからか、それともロイズがまだ未熟なのかは分からない。面倒なことを考えているとはロイズも思うが、可能ならもう一度ナディン・クリオウネと会って話がしたい。今の自分を見て、評価してほしい。
「……私は幾らか強くなれたのだろうか」
ロイズが眠くなったのは深夜帯。
不気味な雲が月光を覆い隠し、悩む者を深き眠りへと誘う。
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「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
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注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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