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三十一
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「親分?」
「孝市郎、確かに最初は勢いだったんだろう。あの二人を入れたのは。」
「へい。」
栄五郎の意図が読めず、孝市郎は簡潔に返事をするにとどめた。
「だが、俺の指示した二日であの二人を路頭に迷うことのないように始末をつけた。二年前のおめえなら『あの二人を置け!』と俺と殴り合いをやっただろう。だが、おめえは、自分の善行を信じながらも、こちらの都合も汲んだ。」
確かにそうだ。もし、二年前の自分ならあの二人を助けることだけで突っ走っていただろう。
もしくは、おたえを殴りつけ、人の道を説いたかもしれない。さらには大前田一家の名前を利用したかもしれない。
だが、自分の正しさを信じても、人の都合を考えれば、頼む以上のことはできなかった。
「卓玄に頼まれたお前の矯正は終わりと考えていいだろう。もう家に帰ってもいい。」
「矯正ですか?」
「そうよ、おめえは自分が正しいと思えば突っ走る男だった。そこを卓玄は心配してな。俺に預けたのよ。」
「心配するのはわかりますが、なんで預けられたのでしょうか?」
「卓玄も歳だ。おめえと殴り合って勝てねえから俺に頼んだのよ。いざという時殴ってでも止めにゃならねえとか投げたからよ。」
「和尚はそんな心配をされていたのですか?」
「あの晩、おめえは後先考えず喧嘩をやった。あげくに俺の下に来ることを拒んで俺に喧嘩を売った。」
「へい。」
「はい、と返事しな。おめえはもう部屋住みじゃねえんだからよ。」
栄五郎の中では、既に孝市郎は一家の者ではなくなっているらしい。
「はい。」
「おめえは、すべてを拳で解決しようとする馬鹿だと悟って俺はお前を預かる気になった。まるで昔の俺だ。いつかは人を斬りかねねえ。」
否定できなかった。最初は喧嘩でも、そこから刃傷沙汰に発展することはよくある。
「今回の件、あの二人を救おうとしたお前の気持ちは正しい。だが、その正しさに暴走はしなかった。お前は大丈夫だと思う。家に帰り百姓になんな。忠治にも二年前、『将来は百姓』って言ったんだろ。回り道はしたが、立派な百姓になんな。おめえならなれる。働きぶりを毎日見てたからな。」
「はい。」
そう思いながらも、一つだけ聞いておきたかった。
「もし、俺が始末つけられなかったらどうするつもりだったんで。」
これだけは、聞いておきたい。栄五郎が路頭に迷わすとは思わないが、どうするつもりだったのか。
「今、忠治は赤城山の中に籠っている。そこに送るつもりだった。そこなら人の目がねえから、博徒が飢えた子を預かっているなんて話が人の口に上る恐れはねえ。」
「あの二人の事、ちゃんと考えられていたのですね。」
「あたりめえだ。あんな可愛い兄弟を路頭に迷わせられるか。赤城の山の中は寒かろうと思って綿入れだって用意したんだ。」
「忠治さんはよろしかったのですか?」
「忠治も周りにいるのが子分ばかりだからな。毎日見慣れた男の顔ばかりで退屈してたとよ。子供が来るなら暇つぶしに剣を仕込んでやると言ってた。」
「忠治さんにしごかれたら強くなれそうだ。」
二年前、本間道場で稽古つけてもらった時のことを思い出す。
「代わりにおまえが相手をしてやんな。おまえだって弱くはねえんだからよ。」
「はい、親分。」
「おいおい、俺はもうおめえの親分じゃねえぞ。」
「いいえ、俺にとっては、大前田栄五郎という漢は一生親分です。盃はもらわなくてもそう思って生きていきます。」
「堅気のもんにそう言われてもな、困るぜ。」
二人は笑い合った。ただ、栄五郎の笑顔は少々寂しげであった。
「おめえ、本当に一家を抜けるのか?」
