私の辛かった思い あんたにぶつかっていくわ!

すんのはじめ

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第8章

8-4

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 高校総体予選が始まって、個人戦では、一次予選と二次予選の1回戦を突破したのは、3年では、岸森、織部、多田、西田の4人で、2年生では麗香、美湖、こころ、みく美と私の5人で、1年生は三宮香菜花《さんのみやかなか》だけで、他は二次予選の1回戦でみんな負けてしまった居たのだ。

 だけど、西田先輩は2回戦を勝ったところて゛次の試合は棄権してしまって、美湖も璃々香先輩と当たったりして、結局、準々決勝まで勝ち上がったのは、璃々香先輩、織部先輩、みく美と私だけだった。だけど、私の次の相手は璃々香先輩で、織部先輩の相手は衣笠響だった。私も織部先輩も食い下がったものの負けてしまって、みく美は準決勝で衣笠響と当たることになっていたのだ。

 先に、璃々香先輩は勝ち上がっていて、みく美の試合。今回は、8ゲームマッチになるのだけど、みく美のサーブから始まり、相手がみく美の威力のあるサーブに慣れないのだろう、立ち上がり早々に3ゲームを先取していたが、その後、立て続けに4ゲームを奪い返されて、6-7にまでなって、みく美はようやく [波切] を出して、その後もサイドライン際に切れるスマッシユとかを組み合わせて行って7-7のタイに持ち込んだのだけど、最後は2ゲーム連取されて負けてしまった。

 璃々香先輩と衣笠響の試合が始まって、やはり拮抗した試合で、お互い譲らなかったのだけど、8-8のタイブレークになって、最後のゲームもジュースまでもつれたが衣笠響が勝っていた。

「璃々香 やっと 決着が着いたわね 最後 負けるかと思っわ その前の試合で消耗させられていたから データも無かったしネ あの子」衣笠響が又、私達のところに来て、勝ったので余裕を見せにきたのだろうか

「そうね やっぱり 響は女王よ でも、本大会あるから、お互い頑張りましょ」

「そうね・・・ 山城さん あなたが出て来ると思ってたのにー やってみたかったわ でも、杉田さんも手ごわかったの 最初 ズルズルと負けてしまうかと思ったわ 璃々香とこは良いわねー 後輩が育ってて」

「そうよ 団体のダブルス 楽しみにししてネ この二人 強いわよー」

「えっ やっぱりー 璃々香と山城さんじゃぁないの?」

「そうよ ウチは 後輩が強いからーネッ」

「わぁー 見過ごしていたワ 国際のことばっかり、気にしてたわ」

「そりゃー 大変ネ 山葵はともかく みく美のデーター無いでしょ 山葵だって、前より進化してるのよ!」

「・・・」と、急ぎ足で戻って行ったのだ。


  ダブルスでは、璃々香・西田先輩、織部・多田先輩、美湖・麗香、私とみく美、そして、1年生の音女中学出身のペァなのだ。1年生のペァは1回戦で敗退したが、他は、3回戦まで進んで、美湖・麗香ペァは敗退。準々決勝では璃々香・西田先輩のところは、西田先輩が限界なのか動きが悪く負けてしまった。織部・多田先輩のペァは学館の第一ペァ衣笠響のところと当たって、負けてしまっていた。私とみく美は快調で準決勝でも洛中国際の第一ペァにも勝っていたのだ。

 そして、優勝候補筆頭の学館ペァに向かって行った。衣笠響のサーブから始まったのだけど、私達には予定していた通り、最初のゲームはすんなり負けていた。だけど、次のゲームから私の [壱の型]  衣笠響のベースラインより深い位置からの浮き気味のリターンをみく美がセンターの位置から前衛目掛けてスマッシュで決めた。その後も私達は前衛目掛けて打ち込んでいったのだ。衣笠響にはボールを打たせなかった。その後も、衣笠響が前衛に来ると、後衛に集中して右に左に打ち込んだのだ。私達の攻撃パターンなのだ。私達は二人がセンターの位置に並んで、ジャンピングスマッシュを、私は [参の型][滝壺] みく美は強烈なスマッシュと [波切] を交えて決めて行ったのだ。あっという間に7-2になって、最後は衣笠響を集中的に狙ってスマッシュを集めて行った。圧勝だったのだ。当然、学館のふたりは呆然としていたのだ。

