私の辛かった思い あんたにぶつかっていくわ!

すんのはじめ

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第1章

1-4

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 日曜日の朝、桔梗がなかなか起きてこないので、私は起こしに行ったのだけど・・・今日は、お店の若い男の人が法事とかでお休みしていて、お昼の仕出しも普段よりも多いので、私も桔梗も手伝うことになっていたのだ。昨日も夕ご飯の時間になって桔梗はようやく帰って来て「ご飯 要らない お風呂入って寝るネ」と、不機嫌なのか勝手なことを言って部屋にこもってしまっていた。

 やっと起きてきたかと思ったら、髪の毛はぼさぼさでパジャマのままなので

「桔梗 早く ご飯済ませて 着替えなさい お店手伝うからネ」と、私が少しイラついて・・

「ウチ 友達と約束してんネン 食べたら 出掛ける お母さんには話してある」

「えぇー そんなん 又 男の子達も一緒?」

「そうやー ウチはお姉ちゃんとちごぉーて もてへんからな 誘われたら行くんやー お姉ちゃんは美人で男の子達に人気あるからモテモテで男も選べるやろーけどな それに勉強も出来るし、スポーツもな もっとも、最近はあのことがあるから評判ガタ落ちやけどなー」

 桔梗は食パンにハムと炒り卵を乗せて、さっさと食べて、洗面所に消えて行った。この頃は話し掛けると異常なほど反抗してくるのだ。まるで、敵意を抱いてかのように・・。今年に入ってからだんだんとひどくなってきていた。私のあのことが起きてからは、余計なのだ。少し前までは、一緒にお風呂に入ったりして仲が良かったのだけど・・今は、別々に入るようになってしまった。だけど、夏に脱衣所ですれ違った時、桔梗は最近ぽっちゃり気味になってきたせいか、胸なんかも私よりもふっくらとしていて、下着も中学生の割には派手なものを身に着けているのだ。そして、今日も目立つ恰好で出掛けようとしているみたい。

 お母さんも知っているはずなのだけど、桔梗には小言も言わないのだ。お父さんも、見て見ぬ振りをして、無関心を装っている。私も、最近、段々と話すのも嫌になってきていたのだ。

 お店の手伝いはお昼前に終わったのだけど、その後、予約のお昼のお客様が数名あるとかでお父さんとお母さんはカウンターで接客していたので、私は奥で洗い物とかをしていた。今夜の予約は入っていないってことだったので、今晩は家族揃った夕食が出来るのだろうと、私は、その時は少し期待していたのだ。

 その夜、7時になっても桔梗はまだ帰ってなかったのだ。食卓には、お父さんが作ったものが並んでいた。

「うわー おいしそうねー」と、少しでも、私は盛り上げようと

「あぁ この桜鯛の押し寿司は山葵が好きなものだろう それに、栗ご飯と里芋の煮っころがしは桔梗の大好物なんだ」と、お父さんもお酒を飲みたいのも我慢して待っていたのだ。だけど、8時になっても帰ってこないものだから

「もう 待つことないよ 食べようよー」と、私は冷蔵庫からお父さんにビールを持ってきた。そして、食べ出して、しばらくして、桔梗が帰って来たかと思ったら

「ただいまー ウチ 食べたくないから、お風呂入るネ」と、自分の部屋に行こうとしたから

「桔梗 なによー それっ 待ちなさいよ お父さんが桔梗の好物だからって、作って待っていたのにー」と、私は立ち上がって・・その時、桔梗はチラッと食卓に眼をやったまま

「後で お腹 すいたら 食べるから 置いといて」と、2階に上がって行ってしまった。

「うーん もぉーーう お父さん!」と、私はイライラして、お父さんにも何か言って欲しかったのだけど

「まぁ いいじゃないか さんざん 遊んできたんだろう くたびれたんだよ」

「お父さん! 桔梗は遊びまくってるんだよ!」

「今は 遊びたいさかりだよ それに 色んな友達が多いのもいいじゃぁないか」

「そんなこと言ったってー」私は、男友達と遊びまくっているのが気になっているんだけど・・・言えなかった。それに、私、幼稚園の頃、あんなにお父さん厳しかったのにー・・。いつから・・。お母さんが亡くなってから、変わってしまった。あれ以来、お料理のことしか興味が無いみたいで、かといって、儲けるわけでも無く、私からしてみれば、安い値段で出しているのだ。

「まぁ 子供達のことはお母さんに任せているし 自由に育ててくれていいんだよー」と、お母さんにビールを継いでもらって気楽なことを言っていたのだ。

 お母さんのほうを見ても、黙って、お父さんにお酌をして、里芋を静かに食べているだけだし・・・。お母さんも、結婚前からも静かな人で、私達は叱られたこと無く、小さいころから好きなことをやらせてもらっているのだ。でも、この感じ・・・それぞれが別々に生活しているみたい。お母さんだって、元 使用人だからと思って、遠慮しているのかも・・・私にも・・・。私は、もっと家族を感じたい。
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