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第7章
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「ねえ 香波 祇園祭いくのー 彼氏と」と、くるみちゃんが
「ううん 彼 バイトだから」
「そうなんだ 可哀そうね ウチ 彼と約束してんだー 一緒に行く?」
「嫌なこった 当て付けみたいにされるに決まってんだから」
だけど、家に帰って、お姉ちゃんに聞いてみたら
「うーん 見に行っても、コンチキチンだけだしなー 去年は、香波に見せてあげようって思ってたから・・ 彼は?」
「うん バイトって・・ 駄目なんだよ」
「行きたいの?」
「ウン! 見てると楽しくなるじゃぁない」
「それじゃぁさ あなたの、もうひとりの彼氏におねだりしてみたら 喜ぶよ きっと」
「もうひとりって?」
「いつも 一緒に、散歩してるじゃない」
「あぁー お父さん? そんなの悪いわよー」
「そんなことないよ 香波の言う事なら、なんだってー」
そして、晩御飯の時、お姉ちゃんが
「お父様 香波が 宵々山 連れて行って欲しいんだって 甘えたいみたいよ」
「えー そーなんか そりゃー ワシは 構わんけどな 香波」
「えぇ お願いできればー」と、私は、下を向きながら・・。お姉ちゃん 私 そんなつもりじゃー・・。
「なに 言っとんじゃー 香波の言う事なら なんでも ワシは嬉しいよ」
そして、その日の夕方 浴衣を着せてもらって、お姉ちゃんにお化粧もしてもらった。お姉ちゃんも、浴衣姿だったんだけど・・。
タクシーで、河原町の四条まで行って、それから、歩いた。もちろん、私は、お父さんの腕を掴むように組んでいた。お父さんは、夏物の着物なのか浴衣ではなかったのだけど。
「香波 あの上に登ったことはあるのか?」
「あれって あの山鉾の上ですかー? ないですよー」
「そうか じゃぁ 登ってみるか」と、そこへ連れて行ってもらった。2階から、覗いているような・・周りは提灯で・・月鉾だって聞かされた。だけど、お父さんは誰かと話していて、私だけで・・浴衣姿の人達がぞろぞろ歩いているのが、見えて、これが曳かれて動くなんて信じられなかった。
帰りは、歩いていいかと聞かれて、木屋町通を上がって行って、三条を過ぎたところの懐石料理屋さんに入って行った。お父さんは、事前に言っておいたみたいで、鴨川も見渡せる席に通されて、お父さんはビールを頼んでいた。そのうち、小鉢とか鮎の塩焼きとか
「燿が、今夜はうまいものを作ると言って居たから、あんまり食べられないけどな 歩いたから、途中休憩じゃ」
「素敵なお店 まだ 鴨川を歩いている人 あんなに居るんですね」
「そうだなー こんなに繁華街が近くて、雰囲気があるところは鴨川の他には無いんじゃぁないか 恋人たちが多いようだけど ワシみたいに、娘と歩いているなんて、そう居ないぞ それも、とびっきりの美人だ 何人も振り返って、香波のこと見ていたぞ」
「そんなー お父さんを見ていたんじゃぁないですか 素敵なお着物ですから」
「香波 もっと 自覚しなさい お前は綺麗な一人の女性なんだよ もう、誰が見ても、男の子じゃぁないんだから」
― ― ― * * * ― ― ―
「ねぇ 香波 河原町歩いてた? 日曜の夜」と、くるみちゃんが聞いてきた。
「えー いいえ べつにー」私は、はぐらかしていたのだけど・・
「そう 香波かと思ったけど 見間違いかなー 綺麗な人でね 年配の男の人の腕組んで・・仲良くね 香波のわけないよねー そんなの でも、あれは、訳アリな感じだったものー」
「・・・」私は、聞こえない振りをしていた。やっぱり、内緒にしておかなきゃぁーって思っていた。燿さんのお家にお世話になっていること。
「香波 お盆休み ゲンイチさんとこに遊びに行こうと思うんだ。行くでしょ? ウチな トシローも誘うけど・・」
「うーん 行きたいけどなー 島にお墓参りに帰ろうと思ってるんだー」
