××男と異常女共

シイタ

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陰女の秘密のご趣味

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◯くろ神さま◯ Sight : Hさん


 私は何処にでもいるような影の薄い女の子である。
 去年まで中学三年生だった私は今年、高校一年生になった。中学から高校になる時期は人生の節目の一つと言われているけれど、今のところ中学と変わったところはあまりない。周りの人達や通う場所などは一変したが、私の生活に変わりはない。学校に行き、授業を聞いて、静かに本を読む。私の学校生活はそれだけだ。

 もともと私は見た目が暗く、性格も暗かったため、中学の頃から友人と呼べる人は数少なく、その子たちとも高校が別になってしまったため、一人ぼっちだった。そのため、周りとは一線を画し、肩身の狭い立ち位置に立っている。
 だけど、別にそれが苦だとは感じていない。一緒に何かをしたり話したりする友人がいなくても本さえあれば私はよかった。一人静かに物語に浸るのが、私は好きだ。誰の邪魔もせず、誰にも邪魔されず、ひっそりと過ごすのが私の平和。これからも本を片手に幸せな日々が続く、そう思って過ごしていた。
 
 しかし、私の安寧の日々は唐突に終わりを告げる。
 きっかけは、あるクラスメイトの女子の頼みを断ったことだ。その女子は何か用事があったのかは知れないが、掃除当番を変わってくれと頼んできた。私は掃除当番ではないので、掃除する必要もない。そして、その日は待ちに待った作者の新作本が発売する日だったため、私はすぐに家に帰りたかった。
 だから私はその頼みを断った。断ってしまった。

 次の日、学校に行くとクラスの雰囲気が若干違っていた。いや、私が教室に入ってきた途端に変わったのだ。
 その雰囲気を変えたのは、主に女子。彼女らは、私のことを見た途端に、蔑んだような目を向けて、ひそひそと何かを話し始めた。
 私は何があったのか分からないまま、席に着く。すると昨日、私に掃除を変わってくれと頼んできたクラスメイトの女子が目の前にやって来て、顔を近づけてきた。
 私が「なんですか?」と聞くと、その女子は小さく「あんたの居場所、もうないから」と言ってくる。そうして女子は私から離れて行き、私はその時の意味がすぐに理解できなかった。しかし、私はその日の内に、その言葉の意味を理解させられることになった。
 
 選択授業の書道が終わり、教室に戻り歩いていると、すれ違う生徒や道行く生徒からやけに視線を向けられる。そして、彼らは私を見ながらひそひそ話しを始めるのだ。
 何を話しているのかは聞き取れなかったけど、それが良いものではないということは察することができた。私は視線に耐えられず早足で教室に戻った。

 次の授業のために教科書を準備しておこうと机の中をあさると、いつもと違う違和感に気付く。机の中を見ると、教科書がぐしゃぐしゃに無理やり詰め込まれたような状態になっていた。
 私は驚き、困惑しながらぐしゃぐしゃになった教科書を机の上に出していく。前の授業まではこんな状態ではなかったのに、いったい誰がこんなことをしたのか。
 すると、クスクスクスという笑い声が耳に入ってくる。そちらを見ると、そこにはポニーテイルの女子と、その取り巻きのようにいるショートとサイドテールの二人の女子が、私を見てニヤニヤ笑っていた。ポニーテイルの女子は朝、私に話しかけてきたクラスメイトだ。
 きっとあの女子達がやったことなのだろうと理解しながら、私は何も言いに行けなかった。だって、彼女達がやったという証拠がなにもないから。
 私は黙って、ぐしゃぐしゃになった教科書を元に戻そうと折れた場所を力強く伸ばし続けた。

 次の日になれば、こんなことはこれっきりで、また平和な時間が過ごせるようになっている。そう願って私は次の日を迎え、私が学校に行った。しかし、私の願いは叶えられることはなかった。
 次に日の学校は昨日よりも酷かった。下駄箱から上履きは消えたり、遠巻きの視線が異様に突き刺さり、わざとらしく嫌味を言われたり、足をかけられ転びそうになったり、机とロッカーの中身が全壊したり、トイレの個室に閉じ込められたり、した。その度に、女子達のクスクスという笑い声が聞こえてくる。
 あのポニーテイルの女子達の所為だと分かっていながら、私は耐えることにしていた。きっと時間が経てば、ポニーテイルの女子達も飽きてやめてくれるだろう、そう思って。
 
 一月ひとつきが経ったが、私へのいじめは終わらなかった。終わるどころか、日が経つごとにもっと酷く陰湿なものになっていった。
 私は耐えられず、「こんなことはもうやめて」とポニーテイルの女子に訴える。だけど、その女子は「は? 何言ってるか意味分かんないんだけど」とシラを切ってきた。
 私は立ち去ろうとしたポニーテイルの女子の手を引っ掴むと、詰め寄りながら「やめて」とお願いする。
 しかし、ポニーテイルの女子は聞く耳を持たず、私を突き飛ばして去って行ってしまった。
 
 私はあいつらにお願いするのはやめて、先生に助けを求めることにした。先生に言えばなんとかしてくれると思って、先生に自分が受けているいじめのことについて説明し、助けを求めた。
 先生は眉根を寄せながら私の話を聞き、そして話が終わると言った、「勘違いじゃないの?」と。私は先生の予想外の言葉に、「え?」と言ってしまった。
 その後、先生は諭すような言葉を私に言い聞かせてきた。けど、先生の言葉は私の耳にまったく入ってこない。私は、呆然としていることしかできなかった。

 お願いしてもやめてもらえない、先生に助けを求めてもまともに聞いてくれない、友達のいない私は誰かに頼ることもできない。助けを乞うように周りの人達を見ても、周りの人達は目を合わせないように目を逸らし、自分達には関係ないという感じで見て見ぬ振りをしていた。
 当たり前といえば当たり前かもしれない。私だって自分ではなく他の子が同じことをされていれば、自分には関係ないと言って、素知らぬ顔でいつも通り本を読んでいる。
 下手に手を出せば、いじめの対象が次は自分になるかもしれないから。こんな厄介ごとに進んで手を差し伸べる者は勇者だけ。そんな勇者がいたら、とっくに私に手を差し伸べてくれている。だから、ここに勇者なんていうのはいないのだろう。
 私を助けてくれる人なんていないのだ。
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