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これからしたいことは決まっているわ
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「私が出す条件ですが、一つは聖女だと公言しないことです」
「騎士マグヌスから聞いている。その条件は問題ない。それで、もう一つの方は…?」
「カフェを開きたいのです。土地と建物、あとは食材を購入するのに必要なお店の紹介をお願いできませんか?」
どうやら想定外の条件だったらしく、アルス大公はポカーンと口を開いたまま固まっているわ。
「か、カフェ?」
「そうです。ダメ……ですか?」
ここで目にうっすらと涙をためて、弱弱しい表情をする。
権力者はプライドの高い人間が多いから、こうしてお願いすると効果的なのよね。
「うむ……ダメではない」
ほら。ここからはゴリ押しね。
最高のお店を開くために妥協をするつもりはないの。
「場所は少しだけ裕福な平民が住むエリアで、大通りから一本外れたところでお願いします。地元の人が良く通うお店にしたいのです」
「う、うむ」
「紅茶はケーキの値段は抑えて、学生でも通えるようにいしたいと思っています。ご紹介していただくお店は値段と品質のバランスが取れたところでお願いしたいのですが……よろしいでしょうか?」
「具体的に考えているのだな……」
もちろんよ。つい最近思いついたことだけど、今すごくやりたいことなのよ!
チャンスがあれば逃すはずはない。絶対に手に入れたいの。
アドル大公はアゴの髭を触りながら、数秒間沈黙してから口を開く。
「店が開店するまでだ。それでよければ条件を飲もう」
経営に口を出されたくないから、こちらからお願いしたいぐらいだわ。
お互いに納得のいく取引ができたわね。
「アドル大公、ありがとうございます」
私はすっと立ち上がると、スカートの端をもって一礼をする。
脳筋王国における最上級の感謝の気持ちを伝える動作。
「よいよい。座りなさい」
機嫌がよさそうに言ったアドル大公は、テーブルに置いてあった鈴を鳴らす。
すぐにドアが開いてメイドが一人入ってきた。
「騎士マグヌスを呼ぶように」
「かしこまりました」
ドアが閉まると、今度は羊皮紙に文字を書き込んでいく。
私がじっと見つめて待っていると、最後にサインを書き込んでペンを置いた。
「これがあれば、カフェを開くのに必要なものはすべてそろうはずだ。ワシは、これから難民を受け入れる準備をせねばならぬ。後のことは騎士マグヌスと話し合うように」
「ありがとうございます。それでは神殿で結界を張ってから、使わせていただきます」
しばらくしてマグヌス様が来ると、執務室を出てその足で神殿に向かうことになった。
「騎士マグヌスから聞いている。その条件は問題ない。それで、もう一つの方は…?」
「カフェを開きたいのです。土地と建物、あとは食材を購入するのに必要なお店の紹介をお願いできませんか?」
どうやら想定外の条件だったらしく、アルス大公はポカーンと口を開いたまま固まっているわ。
「か、カフェ?」
「そうです。ダメ……ですか?」
ここで目にうっすらと涙をためて、弱弱しい表情をする。
権力者はプライドの高い人間が多いから、こうしてお願いすると効果的なのよね。
「うむ……ダメではない」
ほら。ここからはゴリ押しね。
最高のお店を開くために妥協をするつもりはないの。
「場所は少しだけ裕福な平民が住むエリアで、大通りから一本外れたところでお願いします。地元の人が良く通うお店にしたいのです」
「う、うむ」
「紅茶はケーキの値段は抑えて、学生でも通えるようにいしたいと思っています。ご紹介していただくお店は値段と品質のバランスが取れたところでお願いしたいのですが……よろしいでしょうか?」
「具体的に考えているのだな……」
もちろんよ。つい最近思いついたことだけど、今すごくやりたいことなのよ!
チャンスがあれば逃すはずはない。絶対に手に入れたいの。
アドル大公はアゴの髭を触りながら、数秒間沈黙してから口を開く。
「店が開店するまでだ。それでよければ条件を飲もう」
経営に口を出されたくないから、こちらからお願いしたいぐらいだわ。
お互いに納得のいく取引ができたわね。
「アドル大公、ありがとうございます」
私はすっと立ち上がると、スカートの端をもって一礼をする。
脳筋王国における最上級の感謝の気持ちを伝える動作。
「よいよい。座りなさい」
機嫌がよさそうに言ったアドル大公は、テーブルに置いてあった鈴を鳴らす。
すぐにドアが開いてメイドが一人入ってきた。
「騎士マグヌスを呼ぶように」
「かしこまりました」
ドアが閉まると、今度は羊皮紙に文字を書き込んでいく。
私がじっと見つめて待っていると、最後にサインを書き込んでペンを置いた。
「これがあれば、カフェを開くのに必要なものはすべてそろうはずだ。ワシは、これから難民を受け入れる準備をせねばならぬ。後のことは騎士マグヌスと話し合うように」
「ありがとうございます。それでは神殿で結界を張ってから、使わせていただきます」
しばらくしてマグヌス様が来ると、執務室を出てその足で神殿に向かうことになった。
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