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第6章 力を求めて -再臨ニケ編-
第200歩目 新たな朝の始まり!彼女ニケ⑦
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(変更前)新たな朝の始まり!彼女ニケ⑰ → (変更後)新たな朝の始まり!彼女ニケ⑦
なお、本文の変更はございません。
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前回までのあらすじ
大分間が空きましたので、ここまでの本編の簡単な流れを紹介します。
ニケとのデート1日目・・・『異次元世界』デート
ニケとのデート2日目・・・『初キス』&『お風呂』デート
ニケとのデート3日目・・・『魔動駆輪&マイホーム購入』デート
ニケとのデート4日目・・・『現在』 ← new!
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ここ最近の日々の寒暖差にはお気を付けください。
かく言う私もすっかりとやられてしまい、体調があまり思わしくはありませんが.....。HAHAHA。
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□□□□ ~長き夢からの目覚め~ □□□□
(気持ちいい.....。とても気持ちいい.....)
それをしっかりと感じ取れるぐらいには、俺の意識はハッキリと覚醒してきてはいる。
(気持ちいい.....。とても気持ちいい.....。このまま、ずっとこうしていたい.....)
そう思える程の感覚が、俺の頭に───いいや、頭だけではない。
まるで、俺の顔全体に広がっているようでもある。ぷにぷにしていて柔らかい、そんな感じ?
しかもだ。
(.....う~ん? 気持ちいい以外に感じるこれはなんだ?)
そう、感じるのはぷにぷに感の柔らかさだけではないのだ。
(.....いいね!)
だが、その正体は意識が徐々に覚醒していく上で少しずつ分かってきた。
えっと.....こう言ってはなんだが、とてもいい香りがする。とても安心する匂いだ。
ごほん。一応あらかじめ言っておくが、俺は匂いフェチでも何でもない。
そう前置きをした上で言わせてもらうが、そんな匂いフェチでも何でもない俺でさえ、とてもいい香りだと思うぐらいにはとてもいい匂いなのである。そう、まるでシルクのような香りだ。
そして、それとは別に感じ取れるもう一つの香りも.....。
(これはなんの匂いだ?.....ちょっときつめというか主張の激しい匂い?)
ちなみに、嫌いではない。えぇ、嫌いではないですとも。
ただ、全く無いとは言わないが、それでもあまり嗅いだことの無い匂いのような気がする。
例えるのなら、そうだな.....酸っぱい匂い? いいや、まるで蒸れたような───。
「あ、あの.....。あまり嗅がれると恥ずかしいですのですが.....」
「うっぴゃあ!?」
頭上より降り注がれた声に驚いて、俺はその場から勢いよく飛び退いてしまった。
───ギシギシ。
すると、なんてことはないはずの音なのに、まるで下品な音かのように軋むベッド。
───バクバク。
そして、激しく脈打つ俺の心臓の鼓動。
それはまるで血が繋がった家族のような.....。そう、まるで「俺達、兄弟だよな!」とでも示した合わせたかのように、ベッドの軋む音と俺の心臓の脈打つ鼓動のリズムが一緒なのである。
なんたる偶然。なんたる奇跡。
これこそ、まさにマイ・ブラザーと言える瞬間だろう。HAHAHA。
「あぅ.....」
「.....」
顔を赤くして恥ずかしがっているニケさん。
一方、俺はニケさんのとある姿を見て、どう言葉を掛けていいか分からないでいる。
では、ニケさんのとある姿とは何かというと.....。
なんてことはない、ニケさんは普通に座っているだけだ。
さすができるお姉さんの貫禄あるビシッとした正座で、ベッドの上に静かに佇んでいるだけである。
つまり、今の今まで俺を膝枕してくれていたのだろう。
それは、飛び退く前から薄々と気付いてはいたから別にいい。
だが、目の前のニケさんはそれだけではない。
顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにもじもじとしている。
それに、若干俯き気味で、きれいな灼眼は涙ぐんでいるようにさえ見える。
更に加えて、股の間を両手で押さえて───いいや、これはまるで、俺からの視線を遮るかのように必死に隠してもいるようだ。.....こ、これはやっちまったか?