「なーんだ そうなの じゃーどうしょーかなー」
「ええやん 二人で楽しんでおいでよ いっぱい 愛してもらうんでしょ」
「やーらしいわね その言い方 香波もそんなこと言うように、なったんだ 民宿だから、そんなこと出来ないわよー 聞こえちゃうもの」
私は、言い方 間違ったと気づいた。そんなつもりなかったのに・・ただ、ベタベタするだけという・・ぎゃくに恥ずかしくなってしまって、下を向いていた。だけど、この時、決めていた。巧と島をもう一度、訪れようと。
巧に会った時、話したら
「休みが1日しか無いんだけど、次の日は夕方からだから、何とかなるかなー」
「うん 朝ご飯食べてから出てきたら、大丈夫だよ いいよね 巌さんに連絡しとく、お部屋取っておいてッてー」
「一緒の部屋かー?」
「うん へんなことしなきゃぁね だって 別ってのも 言えないじゃぁ無い 部屋数多くないし」
「あのさー へんなことって なんだよ」
「うん だからね ・・しないって ね 私 怖くて、多分、出来ないと思う 私達 まだ 先 長いでしょ だから・・」
「うふっ わかった 香波がそういう風に思っているんだった 仕方ないよな」
「ごめんね 怒った?」
「いいや 香波を大切にしたいし 怒るわけないじゃぁないか」
「ありがとう だけど 私には 巧しかいないよ ずーと 大好きなんだよ」
「わかってるって」
その夜、お姉ちゃんには、巧と島に行くって話した。
「まぁ それはいいんだけどね お泊りするんでしょ 覚悟したの 初めてなんでしょ」
「覚悟って あれすること?」
「うん 彼のものになるってこと」
「お姉ちゃん 私ね はっきり 言ったの あれは しないでねって 約束してくれたわ 私 多分、まだ怖くてできないって言ったら わかったくれたの」
「香波 あなた かしこいわね 先に、そんなこと言うなんてね ずるいのかな」
「だって 私 巧には 正直の方がいいと思ったんだもの それに、私はお姉ちゃんを見習っているつもり」
「私は、そんな風にあんたを育てたつもりはありゃぁせんよ! このバカ娘 うふふっ あきれたよ 香波は 理解ある彼氏を持って幸せもんだよ」
「ううん 彼 バイトだから」
「そうなんだ 可哀そうね ウチ 彼と約束してんだー 一緒に行く?」
「嫌なこった 当て付けみたいにされるに決まってんだから」
だけど、家に帰って、お姉ちゃんに聞いてみたら
「うーん 見に行っても、コンチキチンだけだしなー 去年は、香波に見せてあげようって思ってたから・・ 彼は?」
「うん バイトって・・ 駄目なんだよ」
「行きたいの?」
「ウン! 見てると楽しくなるじゃぁない」
「それじゃぁさ あなたの、もうひとりの彼氏におねだりしてみたら 喜ぶよ きっと」
「もうひとりって?」
「いつも 一緒に、散歩してるじゃない」
「あぁー お父さん? そんなの悪いわよー」
「そんなことないよ 香波の言う事なら、なんだってー」
そして、晩御飯の時、お姉ちゃんが
「お父様 香波が 宵々山 連れて行って欲しいんだって 甘えたいみたいよ」
「えー そーなんか そりゃー ワシは 構わんけどな 香波」
「えぇ お願いできればー」と、私は、下を向きながら・・。お姉ちゃん 私 そんなつもりじゃー・・。
「なに 言っとんじゃー 香波の言う事なら なんでも ワシは嬉しいよ」
そして、その日の夕方 浴衣を着せてもらって、お姉ちゃんにお化粧もしてもらった。お姉ちゃんも、浴衣姿だったんだけど・・。
タクシーで、河原町の四条まで行って、それから、歩いた。もちろん、私は、お父さんの腕を掴むように組んでいた。お父さんは、夏物の着物なのか浴衣ではなかったのだけど。
「香波 あの上に登ったことはあるのか?」
「あれって あの山鉾の上ですかー? ないですよー」
「そうか じゃぁ 登ってみるか」と、そこへ連れて行ってもらった。2階から、覗いているような・・周りは提灯で・・月鉾だって聞かされた。だけど、お父さんは誰かと話していて、私だけで・・浴衣姿の人達がぞろぞろ歩いているのが、見えて、これが曳かれて動くなんて信じられなかった。
