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第4章
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インターハイの予選が始まる1週間前、出場するメンバーが発表された。個人は3年生が2人、2年生が4人、そして、私達1年生から3人。ダブルスは岸森璃々香のペァと織部先輩のペァ。団体戦にはダブルスは璃々香先輩と西田先輩、シングルは織部操先輩、そして、最後に行長コーチから私の名前が呼ばれたのだ。
みんなからは、驚きの声が上がっていた。特に、2年生からも・・。それ以上に驚いていたのは私なのだ。だけど、岸森璃々香と織部部長は平然としていた。おそらく、話し合っての結果なのだろう。
確かに、入部してから、私は必死に岸森璃々香と渡り合おうとしてきた。そして、最近は幾度となく私の打ったのがコートに跳ねて、あいつのラケットをかすめてネットに転がっていく場面もあったのだ。
そんなことには、お構いなく、その日も岸森璃々香とラリーをしていても、彼女からは厳しい声を浴びせられていた。へとへとになっても、容赦なくボールが私に向かって飛んでくるのだ。「もっと 早く 真ん中に戻りなさいって言ってるでしょ もたもたしてるのって見てる人もイライラするのっ 腕だけで打ち返そうとするからそうなのよっ バレーボールじゃぁないんだから、身体で受けてどうすんのよー このノロマ!」今まで、以上に罵声に近かった。泣くにも涙を出している余裕も無かったのだ。
その日も練習が終わって、2人が集まってくれて、私を励ましてくれた。
「ねぇ ウチって そんなに憎いのかしら・・・ 岸森先輩には」と、私も弱音を吐いていた。
「うん 異常だね 山葵の実力は私達も認めるけど・・ あの人のは指導というよりイジメに近いよネ」
「だけど あんなに厳しいから・・山葵も応えるように頑張って・・ついて行こうとしてるんだよね? ウチからしたら・・ なんか 山葵 意地になってるみたい ううん 悪いって言ってるんちゃうでー でも なんかあるの? あの人と・・ 敵対視してるんカナって ちょっと思ったから・・」と、美湖が私を覗き込んできた。
「ううん なんにもないよー ただ 先輩についていこうとしてるだけ」と、私は、軽く応えていた。
そして、帰る時、二人になって、美湖ちゃんが
「なぁ やっぱり 何かあるんやろー 山葵もあの人に恨みあるん? そりゃー 毎日 しごかれとるけどな でも、今日の最後の方なんて 山葵 眼が・・・ いかにも、先輩に喰いついてやるって眼してたもん 恐ろしい眼してたでー ウチ等にはそんなことないもん」
「あっ そうだった? ・・・ 美湖 ・・・ウチな ・・・そのうち話すワ 今は、インターハイ予選のことでめいっぱいヤネー それに、団体戦も選んでくれたんやものー 頑張る」
― ― ― * * * ― ― ―
予選が始まって、最初は個人戦だった。麗香は1次予選で美湖は2回戦でそして、私は準々決勝まで残ったが最後に立て続けに取られて負けてしまった。だけど、岸森璃々香は決勝まで残っていたが、学志館女子高校のエースに負けてしまって、優勝は出来なかったけど、全国大会の代表には選ばれていた。
ダブルスのほうも、璃々香先輩ペァは準決勝までは行ったのだけど、代表にはなれなかったのだ。そして、団体戦の日を迎えていて、スタンドには山水、亜里沙、白木屋君と樹羅ちゃんが駆けつけてくれていた。
そして、1回戦2回戦まで順調で、最後の私の出番はなかったのだ。ブロックでは勝ち上がったが、2次予選準決勝の相手は優勝候補の学志館女子高校なのだ。
それで、1戦目のダブルスの璃々香先輩ペァは負けてしまって、だけど、2戦目は織部先輩が取り戻して1-1に。
勝敗の行方は私に託されて・・・急に、緊張してきたのだ。
「おいっ 山葵はいろんな試練に向かってきたんだから 自信持て」と、私の背中をポンと叩いてきた、岸森璃々香だ。お前がさっき負けたからこんなことになったんじゃぁないか。なんなの、その無責任な言い方は・・・それに・・試練って・・・きっと、あのことを言ってるんだと思っていた。負けるもんか、お前の喉元に喰らいつくまでは・・と、勝って、お前を見返してやる。私は自分を奮い立たせていった。スタンドには仲間が見守ってくれているんだと
試合は拮抗したまま進んでいた。負けていたが、このファーストサーブを取ってタイブレークに持ち込んで、そのまま勝てるよと思いながら、チームのほうを見て・・・端っこに居る岸森璃々香を見ると、少し離れたところに座っている男の人に笑顔で手を振っていたのだ。その時、私には、あの時のシーンを思い出してしまって、瞬間、襲われた時のことも一気に蘇ってきていたのだ。
私は、身体が縮こまってしまって、腕も伸ばしきれないまま、サーブを打ってしまった。リターンエースが私の横をはずんで行った。動けなかったのだ。そのまま、私はその場にしゃがみ込んでしまった。終了後も相手に失礼してしまったのだ。悔しいのもあったけど、岸森璃々香を超えられなかったショックが強かった。部長とコーチが駆け寄ってきてくれて、支えられてコーナーに行くと
「なによー 山葵 最後のサーブはぁー 反省しなさいよっ」と、あいつの言葉だ そして、私のお尻をペシッと叩いて、あっち向いていた。なによ、それっ セクハラ!
