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10.SUB SPACE
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身体からふっと力が抜けた。
椅子に座った上体が後ろに倒れそうになるのを、大きな手が支える。
誰かを頼るのは大嫌いなのに、しっかりと支えてくれるその手は何故かすべてを委ねてもよいような安心感を感じた。
開放感と、そして強い快感にとらわれ、桐原は喉を震わせ、あおのかせた。
「……いぬかい…なんか…変…」
「大丈夫。桐原さん、そのままRelax 」
言葉にリードされてふわっと体が浮き上がるような感覚とともに、周りのすべてが消える。
まるで、犬飼と二人の世界になってしまったようだった。
そこは気持ちが良くて、安心できて---気持ちいい…ずっとここにいたい。
桐原はすべてを投げ出すようにその恍惚に耽溺した。
「な…んか、…体、おかしい…っ?…」
「あれ、もしかしてSUB SPACEに入ったんですか?」
犬飼の声には驚きと喜びの色があった。
彼のDOMが喜んでいる。
喜ばせているのは自分だというのが、誇らしいような気持ちになる。
ひときわ強いグレアが浴びせられ、桐原の恍惚は深まる。
「…っ」
「こんな早くSUB SPACEに入っちゃうなんて、信じられない。嬉しい。顔をPRESENT」
普段なら、そんな言葉、きっとバカにするなと怒鳴りつけるところだ。でも重荷から開放されたような心が気持ちがよくて、そのまま顔をあげる。きっと目と目があえば、グレアが与えられるだとうと思うと、それだけでぞわぞわしてしまう。
だって、性的な快感など比較にならない悦楽なのだ。
身体が熱い。
その熱は与えられたものではなく、ずっとずっと桐原の中に潜んでいたものだ。ずっと抑えられていたそれが暴かれての奥底から吹き出してくるようだった。
脱力してしまっている。
もしかしたら、自分はすごく緩んだ、みっともない顔をしているのかもしれない。だが、もうそんなこと、どうでもいい気がした。
なぜなら、もうどんなんでも受け入れてもらえるのがわかっているから。
それは例えようもない歓びだった。
犬飼が、食い入るように桐原を見ている。
ひた、と彼にだけに向けられた茶色の虹彩に、コマンドが遂行されたことへの満足感がそこに浮かんでいるのを目にしたとき、またチカッと脳髄に快感がはしりぬけた。
その感覚は性的なそれより濃厚なのに、しかも吐き出すとことができないままに桐原の中に蓄積してゆく。
思わず小さく喘ぐと、すかさすコマンドを言われてしまう。
「MORE、SAY。聞かせて」
「…犬飼、犬飼…やばい…!あっ」
体の中で渦巻く熱の衝動が、桐原に声をあげさせる。
すがるものが欲しくて支える腕に思わず爪をたてると、ワイシャツの生地のきしむ微かな音がした。
そのかそけき音も、犬飼の息づかいも、少し早くなっている鼓動も、桐原の鋭敏になった感覚はつぶさに拾った。
「嫌なときはすぐセーフワード言ってもいいんですよ?」
「嫌…じゃ、ない...]
「…まじ素直で可愛い。最高。部長、気持ちいいの好き?」
「………す、き…」
「GOOD」
欲しい物を欲しいというのは、こんなに簡単だったろうか。
いつしか素直に欲しいということに羞恥感を抱いていなかっただろうか。
それをさらけだすのは、こんなに気持ちよいことだっただろうか。
気恥ずかしさが快楽に染められかわってゆく。
さらけ出すことを褒めて、許してくれる存在を、犬飼に侵されゆくようだ。
そして、犬飼に満たされてゆく。
犬飼の指が耳の後ろにそっと触れて、そのまま顎へ、首元に滑る。
「ここ、赤くなってますね。いつも肌まっ白なのに」
「…さわるな」
「STAY本当に触るのだめなら嫌ならセーフワード、使ってもいいんですよ?」
「……」
「ねぇ、部長わかってます?DISOBEDIENCE」
のコマンド入っていて拒否しないということは、あなたが望んで委ねてくれてるってことですよ?」
そうは言っても、嫌じゃないから仕方ない。
首すじを撫でたその手は今は不埒な動きはしないが、それでも上気した肌から官能を引きだす。
触れた手も、熱い。
支える手も熱い。
桐原にシンクロするように、犬飼の体も昂りを覚えているのがわかった。
自分がそれを引き出していると思うと、歓喜が湧き上がる。
「部長、ほんとたまんない…」
感極まったように犬飼が囁き、桐原の頭を固定する。
キス、されるかもと思った瞬間、嫌悪でなくて何故か期待のようなものがよぎったが、降ってきたのはグレアだった。
意識が遠くなる。
桐原の意識は限界だった。