帰りは、歩いていいかと聞かれて、木屋町通を上がって行って、三条を過ぎたところの懐石料理屋さんに入って行った。お父さんは、事前に言っておいたみたいで、鴨川も見渡せる席に通されて、お父さんはビールを頼んでいた。そのうち、小鉢とか鮎の塩焼きとか
「燿が、今夜はうまいものを作ると言って居たから、あんまり食べられないけどな 歩いたから、途中休憩じゃ」
「素敵なお店 まだ 鴨川を歩いている人 あんなに居るんですね」
「そうだなー こんなに繁華街が近くて、雰囲気があるところは鴨川の他には無いんじゃぁないか 恋人たちが多いようだけど ワシみたいに、娘と歩いているなんて、そう居ないぞ それも、とびっきりの美人だ 何人も振り返って、香波のこと見ていたぞ」
「そんなー お父さんを見ていたんじゃぁないですか 素敵なお着物ですから」
「香波 もっと 自覚しなさい お前は綺麗な一人の女性なんだよ もう、誰が見ても、男の子じゃぁないんだから」
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「ねぇ 香波 河原町歩いてた? 日曜の夜」と、くるみちゃんが聞いてきた。
「えー いいえ べつにー」私は、はぐらかしていたのだけど・・
「そう 香波かと思ったけど 見間違いかなー 綺麗な人でね 年配の男の人の腕組んで・・仲良くね 香波のわけないよねー そんなの でも、あれは、訳アリな感じだったものー」
「・・・」私は、聞こえない振りをしていた。やっぱり、内緒にしておかなきゃぁーって思っていた。燿さんのお家にお世話になっていること。
「香波 お盆休み ゲンイチさんとこに遊びに行こうと思うんだ。行くでしょ? ウチな トシローも誘うけど・・」
「うーん 行きたいけどなー 島にお墓参りに帰ろうと思ってるんだー」
「なーんだ そうなの じゃーどうしょーかなー」
「ええやん 二人で楽しんでおいでよ いっぱい 愛してもらうんでしょ」
「やーらしいわね その言い方 香波もそんなこと言うように、なったんだ 民宿だから、そんなこと出来ないわよー 聞こえちゃうもの」
私は、言い方 間違ったと気づいた。そんなつもりなかったのに・・ただ、ベタベタするだけという・・ぎゃくに恥ずかしくなってしまって、下を向いていた。だけど、この時、決めていた。巧と島をもう一度、訪れようと。
巧に会った時、話したら
「休みが1日しか無いんだけど、次の日は夕方からだから、何とかなるかなー」
「うん 朝ご飯食べてから出てきたら、大丈夫だよ いいよね 巌さんに連絡しとく、お部屋取っておいてッてー」
「一緒の部屋かー?」
「うん へんなことしなきゃぁね だって 別ってのも 言えないじゃぁ無い 部屋数多くないし」
「あのさー へんなことって なんだよ」
「うん だからね ・・しないって ね 私 怖くて、多分、出来ないと思う 私達 まだ 先 長いでしょ だから・・」
「うふっ わかった 香波がそういう風に思っているんだった 仕方ないよな」
「ごめんね 怒った?」
「いいや 香波を大切にしたいし 怒るわけないじゃぁないか」
「ありがとう だけど 私には 巧しかいないよ ずーと 大好きなんだよ」
「わかってるって」
その夜、お姉ちゃんには、巧と島に行くって話した。
「まぁ それはいいんだけどね お泊りするんでしょ 覚悟したの 初めてなんでしょ」
「覚悟って あれすること?」
「うん 彼のものになるってこと」
「お姉ちゃん 私ね はっきり 言ったの あれは しないでねって 約束してくれたわ 私 多分、まだ怖くてできないって言ったら わかったくれたの」
「香波 あなた かしこいわね 先に、そんなこと言うなんてね ずるいのかな」
「だって 私 巧には 正直の方がいいと思ったんだもの それに、私はお姉ちゃんを見習っているつもり」
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