「.....歩様の意地悪」
「.....」
それと言うのも、今現在俺とニケさんは向かい合っている状態だ。
いいか? 俺とニケさんは向かい合っている状態なのである。
これの意味するところを、あなたは理解できるだろうか?
どういうことかいうと.....。
俺は先程までずっとニケさんに膝枕をしてもらっていた。
そして、ニケさんの掛け声によって、もんどり打つようにして飛び起きた。
そう、もんどり打つようにして飛び退き、そのままニケさんと対面しているのである。
それの意味するところは.....。
つまり、通常の膝枕とは違う膝枕をしていたということだ。通常の仰向け姿勢の膝枕ではなく、うつ伏せ状態の膝枕を.....。
「あ、あの.....そ、そんなにきつい匂いでしたか?」
「.....」
これ、もはやなんて答えたらいいのか分からないな。
だが、とりあえず「きついというか.....最高でした」と答えると、当然その答えにニケさんは全身真っ赤になってしまったことだけは容易に想像がつくことだろう。
「うぅ.....。ちゃんとお風呂には入っていますのに.....」
「着物は蒸れやすいと聞いたことがあるので、ある程度は仕方がないですよ」
それに、俺は誰もが良い匂いだと認める香りよりも、ちょっと香ばしい香りの方が好きなのである。
具体的にはアルテミス様とか、アルテミス様とか、アルテミス様とか。あの様々な箇所の処理を怠ったアルテミス様の噎せ返るような香ばしい香りは、まさに俺の大好物だと言っても過言ではない。
故に、ニケさんの今のちょっと香ばしい香りはそこまでいかないとしても、これはこれでなかなか良いものだと思うので自信を持って欲しい。一言で言うのなら、「ありがとう!」ということだ。
「そ、そうは言われましても.....恥ずかしいです」
「そうですか? 俺はそんなニケさんも好きですよ?」
「!! う、嬉しいで───いえ、ちょっと待ってください。やはり微妙というか恥ずかしいのですが?」
「HAHAHA」
さて、ここまで説明すれば、ニケさんが何に対して恥ずかしがっているか大体予想が着いたと思う。
まず、俺はうつ伏せの状態で膝枕をしていた。
故に、頭から伝わってきた気持ち良さはニケさんのなでなでで、顔から伝わってきた気持ち良さはニケさんの太股の柔らかさなんだと思う。
そして、そこから漂ってきた二つの匂い。
一つはシルクのようなとても良い匂い。
これは───恐らく、着物から漂ってきた匂いだろう。
もう一つは何かが蒸れたような酸っぱい匂い。
これは───うつ伏せの状態での膝枕やニケさんが股を隠すような仕草をしているところから察するに、恐らくはニケさんのおま───ピー!
ここからはノクターンな内容になってしまうので、ぜひあなた自身でその答えを探してみて欲しい。
「な、ななな何を言っているんですか!? あ、歩様のバカ!」
「まぁまぁ。とても良いかほりでしたよ。ご馳走さまでした」
「ご、ご馳走!?.....あぅ~」
「あっ」
恥ずかしさのあまり、俺の目の前で全身真っ赤になってショート寸前のニケさん。
どうやら、俺の変態的趣味嗜好をぶつけるにはまだ時期が少しばかり早かったようだ。
さてさて、特段このままでも全く問題はないのだが、俺はそっとニケさんを抱き締める。
「あ.....」
「.....」
すると、さすがに目を回していたニケさんでも、そこまですればこの後の展開が予想できたのだろう。そのきれいな灼眼の瞳を潤わせて、期待するかのような上目遣いで俺をジッと見つめてきた。
「歩様.....」
「ニケさん.....」
互いの視線と視線が絡み合う。
互いの想いと想いが求め合う。
今、俺とニケさんの間には邪魔となるような障害は何も.....。
───ぴくぴく。
「.....」
「歩様?」
「.....いえ、何でもありません」
(こ、こんのエロ狐がッ! バレバレな狐寝入りしてんじゃねえぞ!!)
