少女は 見えない糸だけをたよりに・・

すんのはじめ

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第7章

7-5

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 7月になって、梅雨も明けて、日曜日、何時ものように巧と待ち合わせて、鴨川のデルタ地帯へ。私は、今日は、ドキドキさせようと、野球帽を被ってTシャツにジーンの短パンで・・。朝、出る時、お母さんもあきれていたみたいで「香波ちゃん・・」と、言った切りだった。巧に会った時

「香波・・ あのー」私を見て、やっぱり、声が出なかったみたい。

「うふっ 元気な男の子みたい? それともドキドキする?」

「うっ うん ドキッとする 香波って知っているからね 」

 梅雨明けで暑かったけど、少し、汗が出ていたせいか、川辺の風は涼しかった。

「今日は サンドイッチにしてみました 香波特製のじゃこと壬生菜、ハム卵サンド」

「うわー うまそうだなー」と、巧が食べた時「うー うー」と胸を押さえだして・・

「えー どうしたのー 巧 なんか 大丈夫? 苦しいのー?」

「うふっふー うーんまい」と

「もうー なによー 心配したんだからー」と、巧の首に抱き着いていた。私から、抱き着くのは、初めての事だった。

「ごめん ごめん 少し からかってみた」

「もうー バカ! でも、よかったー 保冷剤でくるんでたんだよ 悪くならないように まだ 冷たいね」

 その後、私は、サンダルを脱いで、川の中に・・

「香波 危ないよー 裸足だし 足も切るぞー」

「大丈夫 冷たくて、気持ちいいよー 島を思い出すわー」私は、これがしたくって、短パンで来たんだ。

「香波は まだまだ 子供なんだなー」

「そんなことないよー もう 巧の期待に応えられるかもね」

「なんだ その期待ってのは」

「ううーん 言ってみただけ あっ 足が 足がぬけない 巧」

「ほら 大丈夫かよー」と、あわてて私の身体を支えてくれて、引き上げてくれた。

「うふっ お返し」と、ベロを出して、可愛く笑ってみせた。被っていた帽子の上から頭をくしゃくしゃにされたが・・

 その日の、夕方も、お父さんと散歩に・・。

「香波 そのー なんだ そのー 肌をむきだしで、陽焼け 気にしなくていいのか?」

「うん 島でも 夏はこんなだったし 私 陽焼けなんか気にしないから 元気な証拠だよ」

「そうか そんなじゃぁ 年とると苦労するらしいぞ 燿なんか 嫌っているぞ」

「そうなんだ じゃぁ 海水浴に行くなんてことしないんですか?」

「うん 聞かないなぁー 夜のプールぐらいじゃあないか」

 そうなんだ。去年、私に合わせてくれたんだ。お姉ちやん、無理して、海に入ってくれたんだ。

「だけどな こんな風に、腕を組んで歩いてくれる娘が居る父親なんて、日本中でもワシぐらいなものだと思う。ワシは日本一のしあわせ者なんだよ それも、脚がすーっと伸びた可愛い娘なんだからな」

「お父さん 私も こんな風に歩けるなんて 幸せだと思っています 小さい頃 そんなこと無かったから・・」

「そうかー 香波をずーと 離したくないのぉー」

 ― ― ― * * * ― ― ―
 
「香波 陽焼けしてるじゃない ようやく、肌が白くなってきたのに―」お姉ちゃんとお風呂に入っている時、言われた。

「うん この前 短パンだったしね」

「陽焼け止めくらい 塗ってるんでしょ」

「一応ね でも あんまり、構わないからー」

「はたち 過ぎて来ると しみが目立って来るヨ せっかく、きれいな肌してんのにー お風呂あがりには、私のあげたクリームでお手入れしてる?」

「うん やってるよ」

「だけ?」

「うん 朝は リップクリームと」

「・・・あのね お母様 から聞いたんだけど あなた 毎月15万も渡しているんだって お母様は、香波のお嫁入の時の為に、ずーと貯めているそうよ だけど、大丈夫? お金あるの?」

「ええ 大丈夫ですよ 教室の授業料ぐらい あとは、お弁当の食材と巧とお昼するぐらいだから、貯金もしています だって、お洋服なんかも お姉ちゃんとかお父さんに買ってもらってるしー」

「そう 若いんだから いんだけどさー 少し、ぐらい お化粧したら?」

「いいんです このままで 綺麗に見せようと思っていないし」

「まぁ 特別な時以外は必要ないのは わかるわ そのままでも 可愛いしね その後 彼とはうまくいってるの?」

「うん この前ね 私が鴨川に入っていたら 抱いて引きあげてくれたの」

「それだけ?」

「うん 優しいんだよ」

「香波 すこし あきれるわね 巧さんも 真面目な男なんだね」
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