シャム猫

２４８

「お客さん、随分凝ってますね？」

「クスクス、念入りにお願いします」

「強さは、この位で大丈夫ですか？」

「腰はもう少し強めで」

「この位？」

「うん、気持ちいい」

ジョエルにうつ伏せになって貰い、腰の上に陣取り、首の付け根から、肩、背中、腰と徐々に揉む箇所を移動させながら、筋肉の強張りを揉み解していく。

「うわっ、足もぱんぱん」

「立ち仕事が多いからね」

あ～、授業の間、座れないもんね。

「お疲れ様」

「ありがと。うっ、そこっ、痛気持ちいい」
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「どう？もう少しして欲しい所とか、ある？」

「いや、ありがと。大分楽になった」

「そう？それなら良かった」

「それに、さっさと、プリント作って、湖箔とゆっくりしたいからね」

「うん///そうだね」


ジョエルが用意してくれた参考書を、本棚から持ってきて、ソファーに座ってパラパラと捲っていく。

解かってる所を読み飛ばしながら読み進め、最後まで見終わると、本棚に戻し、次の教科の本を手に取る。

その繰り返し。

ここで予習や復習をしていると、英語と数学に関してだけだけど、解からない所とかがあった時に、すぐジョエルに訊けるから、助かっている。

まぁ、あまり手を煩わせたくないから、なるべく自分で頑張るけどね。


「よしっ、終わった。湖箔の方はどうだ？」

「ん～、もう少し」

「そうか、なら、お風呂のお湯、張り始めても大丈夫そうかな」

ジョエルはそう言って、俺の頭を軽く撫でてから、お風呂場に消えていった。

浴槽を磨く音を聞きながら、読むペースを速めた。