ごほん、失礼。.....今、俺とニケさんの間には邪魔となるような障害は何もない。
うん、そういうことにしておく。バレバレな狐寝入りをしているドールには後でもふもふの刑を処すと決めて.....。
「えっと.....では、おはようございます」
「はい。おはようございます」
「「ん.....」」
そして、俺とニケさんは朝の挨拶を交わし、そのまま軽く唇を重ねたのだった。
一日の始まりはニケさんとのおはようのキスから始まる。
それが俺とニケさんとの間で交わされた約束の一つ。
そう、今ここに、ようやく(特別編という)長き夢から目覚めたのだった。
□□□□ ~ご飯にします? それとも・・・~ □□□□
おはようのキスを終えた俺とニケさんは場所をキッチンへと移した。
───チュンチュン。
───チュンチュン。
小鳥達の囀りが、俺とニケさん、そして爽やかな朝を出迎えてくれている。
いや、違う。これは本物の小鳥達の囀りなどではなく、そういったBGMなのである。
そもそも、【サクラ號】においては、各個人の部屋以外にはこういったBGMがサクラのサポートにより、その場所の雰囲気によってそれぞれ流れるようになっている。
トイレならば川のせせらぎ音が、リビングならば時間帯に適したBGMなどなど。
故に、今は朝だから鳥の囀りのBGMが流れているのだろう。
BGMの選曲は管理人であるサクラ任せだ。
ちなみに、こういったBGMを所望したのは当然のことながらアテナである。
あの駄女神はこういった細部には妥協をしない性格らしく、それが為に【サクラ號】の完成度は非常に高い。ちょっとした高級ホテルに滞在している気分になれる。
そうそう。今更説明するまでもないと思うが、【サクラ號】とは俺達の魔動駆輪兼マイホームのことであり、サクラとは【サクラ號】の管理人AIのことである。
産みの親?はニケさんであり、子は親に似るの例え通り、非常に優秀だ。
実際、【サクラ號】の全てはサクラの24時間フルサポートで成り立っており、さすがはできるお姉さんであるニケさんの子供───。
「わ、私と歩様の子供.....(ちらっ)」
「ぶふっ!?」
恥ずかしがりつつも、ちょっと期待した眼差しで俺をちらちらと伺うニケさん。
そんなに期待された眼差しで見つめられると、さすがに俺もニケさんの体を意識してしまうので、ここは断腸の思いで敢えてノーコメントを貫こうと思う。
とりあえず、さすがはできるお姉さんであるニケさんより産み出されたAIだと言える。
しかし、何故かサクラの母親はサクラとしての自我を与えてくれたヘカテー様となっており、これまた子は親に似るの例え通り、どこか幼さが残っていたりもする。
「ますたぁ、おはようございますぅ」
「おはよう。今日も一日よろしくな」
「はぁい。がんばりますよぉ!」
さて、サクラに軽く挨拶を終えたところで、俺はニケさんの料理風景をまじまじと眺めることに専念した。
元々は朝食ができたら呼びに行くと言われていたのだが、俺がどうしても「ニケさんの料理している姿を見てみたい!」と頼み込んで、今はこうしている。
───トントントン。
───トントントン。
キッチンで奏でられる軽快なハーモニー。
そのハーモニーの美しさから、料理技術の高さ、果ては手馴れていることさえ窺い知れる。
「見られながらですと恥ずかしいですね」
「そうですか? とてもお似合い.....というと変ですが、とても様になっていますよ」
「ありがとうございます。日々、研鑽に励んでいるおかげですね」
「お見事です」
実際、本当に励んでいるのだろう。
恥ずかしいとは言いつつも、手際はとても良い。どこかベテランの域に至っている雰囲気さえある。
「どうかしました?」
「い、いえ。何でもないです」
そして、そんなニケさんの姿を見て、思わず俺の顔もニヤニヤと緩まずにはいられない。
だって、そうだろう?
