恋人は副会長

福山ともゑ

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(40)いざ、本番!

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金属と金属の触れ合う音に、時々、何かの振動音が聞こえる。
シュッ…、シュッ…と。
空を切ってる音だ。ふむ、銃を使いだしたか。
絶対音感を持ってる俺には、その音が何処から聞こえてくるのか分かる。
俺を、甘く見るなよ。

いきなり聞きなれた声が聞こえた。
 「待て、銃を使うな。」
 「主から許可は貰ってる。」
 「でも、全部外してるぞ。それに、屋敷を壊したくはないだろう。」
 「う…、それは…」
 「だから、ここからは俺が相手をする。」

サワダ、もうブタ箱から出て来たのか。
金の力って、本当に偉大だよな。
そう思いながら、個別包装されたチョコを3個ほど口に入れた。
やっぱり、チョコが一番だよな。ついでに飴玉も2個含む。
ああ、話し合いは終わったみたいだな。
今度はサワダとか…。
あいつは強いからな。
やっぱりあの手でいくか。

サワダは自分の得物を持っている。
それを突出し、言ってきた。
 「ここの姫様は、お前を欲しがってる。でも、その前に俺と勝負だ!」

俺は無言で構え直した。
 「二刀流か。カッコつけなら、すぐにでもそれを止めるんだな。まあ、ずっと見ていたから、カッコつけかどうかは分かってるよ。」


サワダと間合いを計っていく。
先にサワダが動いた。

シュッ!

…フッ。


なるほど、お得意の突きね。
 「ふっ、よく避けたな。なら本番いくぞ。」

こいつは、俺の正体を知らない。
だが、俺はお前の手の内を知ってる。
しかも、コウキを拉致ってマッパにしてくれてナイフを突きつけやがった。
本気でくるなら、こっちも本気出してやる。
口の中で転がしていた飴玉を一つ噛み下して飲み込んだ。

シュシュッ…!

突きを数度繰り出してくる。この次は、大きく鋭い突きがくる。
その前に一発入れてやる。

次はくるっ!
ニヤッ…と、サワダはドヤ顔よろしくニヤ顔してくる。
ジャンプしろってことか。へっ、乗ってやるよ。

ジャンプして躱してやるが、俺は前に出た。
案の定、サワダは俺の後に居てはキョロキョロとしている。

トントンっと肩を叩いてやった。
くるっと振り向いてきた瞬間を狙って、サワダの股間を蹴ってやった。
 「ぐっ…、っさま…!」

サワダの顔は怒りで赤くなっている。

俺はポケットからチョコを取り出し、1個をサワダに投げ渡した。
俺は2個を口の中に含むと、ポリポリと口の中に残ってる飴玉と一緒に噛んで飲み込んだ。

 「なに考えて…。分かったよ、紳士的にやってやらぁ。」
そう言いながら、サワダはチョコを口に含み、立ちあがると同時に喉を鳴らしていた。
 「俺に、チョコと休憩時間を与えたことを後悔させてやるっ!」


よく吠える口だな。


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