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ベッドに横たえた身体が、どんどんと沈んでいく。まるで底無し沼だ。エミリと話してからというもの、彼女の勝ち誇ったような笑みが脳裏に貼りついて離れない。
朝方まで感じていた幸福感が嘘のようだ。
寝転がった顔の近くに放ったままのスマホが、淡い光を放っている。開いたままのメッセージアプリの画面には、葉一からのメッセージが表示されていた。
『家で待ってて』
メッセージを受信したのは六時。もう一時間ほど前のことだ。きっと、退社する頃には連絡をくれたのだろう。
彼はもう家に着いただろうか。茉歩がいないことをどう思うだろう。それよりも、既読スルーしていることに怒っているだろうか。
だが、一度沈んでしまったきもちは、そう簡単には浮き上がりそうにもない。元々、強い人間ではないのだ。ちょっとのことで、すぐ気持ちが浮き沈みする。まるで子供だ。
大きなため息を吐いたと同時に、部屋の扉が遠慮がちにノックされる。
「茉歩姉……?」
「え……」
ノックの後に聞こえた声は、葉一のものだった。てっきり母親だと思っていた茉歩は、驚いて飛び起きる。
「茉歩姉、いるんでしょ? 返信がないから」
「……」
「茉歩姉?」
何か返事をしなくては。そう思うのに声が出ない。ただただ苦しくて、茉歩はベッドの上で膝を抱えて蹲った。
「具合悪い? ……寝てる?」
また遠慮がちなノックの音が響く。そして、しばらくの沈黙の後、足音が遠ざかるのが分かった。
追いかけるべきだろうか。でも、一体どんな顔をすればいいだろう。きっと葉一の顔を見たら、気持ちが溢れてしまう。
膝に埋めた顔を少しずらすと、スマホが光ったのが見えた。恐る恐る手を伸ばせば、通知画面に葉一の名前が見える。
『寝てたみたいだから、今日は帰る。昨日無理させたかな、ごめん。ゆっくり休んで』
葉一の気遣いが痛かった。その痛みは茉歩の心に突き刺さり、まるで鉛が埋め込まれたかのように重く深く沈んでいった。
朝方まで感じていた幸福感が嘘のようだ。
寝転がった顔の近くに放ったままのスマホが、淡い光を放っている。開いたままのメッセージアプリの画面には、葉一からのメッセージが表示されていた。
『家で待ってて』
メッセージを受信したのは六時。もう一時間ほど前のことだ。きっと、退社する頃には連絡をくれたのだろう。
彼はもう家に着いただろうか。茉歩がいないことをどう思うだろう。それよりも、既読スルーしていることに怒っているだろうか。
だが、一度沈んでしまったきもちは、そう簡単には浮き上がりそうにもない。元々、強い人間ではないのだ。ちょっとのことで、すぐ気持ちが浮き沈みする。まるで子供だ。
大きなため息を吐いたと同時に、部屋の扉が遠慮がちにノックされる。
「茉歩姉……?」
「え……」
ノックの後に聞こえた声は、葉一のものだった。てっきり母親だと思っていた茉歩は、驚いて飛び起きる。
「茉歩姉、いるんでしょ? 返信がないから」
「……」
「茉歩姉?」
何か返事をしなくては。そう思うのに声が出ない。ただただ苦しくて、茉歩はベッドの上で膝を抱えて蹲った。
「具合悪い? ……寝てる?」
また遠慮がちなノックの音が響く。そして、しばらくの沈黙の後、足音が遠ざかるのが分かった。
追いかけるべきだろうか。でも、一体どんな顔をすればいいだろう。きっと葉一の顔を見たら、気持ちが溢れてしまう。
膝に埋めた顔を少しずらすと、スマホが光ったのが見えた。恐る恐る手を伸ばせば、通知画面に葉一の名前が見える。
『寝てたみたいだから、今日は帰る。昨日無理させたかな、ごめん。ゆっくり休んで』
葉一の気遣いが痛かった。その痛みは茉歩の心に突き刺さり、まるで鉛が埋め込まれたかのように重く深く沈んでいった。
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