「あぁ、二年前に預けられた時の目的を達したから帰っていいと言われた。」
荷造りする孝市郎に狼狽した体の茂三が話しかけてきた。
「目的ってなんだよ、おめえ。」
「そいつはよ…。」
孝市郎は茂三に、二年前の事から全て話した。
「そうかい、おめえ、博徒に本当になるつもりはなかったんだな。」
「無かった。でもよ、仕事に手を抜けなくてな。」
「おめえがいなくなって……エッ!」
「おめえが部屋住みのてっぺんだな、頑張れよ。盃まであと少しじゃねえの。」
「お、おう。」
「世話になったな。おめえがいたからやっていけたところがある。」
「そいつは俺の台詞よ。俺もよ、何度か逃げ出そうと思ったのよ。」
「そうだったのか。」
「先輩たちはいじめるしよ、仕事はきついし。何度か逃げようと思ったけど、おめえが逃げねえから負けてたまるかって思ってな。」
「俺は行き先がねえと思ってただけなんだがよ。」
「いいってことよ。おかげで逃げださずに部屋住みやれた。あんがとよ。」
「栄次さん、お世話になりました。」
孝市郎は、一家で世話になった人に別れの挨拶をして回っていた。
「とうとう、盃はもらわずか。」
「はい、親分の中ではもう俺は部屋住みではないようなんで。」
「もったいねえ、今からでも貰いに行こう。俺も口添えするぞ。」
「頂けるなら頂きたいですけど。」
「百姓がいいか。」
「はい、百姓になってまっとうに稼いで生きたいです。親分の盃は欲しいですけど。」
「俺の盃ならいつでもやるんだけどな。」
「すいません、俺にとって親分は大前田栄五郎お一人です。」
「はっきりいう奴だ。」
「すいません。」
「いいさ、俺も気持ちは一緒だ。もっとも俺にはもう一人親分がいたがな。」
「どなたですか?」
「親分の父親、久五郎親分よ。」
要吉と栄五郎の父、久五郎のことは孝市郎も聞いている。栄次は、その人からも盃を受けていたのだ。
「親分が、最初に人を斬って戻ってから、俺は久五郎親分から『栄五郎の子分になれ』と言われてね。俺も親分の度胸に惚れこんでいたから渡りに船で受けたのよ。」
「でもそれって、「下され子分」ですから一家の跡目を継ぐことはできませんよね。」
下され子分とは、先代の親分が跡目を継ぐ者に子分を譲ることである。普通に親分子分の関係は成立するが、親分が一から育てた子分と異なり、一家の跡目を継ぐ資格が無いとされる。
「俺と親分は同年代、跡目はねえよ。それに子分の喜びってのは日の本一の親分の日の本一の子分になることよ。跡目なんざどうでもいい。」
笑う栄次の顔に邪気は無い。晴れ晴れとしたいい笑顔だった。
「親分、二年の長きに渡りお世話になりました。」
「もう二年になるのか。」
「はい、あの喧嘩の夜が昨日の事のようですが。」
「お前の拳は堪えたぞ。もう少しもらってたら危なかったな。」
「そんなことは無いでしょう。」
「いや、本当さ。結構きいた。」
栄五郎は笑った。
「親分、二年に渡るご指導ありがとうございました。」
「何かしたかな、兄貴にやってもらってばっかだっただが。」
そんなことはない。旅先で教えてもらったことは忘れない。
人に立てられたくば、まず人を立てろ。人が何を望むか考えろ。
三井の卯吉や忠治もさらっと実践していたこと、今後の自分もできるだろうか。
やらねば、この人が二年間自分にしてくれたことが無駄になる。
「親分、自分にとっての親分は、大前田栄五郎お一人、その言葉だけは嘘偽りありません。何か事あればお力添ええさせて頂きます。」
「あほかい!てめえみてえなひよっこに頼ることなんざねえよ。」
「失礼申しました。」
孝市郎は頭を下げた。
頭を上げた時、栄五郎は優しく、しかしどこか寂し気に笑っていた。
「帰んな。おめえのお袋さんが首を長くして待ってるぜ。」
「はい。」
荷物を包んだ風呂敷包みを手に立ち上がる。
「お世話になりました。」
「あぁ、もう会うことはねえだろう。おめえは堅気なんだからな。」