どこか新妻を見守る夫の気分に───新婚気分に浸ってしまったのだから。
(やっぱり、料理しているニケさんの、女性の姿はグッとくるものがあるよなぁ)
一応言っておくが、別に料理は女性がするものなどといった時代錯誤のようなことは何も言ってない。
ただ、やはりキッチンという場所は女性が居てこそ映えるし、どこか女性の戦場でもあるように思えてならないのである。
「ふん、ふん、ふ~ん♪」
「おぉ」
少なくとも、俺は鼻唄を歌いながら料理しているニケさんをいつまでも眺めていたい。
こちらも楽しくなってくるというか、幸せな気分に包まれるというか、どこかかわいくて見ていて飽きることがない。
「ふふっ。ありがとうございます。やはり効果てきめんでしたね」
「ん? どういうことですか?」
「雑誌に書いてあったんですよ。鼻歌を歌いながらの料理はポイントが高いと」
「台無しですよ!?.....と言うか、それ、言っちゃダメな系のやつですよね!?」
「てへっ♪」
ウインクしながら舌をちろっと出して、片手でコツンッと頭を一回小突く───所謂、てへぺろポーズをするニケさん。
「くッ!」
あざとい! あざといが.....非常にかわいい!!
この場面においては効果抜群だろう。.....いや、待てよ?
「あの。もしかしたら、そこまでがワンセットとかですか?」
「ッ! そ、それは言えません!!」
「.....ふーん」
なるほど。ワンセットということか。こっちが本命で、これこそが言っちゃダメな系のやつと.....。
恐るべし、雑誌! でも、ここは敢えて「GJ!」と言っておこう。かわいいニケさんを見れて儲けものだしなッ!
───トントントン。
───トントントン。
さて、俺がニヨニヨしている間にも料理は淡々と進んでいく。
恐らく、ニケさんが作っているものは和食だろう。
だからだろうか、何故か気になる点というか、何かが足りないような気がする。
(う~ん。こう、何かが足りない気が.....)
しかし、その足りない何かが何なのかがさっぱり分からない。
ただ料理自体は問題なく進んでいるので、その足りない何かが無くとも大丈夫なのだろう。
しかし、それでも、痒いところに手が届かないというか、画竜点睛を欠くといった感じだ。
(.....なんだ? 何が足りない?)
「歩様。お味噌汁の味見をお願いしてもよろしいですか?」
「あっ、はい。喜んで」
期待するような眼差しで俺を見つめてくるニケさん。
とりあえず、俺の疑問は後にして、お味噌汁の味見をするほうが先だ。
俺はニケさんから味見用の小皿を受け取って、早速お味噌汁の味見をしてみることに───と、その前に。
「ニケさん」
「え!?」
ニケさんの腰に手を回して、俺の方にグイッと引き寄せる。
そして、驚いているニケさんに構わず、そのまま軽く唇を重ねることに。
「「ん.....」」
おはようのキスから、それほど時間が経っていない間での二回目のキス。
しばらくして、そっと唇を離すと、ニケさんはまだ物足りなさそうな切なそうな表情をしていた。その魅惑な表情が堪らなく俺の心を揺さぶる。
(も、もう一回キスしちゃおうかな?)
いやいやいや。落ち着け、俺。
というよりも、何故ニケさんが先程驚いていたのかが全く分からない。味見とは言えど、いただきますのキスは必要だと思ったのだが.....。
「あれ? キスを期待していたんじゃないんですか?」
「違います!.....いえ、違わないと言いますか嬉しいのですが、私は純粋に味を見てもらおうと思っていましたので.....」
「す、すいません。俺の早とちりでしたか.....」
「ふふっ。でも、私としては嬉しい誤算でした」
「HAHAHA」
なんというか、異次元世界から戻ってきてからは、どうにもこうにもニケさんを求める傾向が強くなっているような気がする。
それと言うのも、常にいちゃいちゃしていたいというか、常に触れ合っていたいとさえ思うようになっているからだ。それは心だけではなくて肉体的にも.....。
(う~ん? キスをするようになったからか?)
とりあえず、悩んでいても答えは出そうにない。
ニケさんも待っていることだし、お味噌汁の味見をしてしまおう。
そう結論付けたところで、ニケさんがスッと眼を閉じた。
そして、顎を少し上げ、両手を胸の前に持ってきて祈るかのポーズ───所謂、キス体勢に入ったニケさん。既に準備万端なようだ。
「.....え?」
「では、お願いします」
「えっと? いただきますのキスなら先程しましたよね?」
「先程のはノーカンです。不意打ちはカウントしませんので」
「えぇ.....」
しかし、見るからにドキドキと期待されているとあったら、断るにも断りきれない。
(いいや、ここで断ったら男が廃るというものだ! ニケさんの、彼女の望みを叶えてあげるのも彼氏の努め!!)
