61 / 111
ゴミ女の深夜バイト
4-15
しおりを挟む
◯あるオカルト記者と『神残し』◯ Sight : 雑誌記者
私の名前は岡崎木津流、三八歳、独身である。
とっくに婚期を超えている私には、結婚なんていうのはどうでもいいことだ。なぜなら、私はすでにこの世の不思議と事件を追い、それらの謎を解明することに人生を費やすことを決めているから。
UFO、心霊、異星人、超能力、UMA、怪奇現象、超古代文明、オーパーツ、超科学、陰謀論、など。
これらのものは、人の一生を費やしても足りないぐらいの価値がある。私はそう考えている。
つまらない、くだらない、平凡な日常も嫌いではないがやはりどこか物足りない。物足りない生活に刺激を求めたからこそ、私はオカルトに走ったのかもしれない。
きっかけは、子供の頃に見たオカルト特集のテレビ番組である。そのテレビ番組で特集していたのは本当に様々で、心霊映像や写真、怪奇現象が起きた現場の探索、不可解な未解決事件の究明など、私は本当に心を躍らせてテレビの前に釘付けになってしまった。
その所為で晩御飯の時間になってもテレビの前から離れられず、母親からこっぴどく怒られてしまったのも、今は良い思い出だ。
それからというもの、私は世の中のありとあらゆるオカルト知識を余すことがないように、満遍なく手を付けに行った。高校の同好会でも大学のサークルでもその手の団体に入って、自分と同じ仲間とともに知識を深め活動をした。
そうした経緯の結果、私は自分の生きる活力を仕事にした。
私は、オカルト記者になったのだ。私がオカルトにハマり常に読み続けていた雑誌、『月間オカル』という世界中の不可解な怪異現象に密着する雑誌の記者に。
入った当初は雑用ばかりで自分の予想していた仕事とは、自分のしたかった仕事とは、全然違くて不満があった。けれど、それも自分と同じオカルト好きな人達と出会い関わっていくことで、すぐに解消することができた。
やはり一人ではなく、誰かと一緒に好きなことを話し合うのはとても楽しい。早く自分も、一人で自由に怪奇現象を追って記事を書きたいと思った。
雑用にも会社の雰囲気にも慣れきったところで、私は上司に任されて初めて記事を書くことになった。
記事のテーマは日本の怪奇特集というもので、私は日本で有名な怪奇現象の一つ『神隠し』について書くことにした。
『神隠し』とは、人間がある日忽然と姿を消してしまうという現象だ。その発生場所は、神域と呼ばれる山や森であったり、また里や街であったりする。有名な場所で言えば、神隠し伝承が残っている青森県の天狗岳や千葉県の『八幡藪知らず』と呼ばれる森などだ。
なんの前触れもなく起こるその現象は、神の仕業であるととらえた概念が『神隠し』であり、またの名を『天狗隠し』とも言う。そして、神隠しには遭いやすい人間とそうでない人間がいるとされており、知的障害者や神経質な子どもや産後の女性や精神的に不安定な者が遭いやすいとされている。
そんな怪奇現象を私は、自分の知的好奇心を爆発させて徹底的に調べた。
高校の頃にも本やネットで神隠しについて調べていたことを今一度確認し、神隠しが起こった現場に行きそこに住む住人達にも話を聞いていく。そうしてできた私の初めての記事は上司にも関心され、読者の反応も良く、初めて書いた記事の割には上々のものとなった。
そして数十年が経ち、私はいくつかのコーナー記事を任されるようになっていた。
「岡崎さん、今度はどんな記事書くつもりなんですか?」
後輩である若葉三峰くんが、パソコン前でコーヒーブレイクをしている私に話しかけてきた。
「ああ、最近話題になってる『神残し』についてを記事にしようと思っているんだ」
「『神残し』?」
「知らないかい? 最近ニュースで度々起こっている失踪事件のこと」
「はぁ、そんなニュースもやってたような気もしますけど、別に珍しい事件でもないでしょう。誰かが失踪することなんて」
「確かに失踪事件っていうのはニュースにされている事柄からニュースにされていない事柄まで珍しい事件ではないが、今回は違う。とても珍しいケースの失踪事件なんだ」
「珍しいケース? 一体どこが珍しいんですか?」
「その前に若葉くんは『血の現場』もしくは『血の空間』と呼ばれる場所のことを知っているかい?」
「いえ、知らないです」
私は若葉くんの答えに落胆の色を隠せない。
「……はぁー、若葉くん、この業界でやっていくならもっと情報収集というものを心がけた方がいいと思うよ」
「あ、あはは……、すみません」
「構わないが。それでその『血の現場』っていうのは――」
私の名前は岡崎木津流、三八歳、独身である。
とっくに婚期を超えている私には、結婚なんていうのはどうでもいいことだ。なぜなら、私はすでにこの世の不思議と事件を追い、それらの謎を解明することに人生を費やすことを決めているから。
UFO、心霊、異星人、超能力、UMA、怪奇現象、超古代文明、オーパーツ、超科学、陰謀論、など。
これらのものは、人の一生を費やしても足りないぐらいの価値がある。私はそう考えている。
つまらない、くだらない、平凡な日常も嫌いではないがやはりどこか物足りない。物足りない生活に刺激を求めたからこそ、私はオカルトに走ったのかもしれない。
きっかけは、子供の頃に見たオカルト特集のテレビ番組である。そのテレビ番組で特集していたのは本当に様々で、心霊映像や写真、怪奇現象が起きた現場の探索、不可解な未解決事件の究明など、私は本当に心を躍らせてテレビの前に釘付けになってしまった。