冷たいような、だが優しい言葉を背に受けて孝市郎は、一家を出た。
「孝市郎、確かに最初は勢いだったんだろう。あの二人を入れたのは。」
「へい。」
栄五郎の意図が読めず、孝市郎は簡潔に返事をするにとどめた。
「だが、俺の指示した二日であの二人を路頭に迷うことのないように始末をつけた。二年前のおめえなら『あの二人を置け!』と俺と殴り合いをやっただろう。だが、おめえは、自分の善行を信じながらも、こちらの都合も汲んだ。」
確かにそうだ。もし、二年前の自分ならあの二人を助けることだけで突っ走っていただろう。
もしくは、おたえを殴りつけ、人の道を説いたかもしれない。さらには大前田一家の名前を利用したかもしれない。
だが、自分の正しさを信じても、人の都合を考えれば、頼む以上のことはできなかった。
「卓玄に頼まれたお前の矯正は終わりと考えていいだろう。もう家に帰ってもいい。」
「矯正ですか?」
「そうよ、おめえは自分が正しいと思えば突っ走る男だった。そこを卓玄は心配してな。俺に預けたのよ。」
「心配するのはわかりますが、なんで預けられたのでしょうか?」
「卓玄も歳だ。おめえと殴り合って勝てねえから俺に頼んだのよ。いざという時殴ってでも止めにゃならねえとか投げたからよ。」
「和尚はそんな心配をされていたのですか?」
「あの晩、おめえは後先考えず喧嘩をやった。あげくに俺の下に来ることを拒んで俺に喧嘩を売った。」
「へい。」
「はい、と返事しな。おめえはもう部屋住みじゃねえんだからよ。」
栄五郎の中では、既に孝市郎は一家の者ではなくなっているらしい。
「はい。」
「おめえは、すべてを拳で解決しようとする馬鹿だと悟って俺はお前を預かる気になった。まるで昔の俺だ。いつかは人を斬りかねねえ。」
否定できなかった。最初は喧嘩でも、そこから刃傷沙汰に発展することはよくある。
「今回の件、あの二人を救おうとしたお前の気持ちは正しい。だが、その正しさに暴走はしなかった。お前は大丈夫だと思う。家に帰り百姓になんな。忠治にも二年前、『将来は百姓』って言ったんだろ。回り道はしたが、立派な百姓になんな。おめえならなれる。働きぶりを毎日見てたからな。」
「はい。」
そう思いながらも、一つだけ聞いておきたかった。
「もし、俺が始末つけられなかったらどうするつもりだったんで。」
これだけは、聞いておきたい。栄五郎が路頭に迷わすとは思わないが、どうするつもりだったのか。
「今、忠治は赤城山の中に籠っている。そこに送るつもりだった。そこなら人の目がねえから、博徒が飢えた子を預かっているなんて話が人の口に上る恐れはねえ。」
「あの二人の事、ちゃんと考えられていたのですね。」
「あたりめえだ。あんな可愛い兄弟を路頭に迷わせられるか。赤城の山の中は寒かろうと思って綿入れだって用意したんだ。」
「忠治さんはよろしかったのですか?」
「忠治も周りにいるのが子分ばかりだからな。毎日見慣れた男の顔ばかりで退屈してたとよ。子供が来るなら暇つぶしに剣を仕込んでやると言ってた。」
「忠治さんにしごかれたら強くなれそうだ。」
二年前、本間道場で稽古つけてもらった時のことを思い出す。
「代わりにおまえが相手をしてやんな。おまえだって弱くはねえんだからよ。」
「はい、親分。」
「おいおい、俺はもうおめえの親分じゃねえぞ。」
「いいえ、俺にとっては、大前田栄五郎という漢は一生親分です。盃はもらわなくてもそう思って生きていきます。」
「堅気のもんにそう言われてもな、困るぜ。」
二人は笑い合った。ただ、栄五郎の笑顔は少々寂しげであった。
「おめえ、本当に一家を抜けるのか?」
「あぁ、二年前に預けられた時の目的を達したから帰っていいと言われた。」
荷造りする孝市郎に狼狽した体の茂三が話しかけてきた。
「目的ってなんだよ、おめえ。」