反省するのは、お前だろー。大事な場面なのに、男といちゃいちゃしやがてぇー。私は、涙が出てきていた。
「すみません 部長 私・・」
「いや 頑張ってくれたよー あそこまで、喰らいついていったんだからー 相手は3年生だよ 学館のー」
「でも 負けてしまったら 同んなじよっ 不細工な負けかたぁー 勝たなきゃー意味無い! 山葵はそんなもんじゃぁないでしょっ」と、又、あいつだ。何を言いたいんだ。そこまで、私を追い詰めて・・。
「まぁまぁ 璃々香 そんなに厳しくしても・・又、次だよ」と、行長コーチが言ってくれていた。
私がシャワーを終えて着替えるまで、前のことがあったので、仲間たちが見守ってくれていた。その後、みんなでファミレスに入って
「山葵さん 恰好良かったです スタンドのみんなも音女の応援してましたよ 王者の学館を倒せってー 私にとって、山葵さんはあこがれです」と、キラちゃんが言ってくれていた。
「そうだよ 山城山葵がサービスエースを決めるとスカッとするんだよ スタンドもどよめいていたしな 向こうが動いても、その先をかわしていくんだもの とにかく王者学館をあそこまで追い詰めたんだ 立派なもんだよ」
「そうだなー 中学の時より 各段 成長しているよ 山葵 そのまま真直ぐ、突き進んでくれればなぁー」と、山水が意味有り気なことを言ってきていた。
私は、負けたことより、岸森璃々香にどうしてあそこまで言われなきゃあなんないのよー って 悔しかったのだ。あいつはきっと鬼なんだ。喰らいついていくはずが・・・こんな情けない結果で終わってしまった。
みんなからは、驚きの声が上がっていた。特に、2年生からも・・。それ以上に驚いていたのは私なのだ。だけど、岸森璃々香と織部部長は平然としていた。おそらく、話し合っての結果なのだろう。
確かに、入部してから、私は必死に岸森璃々香と渡り合おうとしてきた。そして、最近は幾度となく私の打ったのがコートに跳ねて、あいつのラケットをかすめてネットに転がっていく場面もあったのだ。
そんなことには、お構いなく、その日も岸森璃々香とラリーをしていても、彼女からは厳しい声を浴びせられていた。へとへとになっても、容赦なくボールが私に向かって飛んでくるのだ。「もっと 早く 真ん中に戻りなさいって言ってるでしょ もたもたしてるのって見てる人もイライラするのっ 腕だけで打ち返そうとするからそうなのよっ バレーボールじゃぁないんだから、身体で受けてどうすんのよー このノロマ!」今まで、以上に罵声に近かった。泣くにも涙を出している余裕も無かったのだ。
その日も練習が終わって、2人が集まってくれて、私を励ましてくれた。
「ねぇ ウチって そんなに憎いのかしら・・・ 岸森先輩には」と、私も弱音を吐いていた。
「うん 異常だね 山葵の実力は私達も認めるけど・・ あの人のは指導というよりイジメに近いよネ」
「だけど あんなに厳しいから・・山葵も応えるように頑張って・・ついて行こうとしてるんだよね? ウチからしたら・・ なんか 山葵 意地になってるみたい ううん 悪いって言ってるんちゃうでー でも なんかあるの? あの人と・・ 敵対視してるんカナって ちょっと思ったから・・」と、美湖が私を覗き込んできた。
「ううん なんにもないよー ただ 先輩についていこうとしてるだけ」と、私は、軽く応えていた。
そして、帰る時、二人になって、美湖ちゃんが
「なぁ やっぱり 何かあるんやろー 山葵もあの人に恨みあるん? そりゃー 毎日 しごかれとるけどな でも、今日の最後の方なんて 山葵 眼が・・・ いかにも、先輩に喰いついてやるって眼してたもん 恐ろしい眼してたでー ウチ等にはそんなことないもん」
「あっ そうだった? ・・・ 美湖 ・・・ウチな ・・・そのうち話すワ 今は、インターハイ予選のことでめいっぱいヤネー それに、団体戦も選んでくれたんやものー 頑張る」
― ― ― * * * ― ― ―
