「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」

サイコちゃん

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第4話

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「え? 良かったねって、あなたの子供でもあるでしょう? それに今の説明でどうやって家族ぐるみの育児だと解釈できるの?」

 そう問い詰めると、夫は嫌そうな顔をした。

「やだなぁ……。妊娠で気が立っているのかい……?」
「違うわよ。あなたがあまりにも見当違いのことを言うから――」
「はいはい、気が立っているんだね。兎に角、俺は賛成だよ」
「は? 賛成ですって?」

 そこで夫は大きく息を吐いた。

「何なんだ、その態度! そんな君に赤ちゃんが育てられるとは思えないね! 妹さんの方がずっといい母親になりそうだ!」
「ちょっと……! 妹に私達の子供を取られてもいいの……!?」
「常識的に考えて、そんなことするはずないだろう! 手のかかる赤ちゃんの時だけ預かってくれて、その後は返してくれるんだろう? 普通、そうするはずだ!」
「あの妹がそんなことするはずないわ……! 私の家族は異常なのよ……!?」
「異常なのは君だッ! いい加減にしろッ!」

 イヴェットが驚きの表情を向けると、夫は舌打ちして立ち去った。
 それから二人の間には深刻な亀裂が入ってしまった。
 夫は深夜まで遊び惚け、新妻を放置する。
 やがて夫の浮気が判明すると、二人の溝は埋められないものとなった。
 そしてイヴェットが妊娠七ヶ月の時、二人は離婚したのだった。
 あまりの呆気なさに彼女は泣きもしなかった。

 その一ヶ月後――

「お姉様! 開けて! お腹を見せてちょうだい!」
「そうよ、イヴェット! 早く開けなさい!」
「おい、イヴェット! これ以上は怒るぞ!」

 イヴェットは実家と夫の家からほど遠い王都の隣町で家を借りた。
 しかしどこから嗅ぎ付けたのか妹と両親はすぐにやって来た。
 鍵をかけていても、もこうして叩いて開けろと迫る。
 隣人には注意されるし、もううんざりだった。

「……お腹が、お腹が痛い……」

 このままではお腹の子が危ない――イヴェットは焦った。
 どこか治療院へかかりたいが、近所は危ない。
 もしかしたら妹と両親が待ち構えているかもしれない。
 そして考え抜いた末、イヴェットは手紙を出すことにした。
 結婚してからはずっと控えていた文通、それを再開させたのだ。

 そして彼女は返ってきた紹介状を握り締め、王都の治療院へ向かった。
 そこに“医術と魔術の天才”と呼ばれる治療人がいるのだ――
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