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陰女の秘密のご趣味
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ブー、ブー、ブー……。
「えっ!?」
バイブ音が聞こえ、私のポケットにあったスマホが突然震え出した。
私はビックリして、前に出した足を慌てて引っ込める。その拍子にバランスを崩してしまった私はそのまま後ろに倒れ込み、柵に背を持たれるような形になってしまった。
後頭部を柵にぶつけ、お尻を地面につけた私は、頭を抑えながら、ぶつけた頭とお尻の痛みに耐える。
未だに震える私のスマホ。
なんてタイミングの悪いことか、私は電源を切っていなかったことを後悔しながらスマホを取り出した。震えが止まらないということは、メールやLINKではなく電話であるということ。一体誰からの電話なのだと疑問に思いながらスマホの画面を見ると、そこには身に覚えのない相手の名前が書いてあった。
『くろ神』
登録したこともない名前の相手。
私は取り敢えず、電話に出ることにした。
「……も、もしもし?」
『……』
相手からの返事はない。
「あ、あの」
『……』
ちょっと強めの口調で言うが、やはり返事はない。
迷惑電話なのかもしれないと思い、切ろうと思うと相手が言った。
『……逃げるの?』
「え?」
相手の声は女の子だけど、聞いたことがない声だ。
でもそんなことより、私は相手の言葉にドキッとさせられた。
「に、逃げるって、なんですか?」
私はなんとか言葉を紡ぎ、相手に聞く。すると、今度はすぐに応えは帰ってきた。
『あなたが今からしようとしてること。……それって逃げだよね』
「……私が、何から逃げてるって言うんですか?」
私を固唾を飲んで質問した。心臓が早鐘を打っているのが分かる。
『……あのいじめっ子達から、周りの人達から、あなたの辛い人生から』
私は再び固唾を飲んだ。
この人は私のことを知っている?
この人はいったい誰なの?
そんな疑問が口から出そうになるが、そんなことよりも言わなければいけないことがあった。
「私は、逃げてない。彼奴らに復讐するために、立ち向かってるんだ!」
私は、私の決意がバカにされたと感じ、興奮した所為か口調がいつもより強くなってしまう。
『へぇー、立ち向かってるんだ。でも私にはそうは見えないよ。私にはあなたが生きようと努力もしないで逃げてるしてるようにしか見えないけど。ねぇ、あなたの何処が逃げてないなんて言うの? 立ち向かうっていうのは、相手に向かっていくという意味だけど、今のあなたの何処が相手に向かって行っているの? むしろ背中を見せて、尻尾を巻いてるように見えるけど』
「私は逃げてなんていないっ!!」
私は我慢できずに声を出した。予想外に大きな声が出たが、そんなことは気にもならない。自分のことを何も知らない相手に、分かったような口調で自分のことを語られるのが我慢できなかった。
「私は、私をいじめた彼奴らに、私を助けてくれなかった先生に、私を見てるだけだった周りの奴らに復讐するって決めたんだ。彼奴らの人生を滅茶苦茶にするって決めたんだ! そのために死ぬのは、逃げじゃない!」
私は肩で息をしながら、電話越しの相手に怒っていた。
「だいたい、あなたはなんなんですか? いきなり電話を掛けてきて、いきなり私の決意をバカにして。あなたはいったい誰なんですか? あなたはいったい何がしたいんですか?」
『……』
待っても相手は答えない。沈黙が私を苛立たせる。もう一度、何かを言ってやろうかと思った矢先に、相手から反応があった。
『……あなたが死んでも、あなたをいじめた人達の人生は変わらないと思うよ』
「……え?」
私は予想外の言葉に呆気に取られた。
「えっ!?」
バイブ音が聞こえ、私のポケットにあったスマホが突然震え出した。
私はビックリして、前に出した足を慌てて引っ込める。その拍子にバランスを崩してしまった私はそのまま後ろに倒れ込み、柵に背を持たれるような形になってしまった。
後頭部を柵にぶつけ、お尻を地面につけた私は、頭を抑えながら、ぶつけた頭とお尻の痛みに耐える。
未だに震える私のスマホ。
なんてタイミングの悪いことか、私は電源を切っていなかったことを後悔しながらスマホを取り出した。震えが止まらないということは、メールやLINKではなく電話であるということ。一体誰からの電話なのだと疑問に思いながらスマホの画面を見ると、そこには身に覚えのない相手の名前が書いてあった。
『くろ神』
登録したこともない名前の相手。
私は取り敢えず、電話に出ることにした。
「……も、もしもし?」
『……』
相手からの返事はない。
「あ、あの」
『……』
ちょっと強めの口調で言うが、やはり返事はない。
迷惑電話なのかもしれないと思い、切ろうと思うと相手が言った。
『……逃げるの?』
「え?」
相手の声は女の子だけど、聞いたことがない声だ。
でもそんなことより、私は相手の言葉にドキッとさせられた。
「に、逃げるって、なんですか?」
私はなんとか言葉を紡ぎ、相手に聞く。すると、今度はすぐに応えは帰ってきた。
『あなたが今からしようとしてること。……それって逃げだよね』
「……私が、何から逃げてるって言うんですか?」
私を固唾を飲んで質問した。心臓が早鐘を打っているのが分かる。
『……あのいじめっ子達から、周りの人達から、あなたの辛い人生から』
私は再び固唾を飲んだ。
この人は私のことを知っている?
この人はいったい誰なの?
そんな疑問が口から出そうになるが、そんなことよりも言わなければいけないことがあった。
「私は、逃げてない。彼奴らに復讐するために、立ち向かってるんだ!」
私は、私の決意がバカにされたと感じ、興奮した所為か口調がいつもより強くなってしまう。
『へぇー、立ち向かってるんだ。でも私にはそうは見えないよ。私にはあなたが生きようと努力もしないで逃げてるしてるようにしか見えないけど。ねぇ、あなたの何処が逃げてないなんて言うの? 立ち向かうっていうのは、相手に向かっていくという意味だけど、今のあなたの何処が相手に向かって行っているの? むしろ背中を見せて、尻尾を巻いてるように見えるけど』
「私は逃げてなんていないっ!!」
私は我慢できずに声を出した。予想外に大きな声が出たが、そんなことは気にもならない。自分のことを何も知らない相手に、分かったような口調で自分のことを語られるのが我慢できなかった。
「私は、私をいじめた彼奴らに、私を助けてくれなかった先生に、私を見てるだけだった周りの奴らに復讐するって決めたんだ。彼奴らの人生を滅茶苦茶にするって決めたんだ! そのために死ぬのは、逃げじゃない!」
私は肩で息をしながら、電話越しの相手に怒っていた。
「だいたい、あなたはなんなんですか? いきなり電話を掛けてきて、いきなり私の決意をバカにして。あなたはいったい誰なんですか? あなたはいったい何がしたいんですか?」
『……』
待っても相手は答えない。沈黙が私を苛立たせる。もう一度、何かを言ってやろうかと思った矢先に、相手から反応があった。
『……あなたが死んでも、あなたをいじめた人達の人生は変わらないと思うよ』
「……え?」
私は予想外の言葉に呆気に取られた。
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