ゆらっとかしいだ身体を犬飼がしっかりと受け止める。
すべてから守られるように抱きしめてくる腕に、桐原は安心感に包まれるように意識を飛ばした。
椅子に座った上体が後ろに倒れそうになるのを、大きな手が支える。
誰かを頼るのは大嫌いなのに、しっかりと支えてくれるその手は何故かすべてを委ねてもよいような安心感を感じた。
開放感と、そして強い快感にとらわれ、桐原は喉を震わせ、あおのかせた。
「……いぬかい…なんか…変…」
「大丈夫。桐原さん、そのままRelax 」
言葉にリードされてふわっと体が浮き上がるような感覚とともに、周りのすべてが消える。
まるで、犬飼と二人の世界になってしまったようだった。
そこは気持ちが良くて、安心できて---気持ちいい…ずっとここにいたい。
桐原はすべてを投げ出すようにその恍惚に耽溺した。
「な…んか、…体、おかしい…っ?…」
「あれ、もしかしてSUB SPACEに入ったんですか?」
犬飼の声には驚きと喜びの色があった。
彼のDOMが喜んでいる。
喜ばせているのは自分だというのが、誇らしいような気持ちになる。
ひときわ強いグレアが浴びせられ、桐原の恍惚は深まる。
「…っ」
「こんな早くSUB SPACEに入っちゃうなんて、信じられない。嬉しい。顔をPRESENT」
普段なら、そんな言葉、きっとバカにするなと怒鳴りつけるところだ。でも重荷から開放されたような心が気持ちがよくて、そのまま顔をあげる。きっと目と目があえば、グレアが与えられるだとうと思うと、それだけでぞわぞわしてしまう。
だって、性的な快感など比較にならない悦楽なのだ。
身体が熱い。
その熱は与えられたものではなく、ずっとずっと桐原の中に潜んでいたものだ。ずっと抑えられていたそれが暴かれての奥底から吹き出してくるようだった。
脱力してしまっている。
もしかしたら、自分はすごく緩んだ、みっともない顔をしているのかもしれない。だが、もうそんなこと、どうでもいい気がした。
なぜなら、もうどんなんでも受け入れてもらえるのがわかっているから。
それは例えようもない歓びだった。
犬飼が、食い入るように桐原を見ている。
ひた、と彼にだけに向けられた茶色の虹彩に、コマンドが遂行されたことへの満足感がそこに浮かんでいるのを目にしたとき、またチカッと脳髄に快感がはしりぬけた。
その感覚は性的なそれより濃厚なのに、しかも吐き出すとことができないままに桐原の中に蓄積してゆく。
思わず小さく喘ぐと、すかさすコマンドを言われてしまう。
「MORE、SAY。聞かせて」
「…犬飼、犬飼…やばい…!あっ」
体の中で渦巻く熱の衝動が、桐原に声をあげさせる。
すがるものが欲しくて支える腕に思わず爪をたてると、ワイシャツの生地のきしむ微かな音がした。
そのかそけき音も、犬飼の息づかいも、少し早くなっている鼓動も、桐原の鋭敏になった感覚はつぶさに拾った。
「嫌なときはすぐセーフワード言ってもいいんですよ?」
「嫌…じゃ、ない...]
「…まじ素直で可愛い。最高。部長、気持ちいいの好き?」
「………す、き…」
「GOOD」
欲しい物を欲しいというのは、こんなに簡単だったろうか。
いつしか素直に欲しいということに羞恥感を抱いていなかっただろうか。
それをさらけだすのは、こんなに気持ちよいことだっただろうか。
気恥ずかしさが快楽に染められかわってゆく。
さらけ出すことを褒めて、許してくれる存在を、犬飼に侵されゆくようだ。
そして、犬飼に満たされてゆく。
犬飼の指が耳の後ろにそっと触れて、そのまま顎へ、首元に滑る。
「ここ、赤くなってますね。いつも肌まっ白なのに」
「…さわるな」
「STAY本当に触るのだめなら嫌ならセーフワード、使ってもいいんですよ?」
「……」
「ねぇ、部長わかってます?DISOBEDIENCE」
のコマンド入っていて拒否しないということは、あなたが望んで委ねてくれてるってことですよ?」
そうは言っても、嫌じゃないから仕方ない。
首すじを撫でたその手は今は不埒な動きはしないが、それでも上気した肌から官能を引きだす。
触れた手も、熱い。
支える手も熱い。
桐原にシンクロするように、犬飼の体も昂りを覚えているのがわかった。
自分がそれを引き出していると思うと、歓喜が湧き上がる。
「部長、ほんとたまんない…」
感極まったように犬飼が囁き、桐原の頭を固定する。
キス、されるかもと思った瞬間、嫌悪でなくて何故か期待のようなものがよぎったが、降ってきたのはグレアだった。
意識が遠くなる。
桐原の意識は限界だった。
ゆらっとかしいだ身体を犬飼がしっかりと受け止める。
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