「やったぁー 山葵 頂点だね」

「うん みく美のお陰ヨ 強烈なんだもの むこう 追いつけなかった」

「ふふっ 山葵の た ん じ ろ う も 冴えてたワ」

 私達は、飛ぶようにして、チームの皆のもとに走った。

「よーし お前等 すごい 可能性の二人だな 音女 始まって以来の快挙だ」と、コーチも喜んでくれて

「あなた達には 脱帽だわー お返ししてくれたわね」と、織部先輩も・・

「ふっ 残念だわー 無様だったら お尻 ペンペンしよう思っていたのにー」と、相変わらずの言い方・・・あの人 きっとSなんだわ だから、私にもあんなに厳しくして・・だけど、璃々香先輩も嬉しいみたい。

 そして、団体戦も私達の快進撃は続いて、2戦目の璃々香先輩のシングルスも負けることは無かった。予想通り、決勝は学館チームなのだ。

 最初のダブルスは、学館も第二ペァなので、難なく私達のペァは勝っていた。そして、2戦目、やっぱり衣笠響は璃々香先輩とやり合う為、シングルスに出てきた。だけど、ダブルス戦のショックからなのか、精細に欠けていて、璃々香先輩の勝利に終わったのだ。2セット連取で、私達は団体戦でも頂点に立っていたのだ。

「なによー 山葵 団体戦 私 一度も試合してないのよー こんなのありー?」

「織部先輩 まだ 本戦ありますよ 全国なんですよー 私達」と、みく美も泣きながら言っていて、私に抱きついてきていた。

「完全にやられたわー 卑怯よ ダブルス戦の時、最後 私に集中して打ち込んできてー うふっ でも、最初からだったら 耐えられなかったかもネ」と、又、衣笠響がやってきていた。

「ふふっ だから 言ったでしょ 強いわよって」

「ええ 素晴らしいワ 璃々香が育てたの?」

「まぁ これが 音女の底力よ みく美なんて 始めたの 高校入ってからよ 知らなっかったでしょ?」

「うん ノーマークだった やられたわ 山城さん 音女じゃぁ無くて ウチに入ってくれれば良かったのにね そ~してたら きっと 私も璃々香に自慢できてたワ」

「あー ウチ 璃々香先輩じゃぁなかったら ここまで これなかったと思います」

「そうかもネ ・・・ 二人の信頼関係って羨ましいわー あのさー 夏の合宿 一緒にやってくんない? ウチの後輩達にも 刺激あたえなきやー」と、璃々香先輩に

「まぁ いいけど コーチとか部長に相談しないとネ ウチなんかの弱小チームより  洛中国際とのほうがいいんじゃぁない?」

「見た? 今年の洛中国際 ガタガタよ まぁ 考えておいて じゃぁ 総体でネ!」と、行ってしまったけど、ウチ等の実力だけは認めたみたい。

「山葵 二人の信頼関係だってよー そんなの 無いよねぇー そんなの 二人にしかわかんないよねー」と、璃々香先輩は、私のお尻をポンと叩いて、微笑んでいた。私は、戸惑っていたけど・・・嬉しかった。

 中学の後輩、彩も来てくれて

「先輩 見てました すごかったですね 花火のフィナーレの時みたいにこれでもかって打ち込んで 私 涙出てきました」

「彩 ちゃん 来てたの ごめんネ 試合 見れなかった」

「うぅん 私 2回戦 敗退だったからー でも 先輩 みたいに強くなりたい」

「うん 又 一緒に練習する機会があったらね」

 そして、皆が別れる時、璃々香先輩が

「山葵がいなかったら・・・ 私も テニス やめていたかもネ じゃあ 明日」と、言い捨てて帰って行った。

 私は・・・違うんです。私は、最初 そんな風に思ってなかったのー 先輩を憎んでいて・・・と、涙が出てきていた。あの時、あの人が衣笠響だったんなら、きっと学館に行っていたんだろうけど、ここまで、テニスに打ち込めたんだろうか たぶん 鬼のような璃々香先輩だったからなんだと 思っていた。
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