その所為で晩御飯の時間になってもテレビの前から離れられず、母親からこっぴどく怒られてしまったのも、今は良い思い出だ。
それからというもの、私は世の中のありとあらゆるオカルト知識を余すことがないように、満遍なく手を付けに行った。高校の同好会でも大学のサークルでもその手の団体に入って、自分と同じ仲間とともに知識を深め活動をした。
そうした経緯の結果、私は自分の生きる活力を仕事にした。
私は、オカルト記者になったのだ。私がオカルトにハマり常に読み続けていた雑誌、『月間オカル』という世界中の不可解な怪異現象に密着する雑誌の記者に。
入った当初は雑用ばかりで自分の予想していた仕事とは、自分のしたかった仕事とは、全然違くて不満があった。けれど、それも自分と同じオカルト好きな人達と出会い関わっていくことで、すぐに解消することができた。
やはり一人ではなく、誰かと一緒に好きなことを話し合うのはとても楽しい。早く自分も、一人で自由に怪奇現象を追って記事を書きたいと思った。
雑用にも会社の雰囲気にも慣れきったところで、私は上司に任されて初めて記事を書くことになった。
記事のテーマは日本の怪奇特集というもので、私は日本で有名な怪奇現象の一つ『神隠し』について書くことにした。
『神隠し』とは、人間がある日忽然と姿を消してしまうという現象だ。その発生場所は、神域と呼ばれる山や森であったり、また里や街であったりする。有名な場所で言えば、神隠し伝承が残っている青森県の天狗岳や千葉県の『八幡藪知らず』と呼ばれる森などだ。
なんの前触れもなく起こるその現象は、神の仕業であるととらえた概念が『神隠し』であり、またの名を『天狗隠し』とも言う。そして、神隠しには遭いやすい人間とそうでない人間がいるとされており、知的障害者や神経質な子どもや産後の女性や精神的に不安定な者が遭いやすいとされている。
そんな怪奇現象を私は、自分の知的好奇心を爆発させて徹底的に調べた。
高校の頃にも本やネットで神隠しについて調べていたことを今一度確認し、神隠しが起こった現場に行きそこに住む住人達にも話を聞いていく。そうしてできた私の初めての記事は上司にも関心され、読者の反応も良く、初めて書いた記事の割には上々のものとなった。
そして数十年が経ち、私はいくつかのコーナー記事を任されるようになっていた。
「岡崎さん、今度はどんな記事書くつもりなんですか?」
後輩である若葉三峰くんが、パソコン前でコーヒーブレイクをしている私に話しかけてきた。
「ああ、最近話題になってる『神残し』についてを記事にしようと思っているんだ」
「『神残し』?」
「知らないかい? 最近ニュースで度々起こっている失踪事件のこと」
「はぁ、そんなニュースもやってたような気もしますけど、別に珍しい事件でもないでしょう。誰かが失踪することなんて」
「確かに失踪事件っていうのはニュースにされている事柄からニュースにされていない事柄まで珍しい事件ではないが、今回は違う。とても珍しいケースの失踪事件なんだ」
「珍しいケース? 一体どこが珍しいんですか?」
「その前に若葉くんは『血の現場』もしくは『血の空間』と呼ばれる場所のことを知っているかい?」
「いえ、知らないです」
私は若葉くんの答えに落胆の色を隠せない。
「……はぁー、若葉くん、この業界でやっていくならもっと情報収集というものを心がけた方がいいと思うよ」
「あ、あはは……、すみません」
「構わないが。それでその『血の現場』っていうのは――」
0
あなたにおすすめの小説
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、10人の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
行き遅れた私は、今日も幼なじみの皇帝を足蹴にする
九條葉月
キャラ文芸
「皇帝になったら、迎えに来る」幼なじみとのそんな約束を律儀に守っているうちに結婚適齢期を逃してしまった私。彼は無事皇帝になったみたいだけど、五年経っても迎えに来てくれる様子はない。今度会ったらぶん殴ろうと思う。皇帝陛下に会う機会なんてそうないだろうけど。嘆いていてもしょうがないので結婚はすっぱり諦めて、“神仙術士”として生きていくことに決めました。……だというのに。皇帝陛下。今さら私の前に現れて、一体何のご用ですか?
※AI不使用です
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
『愛が揺れるお嬢さん妻』- かわいいひと -
設楽理沙
ライト文芸
♡~好きになった人はクールビューティーなお医者様~♡
やさしくなくて、そっけなくて。なのに時々やさしくて♡
――――― まただ、胸が締め付けられるような・・
そうか、この気持ちは恋しいってことなんだ ―――――
ヤブ医者で不愛想なアイッは年下のクールビューティー。
絶対仲良くなんてなれないって思っていたのに、
遠く遠く、限りなく遠い人だったのに、
わたしにだけ意地悪で・・なのに、
気がつけば、一番近くにいたYO。
幸せあふれる瞬間・・いつもそばで感じていたい
◇ ◇ ◇ ◇
💛画像はAI生成画像 自作
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる