私の辛かった思い あんたにぶつかっていくわ!

すんのはじめ

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第4章

4-4

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 予選が終わってからは、日曜の練習は無くなったので、私は一日中お店の厨房に入るようにしていた。でも、日曜は仕出しのほうは珠にしか無いので、お昼の予約のお客様だけで比較的ゆったりとしていた。私は、朝からの野菜類の下処理と向付とか椀物の盛り付けなんかも任されるようになっていたのだ。

 6月の中間テストが終わった後、岸森先輩の練習相手は部長か私に決まっていたのだ。岸森先輩は近畿高校選抜に個人で選ばれていたが辞退していたのだ。そして、インターハイ予選の時の準優勝の洛中国際付属と練習試合をやったのだけど、私はメンバーには選ばれなかった。コーチが次の予選まで手の内は見せないからと、反対していたと聞いた。代わりに杉田みく美ちゃんが入った。中学の時は、バレーボールをやっていたらしいが、途中で辞めたとか、テニスは高校から始めたのだが、背が高くて、手足も長いのだ。まだ、未熟なんだけどショットのスピードは速くて急成長していたのだ。

 そして、その間、山水とも会うことが無かった。あのまま、気まずいのだ。試合には応援に来てくれていたけど・・・わだかまりは解けないままだった。私は、気分転換にバッサリと髪の毛を切って、思い切ったショートカットにしていた。

 そのまま夏休みになって、午前中は練習ということになっている。昼から、仲間の連中が図書館に居るからと連絡をもらっていたので、一度、家に帰ってから、着替えて、宿題のドリルを持って出かけて行った。少し迷ったのだけど、ベージュの綿のミニスカートにピンクで襟元が紐で結ぶフレンチ袖のTシャツにした。胸の中心に白で小さなバラの花がプリントしてあるのだ。まぁ、山水に見てもらうことを意識していた。

 4人はもう来ていて、白木屋君とキラちゃんが並んで座って、その向かいに山水と亜里沙が並んでいる。ちょうど、ふたりは顔を寄せ合って、問題を見ているところだったのか、私は、わざとキラちゃんの隣に座った。露骨に不機嫌なのが出てしまうかなと思って

「キラちゃん 宿題 多いの? どんなのあるの?」と、誤魔化していたのだ。亜里沙は私を唖然と見つめていたが、何にも言ってこなかった。山水のほうをチラッと見たのだが、彼は視線を問題に落としたままだったのだ。そのまま、私も自分のドリルに取り掛かっていたのだけど、しばらくして、机の離れたところに桔梗の姿が見えた。

 濃いイェローのノースリーブのTシャツ、パステルイェローのフレァーなミニスカート。最近ポッチヤリしてきているのに、すごい恰好ね と思ったのだけど、まわりには、男の子2人、女の子が2人で真面目に勉強しているみたい。あのお正月の時の私とお父さんの言い合いを聞いてから、あの子は変わってきたみたいなのだ。遊んでいるだけじゃあ無いみたい。

そして、帰る時になって、白木屋君が

「山城山葵 来週 みんなで琵琶湖に泳ぎに行こうってことにしてるんだよ 一緒に行こうぜ」

「ウチ・・・ 練習あるし 合宿も近いからなー ええやん ペァリングになるし、4人で行っといでよー ウチのことは気にせんとってー あぁ それと お店も忙しいしなー お昼からは手伝うと思うねん 図書館にもこーへんしなー」と、言いながら、思ってもいないのにー・・・自分から仲間との疎外感を感じていた。

 それでも、図書館を出てみんなと別れる時、「山水」と呼び止めた。他の3人は気を利かせてか、私達2人だけに

「これっ 山水のために・・」と、スカートの裾を持ちながら・・・

「うん やっぱり 山葵は可愛いよ ・・・ 髪の毛短くしたんだね それも似合うよ 少し 歩こうか」と、私の手を握ってくれて、しばらく歩いた。なんにも、しゃべらないまま、お城の周りに・・・。

「テニス 頑張ってるみたいだね」と、やっと、口を開いてくれた。

「うん 毎日 しごかれてる」

 そして、又、無言のままで・・・別れる時に

「次の予選も応援に行くよ」と、ポツン

「うん あのね お盆は練習 休みやから・・」

「わかった」と、私達はそのまま さよなら したのだ。なんか・・・もっと・・しゃべることとがあるはずなのに・・・と思いながら、なんとなく、二人の間に隙間を感じていたのだ。私 目指しているもの 間違っていないのかしら・・・
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