××男と異常女共

シイタ

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陰女の秘密のご趣味

3-12

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 復讐しよう、そう私は決めた。
 私をいじめてくるあの女子達に、私の言葉を聞いてくれない先生に、私を助けてくれない彼奴あいつらに。
 だけど私には何もできない、何かするほどの力もない。
 どうすれば復讐ができるのか考えてみた。

 力のない私にできる復讐とは何か、その考えは棚からぼた餅のようにやってきた。
 休日、学校のないこの日だけが今の私に平穏をもたらしていた。休日だからといって私のやることは変わらない。それは本を読むことだけだ。
 その本はもうページの終盤までいっており、今日中に読み終わるところまできていた。内容は、ある高校生の女の子が不可解な死を遂げた事件を、その女の子に恋していた男の子がその事件の真相を仲間と共に究明する物語。
 女の子の事件の真相を知るために男の子とその仲間達は様々な事件を解決していき、目的の事件の真相となる手掛かりを手に入れていく。それも大詰め、最後の事件を解決し、男の子とその仲間は女の子の真相を知ることとなった。
 その真相は――

 ――女の子の自殺という至極単純なものだった。

 自殺の理由は、同級生からのいじめであった。女の子は、いじめに耐えられなかったのだ。
 そして、そんな単純明快な事件の真相を不可解なものにしていたのは、女の子をいじめていた同級生いじめっ子達。
 女の子は最後にいじめをやめて欲しいと懇願し、いじめっ子達はそれを拒否した。そして、女の子はいじめっ子達の目の前で飛び降り自殺したのだ。
 いじめっ子達はそれを見て絶句し、自分達を守るために女の子の自殺を偽装し、隠し、不可解なものへと変えた。まるで誰かに殺されたように。
 女の子の不可解な事件の真相は解明され、物語は終わりを告げた。

 私はその女の子の境遇に共感し、女の子の行動に奮い立つと同時に、震え上がる。それは、力のない私が彼奴らに対して復讐するに、これほどのことはない、そう思わせるものであった。
 しかし、それは私の人生を終わらせるもの、私が死ぬということ。死にたくないと思うのは、全ての人間にとって普通のことだ。私だってそうだ、死にたくない。まだ読みたい本だってあるし、これから出る新しい本だって読んでみたい。

 だけど……。

 私は今まで受けてきたいじめを思い出し、いじめをしてきた女子達の顔を思い出し、何もしてくれない周りの奴らを思い出し、体を震わせる。

 これ以上、私は耐えられない。

 知らず知らずのうちに、私の目からは涙が溢れていた。

 ……やろう。死んでやろう。彼奴らに復讐してやろう。

 万感の思いで、私は決めた。
 改めて、彼奴らに復讐することを決意した。
 
 休日が終わり、学校に登校する日がやってきた。私はその日わざと遅刻し、他の生徒達と登校が被らないようにした。
 授業はもう始まり、学校の廊下などは静かで廊下に歩く人はほとんどいない。いるといえば生徒ではなく、たまに巡回や移動をしている先生らだけ。私は、それを一人屋上で隠れながら見ていた。

 準備は整った。
 私は一つの手帳に、これまで私が受けたいじめのことを、いじめてきた女子達のことを、頼りにならない先生のことを、見るだけで助けてくれない周りのことを、書きまくった。これを警察が見つけ、世間に知られることになれば、彼奴らの人生も私と同じでお終いだ。
 私はそれを嬉々として書いていた。これで彼奴らに復讐できると思ったら、感情を抑えられなかった。そのため、なるべく綺麗な字で書こうと思っていたのに、少し乱雑になってしまった。

 辛かったのは、家族に謝罪する文を書くことだった。

 何も言えなくてごめんなさい、何もできなくてごめんなさい、何も返せなくてごめんなさい、…………弱い私でごめんなさい。

 ひたすら謝ることしかできなかった。
 私は涙を流しながら、震える手で、綺麗な字でしっかり書こうと決めて、ゆっくりと書いていった。書き終わった時には、そのページには所々に涙でシワができてしまった。

 手帳は今、私の手元にあり、飛び降りるところに置いておけば、先生か警察が簡単に見つけてくれるだろう。いわばこれは、私の遺書のようなもの。

 私は屋上の柵を乗り越えて、柵を手に掴みながら下を見る。私は高所恐怖症ではないが、今からここから落ちると思うと、足がすくんでしまった。私は片手にあった手帳遺書を足元に落とし、両手で掴んでもたれかかる。

 死にたくない、落ちたくない、まだ生きたい。

 決心が揺るぎそうになるのを、私は彼奴らのいじめを思い出して抑える。そして、頼るように持っていた柵から手を離し、今から落ちるところに立つ。
 
 やるんだ私、彼奴らに復讐するんだ!

 自分に言い聞かせるように、胸の部分を強く握り締め、下を見る。今から私が落ちる場所を見て、自分が落ちる想像をしてしまう。無意識に息が荒くなる、顔から血の気が失っていくのが分かる、足がガクガクと震えている。

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……。

「……死にたく、ないよぉ」

 嗚咽が漏れる、涙が落ちる。
 私は何もない空間に、足を出した。
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