そう自分に言い聞かせて、俺は再びニケさんとキスを交わしていくのだった。
ニケさんの「味見.....します?」の声が掛かる度に、何度も.....何度も.....何度も.....何度も。
しまいにはネタに事欠いたのか.....。
「あ、歩様? そ、そのですね。えっと.....わ、わわわわ私も味見しちゃいますか!?」
「ぶふっ!? そ、それ、料理じゃないですよね!?」
こうして俺とニケさんのデート四日目は、朝食に出てきた『だし巻き卵』のようなあま~い朝から始まることとなった───。
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後書き
次回、本編『新たなる危機!?』!
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今日のひとこま
~足りない何か~
「う~ん」
「どうされました?」
「何かが.....何かが足りないんです」
「え!? わ、私に何か至らぬ点がございましたか!?」
「いやいや。そういうことじゃなくてですね」
「ほっ。.....では、何がご不満なのでしょうか?」
「いや、不満という程のものでもないんですよ」
「はぁ.....?」
「例えるのなら、『惜しい!』といった感じでしょうか?」
「惜しい? 何が惜しいのですか?」
「それが分からないので悩んでいるんです」
「そうですか。何かこうヒントみたいなものはございませんか?」
「う~ん。そうですね.....ニケさんは俺の中では常に100点満点の彼女なんです」
「ッ! も、もう! 歩様ったら! 口がお上手なんですからッ!.....ふふっ。アテナ様の分のだし巻き卵を一つ、歩様に差し上げますね?」
「おぉ! それはありがとうございます!.....というか、なんでアテナなんです?」
「実は昨夜、アテナ様はお花を摘みに行く振りをしてお菓子を食べておりましたので」
あ、あのくそ駄女神がッ!
夜中にお菓子を食べるなと何度も!!
「.....いや、待ってください。お菓子BOXの使用権限は俺にしかないはず。それをどうやって?」
「システムというものには何事も抜け穴というものが存在しますので.....」
「と言いますと?」
「この【サクラ號】のシステムは全てサクラが管理しております」
「.....つまり、アテナがサクラを上手く丸め込んだと?」
「.....」
「ハァ.....。あいつは『智慧の女神(笑)』というよりも『悪智慧の女神』なのでは?」
「それも含めて、偉大なるオリンポス12神様の1柱でございますから」
せ、説明になっていないんですが!?
まぁ、別にいいか。アテナの分のだし巻き卵を全部貰えるみたいだし。
「それで、何が足りないのでしょうか?」
「そうそう。普段は100点満点なニケさんなんですが、何故か料理している姿は99点に思えたんですよね」
「あと1点、何かが足りないということですか?」
「そうなんです。とは言っても、あと1点なので、きっと些細なことだとは思うんですが」
「私はそういうのが非常に気になるんですよね。気持ち悪いというか集中できないというか.....」
「そうですか。だったら、何が足りないか一緒に考えましょう」
「はい! でしたら、歩様が知る限りでの料理風景を思い出されてみてはいかがでしょう?」
「俺の知る限り.....ですか?」
「はい。ドワーフや狼の娘、元女神の娘やモリオンの友達の娘に、現地勇者の幼馴染みとかいう者などたくさんいることですし」
「あー、なるほど。(.....あれ? ラズリさんや専属メイドさんは含まれていない.....?)」
「.....どうでしょう? 何か思い当たることはございましたか?」
「う~ん...............。あっ!」
「分かりましたか?」
「はい! バッチリです!」
「おめでとうございます! 良かったですね!」
「はい。ありがとうございます。料理には欠かせないものでした」
「それで、私に足りないものとは何でしたか?」
「それは秘密です」
「え!? そ、そんな!」
「まぁまぁ。今日、一緒に買いに行きましょう」
こうして、今日のデートはとある物を購入することが決定した。
しかし、まさかあんなことになろうとは、この時誰が予想できただろうか.....。
応援ありがとうございます!
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