××男と異常女共

シイタ

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ゴミ女の深夜バイト

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◯あるオカルト記者と『神残し』◯ Sight : 雑誌記者

 私の名前は岡崎おかざき木津流きづる、三八歳、独身である。
 とっくに婚期を超えている私には、結婚なんていうのはどうでもいいことだ。なぜなら、私はすでにこの世の不思議と事件を追い、それらの謎を解明することに人生を費やすことを決めているから。
 UFO、心霊、異星人、超能力、UMA、怪奇現象、超古代文明、オーパーツ、超科学、陰謀論、など。
 これらのものは、人の一生を費やしても足りないぐらいの価値がある。私はそう考えている。
 つまらない、くだらない、平凡な日常も嫌いではないがやはりどこか物足りない。物足りない生活に刺激を求めたからこそ、私はオカルトに走ったのかもしれない。
 
 きっかけは、子供の頃に見たオカルト特集のテレビ番組である。そのテレビ番組で特集していたのは本当に様々で、心霊映像や写真、怪奇現象が起きた現場の探索、不可解な未解決事件の究明など、私は本当に心を躍らせてテレビの前に釘付けになってしまった。
 その所為で晩御飯の時間になってもテレビの前から離れられず、母親からこっぴどく怒られてしまったのも、今は良い思い出だ。
 それからというもの、私は世の中のありとあらゆるオカルト知識を余すことがないように、満遍なく手を付けに行った。高校の同好会でも大学のサークルでもその手の団体に入って、自分と同じ仲間とともに知識を深め活動をした。

 そうした経緯の結果、私は自分の生きる活力を仕事にした。
 私は、オカルト記者になったのだ。私がオカルトにハマり常に読み続けていた雑誌、『月間オカル』という世界中の不可解な怪異現象に密着する雑誌の記者に。
 入った当初は雑用ばかりで自分の予想していた仕事とは、自分のしたかった仕事とは、全然違くて不満があった。けれど、それも自分と同じオカルト好きな人達と出会い関わっていくことで、すぐに解消することができた。
 やはり一人ではなく、誰かと一緒に好きなことを話し合うのはとても楽しい。早く自分も、一人で自由に怪奇現象を追って記事を書きたいと思った。

 雑用にも会社の雰囲気にも慣れきったところで、私は上司に任されて初めて記事を書くことになった。
 記事のテーマは日本の怪奇特集というもので、私は日本で有名な怪奇現象の一つ『神隠し』について書くことにした。
 『神隠し』とは、人間がある日忽然と姿を消してしまうという現象だ。その発生場所は、神域と呼ばれる山や森であったり、また里や街であったりする。有名な場所で言えば、神隠し伝承が残っている青森県の天狗岳や千葉県の『八幡藪知らず』と呼ばれる森などだ。
 なんの前触れもなく起こるその現象は、神の仕業であるととらえた概念が『神隠し』であり、またの名を『天狗隠し』とも言う。そして、神隠しには遭いやすい人間とそうでない人間がいるとされており、知的障害者や神経質な子どもや産後の女性や精神的に不安定な者が遭いやすいとされている。
  
 そんな怪奇現象を私は、自分の知的好奇心を爆発させて徹底的に調べた。
 高校の頃にも本やネットで神隠しについて調べていたことを今一度確認し、神隠しが起こった現場に行きそこに住む住人達にも話を聞いていく。そうしてできた私の初めての記事は上司にも関心され、読者の反応も良く、初めて書いた記事の割には上々のものとなった。
 そして数十年が経ち、私はいくつかのコーナー記事を任されるようになっていた。

「岡崎さん、今度はどんな記事書くつもりなんですか?」

 後輩である若葉わかば三峰みつみねくんが、パソコン前でコーヒーブレイクをしている私に話しかけてきた。
 
「ああ、最近話題になってる『神残し』についてを記事にしようと思っているんだ」

「『神残し』?」

「知らないかい? 最近ニュースで度々起こっている失踪事件のこと」

「はぁ、そんなニュースもやってたような気もしますけど、別に珍しい事件でもないでしょう。誰かが失踪することなんて」

「確かに失踪事件っていうのはニュースにされている事柄からニュースにされていない事柄まで珍しい事件ではないが、今回は違う。とても珍しいケースの失踪事件なんだ」

「珍しいケース? 一体どこが珍しいんですか?」

「その前に若葉くんは『血の現場』もしくは『血の空間』と呼ばれる場所のことを知っているかい?」

「いえ、知らないです」

 私は若葉くんの答えに落胆の色を隠せない。

「……はぁー、若葉くん、この業界でやっていくならもっと情報収集というものを心がけた方がいいと思うよ」

「あ、あはは……、すみません」

「構わないが。それでその『血の現場』っていうのは――」
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