予選が始まって、最初は個人戦だった。麗香は1次予選で美湖は2回戦でそして、私は準々決勝まで残ったが最後に立て続けに取られて負けてしまった。だけど、岸森璃々香は決勝まで残っていたが、学志館女子高校のエースに負けてしまって、優勝は出来なかったけど、全国大会の代表には選ばれていた。
ダブルスのほうも、璃々香先輩ペァは準決勝までは行ったのだけど、代表にはなれなかったのだ。そして、団体戦の日を迎えていて、スタンドには山水、亜里沙、白木屋君と樹羅ちゃんが駆けつけてくれていた。
そして、1回戦2回戦まで順調で、最後の私の出番はなかったのだ。ブロックでは勝ち上がったが、2次予選準決勝の相手は優勝候補の学志館女子高校なのだ。
それで、1戦目のダブルスの璃々香先輩ペァは負けてしまって、だけど、2戦目は織部先輩が取り戻して1-1に。
勝敗の行方は私に託されて・・・急に、緊張してきたのだ。
「おいっ 山葵はいろんな試練に向かってきたんだから 自信持て」と、私の背中をポンと叩いてきた、岸森璃々香だ。お前がさっき負けたからこんなことになったんじゃぁないか。なんなの、その無責任な言い方は・・・それに・・試練って・・・きっと、あのことを言ってるんだと思っていた。負けるもんか、お前の喉元に喰らいつくまでは・・と、勝って、お前を見返してやる。私は自分を奮い立たせていった。スタンドには仲間が見守ってくれているんだと
試合は拮抗したまま進んでいた。負けていたが、このファーストサーブを取ってタイブレークに持ち込んで、そのまま勝てるよと思いながら、チームのほうを見て・・・端っこに居る岸森璃々香を見ると、少し離れたところに座っている男の人に笑顔で手を振っていたのだ。その時、私には、あの時のシーンを思い出してしまって、瞬間、襲われた時のことも一気に蘇ってきていたのだ。
私は、身体が縮こまってしまって、腕も伸ばしきれないまま、サーブを打ってしまった。リターンエースが私の横をはずんで行った。動けなかったのだ。そのまま、私はその場にしゃがみ込んでしまった。終了後も相手に失礼してしまったのだ。悔しいのもあったけど、岸森璃々香を超えられなかったショックが強かった。部長とコーチが駆け寄ってきてくれて、支えられてコーナーに行くと
「なによー 山葵 最後のサーブはぁー 反省しなさいよっ」と、あいつの言葉だ そして、私のお尻をペシッと叩いて、あっち向いていた。なによ、それっ セクハラ!
反省するのは、お前だろー。大事な場面なのに、男といちゃいちゃしやがてぇー。私は、涙が出てきていた。
「すみません 部長 私・・」
「いや 頑張ってくれたよー あそこまで、喰らいついていったんだからー 相手は3年生だよ 学館のー」
「でも 負けてしまったら 同んなじよっ 不細工な負けかたぁー 勝たなきゃー意味無い! 山葵はそんなもんじゃぁないでしょっ」と、又、あいつだ。何を言いたいんだ。そこまで、私を追い詰めて・・。
「まぁまぁ 璃々香 そんなに厳しくしても・・又、次だよ」と、行長コーチが言ってくれていた。
私がシャワーを終えて着替えるまで、前のことがあったので、仲間たちが見守ってくれていた。その後、みんなでファミレスに入って
「山葵さん 恰好良かったです スタンドのみんなも音女の応援してましたよ 王者の学館を倒せってー 私にとって、山葵さんはあこがれです」と、キラちゃんが言ってくれていた。
「そうだよ 山城山葵がサービスエースを決めるとスカッとするんだよ スタンドもどよめいていたしな 向こうが動いても、その先をかわしていくんだもの とにかく王者学館をあそこまで追い詰めたんだ 立派なもんだよ」
「そうだなー 中学の時より 各段 成長しているよ 山葵 そのまま真直ぐ、突き進んでくれればなぁー」と、山水が意味有り気なことを言ってきていた。
私は、負けたことより、岸森璃々香にどうしてあそこまで言われなきゃあなんないのよー って 悔しかったのだ。あいつはきっと鬼なんだ。喰らいついていくはずが・・・こんな情けない結果で終わってしまった。
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