「そいつはよ…。」
孝市郎は茂三に、二年前の事から全て話した。
「そうかい、おめえ、博徒に本当になるつもりはなかったんだな。」
「無かった。でもよ、仕事に手を抜けなくてな。」
「おめえがいなくなって……エッ!」
「おめえが部屋住みのてっぺんだな、頑張れよ。盃まであと少しじゃねえの。」
「お、おう。」
「世話になったな。おめえがいたからやっていけたところがある。」
「そいつは俺の台詞よ。俺もよ、何度か逃げ出そうと思ったのよ。」
「そうだったのか。」
「先輩たちはいじめるしよ、仕事はきついし。何度か逃げようと思ったけど、おめえが逃げねえから負けてたまるかって思ってな。」
「俺は行き先がねえと思ってただけなんだがよ。」
「いいってことよ。おかげで逃げださずに部屋住みやれた。あんがとよ。」
「栄次さん、お世話になりました。」
孝市郎は、一家で世話になった人に別れの挨拶をして回っていた。
「とうとう、盃はもらわずか。」
「はい、親分の中ではもう俺は部屋住みではないようなんで。」
「もったいねえ、今からでも貰いに行こう。俺も口添えするぞ。」
「頂けるなら頂きたいですけど。」
「百姓がいいか。」
「はい、百姓になってまっとうに稼いで生きたいです。親分の盃は欲しいですけど。」
「俺の盃ならいつでもやるんだけどな。」
「すいません、俺にとって親分は大前田栄五郎お一人です。」
「はっきりいう奴だ。」
「すいません。」
「いいさ、俺も気持ちは一緒だ。もっとも俺にはもう一人親分がいたがな。」
「どなたですか?」
「親分の父親、久五郎親分よ。」
要吉と栄五郎の父、久五郎のことは孝市郎も聞いている。栄次は、その人からも盃を受けていたのだ。
「親分が、最初に人を斬って戻ってから、俺は久五郎親分から『栄五郎の子分になれ』と言われてね。俺も親分の度胸に惚れこんでいたから渡りに船で受けたのよ。」
「でもそれって、「下され子分」ですから一家の跡目を継ぐことはできませんよね。」
下され子分とは、先代の親分が跡目を継ぐ者に子分を譲ることである。普通に親分子分の関係は成立するが、親分が一から育てた子分と異なり、一家の跡目を継ぐ資格が無いとされる。
「俺と親分は同年代、跡目はねえよ。それに子分の喜びってのは日の本一の親分の日の本一の子分になることよ。跡目なんざどうでもいい。」
笑う栄次の顔に邪気は無い。晴れ晴れとしたいい笑顔だった。
「親分、二年の長きに渡りお世話になりました。」
「もう二年になるのか。」
「はい、あの喧嘩の夜が昨日の事のようですが。」
「お前の拳は堪えたぞ。もう少しもらってたら危なかったな。」
「そんなことは無いでしょう。」
「いや、本当さ。結構きいた。」
栄五郎は笑った。
「親分、二年に渡るご指導ありがとうございました。」
「何かしたかな、兄貴にやってもらってばっかだっただが。」
そんなことはない。旅先で教えてもらったことは忘れない。
人に立てられたくば、まず人を立てろ。人が何を望むか考えろ。
三井の卯吉や忠治もさらっと実践していたこと、今後の自分もできるだろうか。
やらねば、この人が二年間自分にしてくれたことが無駄になる。
「親分、自分にとっての親分は、大前田栄五郎お一人、その言葉だけは嘘偽りありません。何か事あればお力添ええさせて頂きます。」
「あほかい!てめえみてえなひよっこに頼ることなんざねえよ。」
「失礼申しました。」
孝市郎は頭を下げた。
頭を上げた時、栄五郎は優しく、しかしどこか寂し気に笑っていた。
「帰んな。おめえのお袋さんが首を長くして待ってるぜ。」
「はい。」
荷物を包んだ風呂敷包みを手に立ち上がる。
「お世話になりました。」
「あぁ、もう会うことはねえだろう。おめえは堅気なんだからな。」
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