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第8章
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次の日から、私は、お店の前で声を掛けていた。もちろん、新しい商品を売るためだ。何人かが、気を留めてくれて、買っていってくれた。
そんな中、50代位の女性の人に声を掛けられて
「あのグリーンサラダばっかりじゃぁ駄目? 私 お肉 食べないの」と、
「あっ えーと 待ってくださいね 大丈夫です 詰め替えでもいいですか?」
「ええ いいわよ ごめんなさいね 手間かけて」
「いいんです ちっとも 少し、待ってくださいね」と、私は、急いで詰め替えて、お渡ししていくと
「これね 大根のお漬物 干したの入っているでしょ おいしいの ほうれん草も身体に良い気になるしね それに、外の皮がおいしいの サクッとしていて、ふんわりして 昨日ね うちの研究室の子にもらって、食べたら、おいしくってね」
「ありがとうございます 合成調味料なんかも使わないで、全部自然のものですよー」
「うふふ そうみたいね あのね 私 火曜と金曜 12時半に通るから 用意しておいてくださる? グリーンサラダ」
「わかりました お待ち申しております ありがとうございます」
その女性は大学の校門のほうに歩いて行った。あのマカロニのグリーンサラダは私の自信作なんだ。眼を留めてくれたことに、私は、すごくうれしかった。
午後になって、手が空いた時、すみれさんが
「香波ちやん 余計なことなんかも知れないけどね フルーツサラダの切り口をもっと ちゃんと並べられないかしら せっかくの苺が曲がっているのね だから花びらみたいに両側に均一にね」
「そうですね 今 見た目 悪いですね 工夫します」
「それとね キューイ せっかく入っているのに 埋もれているのよ だったら、箱に入れた後に載せるってどう? その方が新鮮よ 立体感あるし、目立つし」
「うわー すみれさん やってみます ですよね だから、フルーツサラダ売れ行き悪かったのかなー」
「それとね グリーンサラダのも 真ん中にアクセントでラディシュとか赤ピーマンを小さく切って置いたらどうかしら」
「ですね その方が見栄えするかも知れませんね じゃあ 焼き豚のも何か考えます ありがとうございます すみれさん」
「ふと 思っただけよ だけど、香波ちゃん この商品 きっと、評判になるような気がするわよ 外側の皮 おいしい 今までに無い、食感と味よ」
「香波ちゃん 良かったわねー パン屋さんのプロに認められた味よ」と、それを聞いていた暁美さんも
「そんなー 暁美 私は、しがない貧乏パン屋の女房でございます」と、仲の良いふたりがふざけ合っていた。
すみれさんが言っていたように、お客様に認知されるにつれて、売れ出したのだ。一日、50セットを作って2時過ぎには、完売していた。だけど、燿さんはそれ以上は作らないと言って居たのだ。そして、すみれさんは、翌年、思いがけないことから、そのパン屋さんの事業を拡げて行くことになるのだ。
― ― ― * * * ― ― ―
お姉ちやんのお誕生日ということで、家族揃って、ホテルのレストランでの食事だった。
「燿 新しい商品が順調に売れ出しているそうじゃぁないか」と、お父さんがいきなり聞いてきた。
「ええ 香波が頑張ってくれたからね」
「お姉ちゃん 私 言われたことやっただけです」
「私は サポートしただけよ それに、すみれさんのアドバイスも良かったわね」
「いずれにしてもな 香波が燿の店のことを、一生懸命やってくれているんで、ワシも助かってるんだ 香波が居なければ、気になってしまって、帯屋のことに身が入らないものな 今は、香波に安心して、任せているみたいだからな」
「そうなのよ お父様 だから、25までという、お約束 まだ、しばらく続けても良いでしょ お願いします」
「うむー やむえないだろうなー だけど 燿もわかっていると思うが・・ 香波の男とのことも考えているんだろな」
「わかっている まだ もう少し先のことよ それより、お父様のほうこそ、覚悟しています? その時になって、大騒ぎするのって嫌よー あー 香波 別に、あなたは負担に思うこと無いのよ 彼との将来を第一に考えるのよ」
「ありがとう お姉ちゃん 今は、お店のこと一生懸命頑張ります」
「ところで 燿 彼氏もいないみたいだなぁ どうするんだ もう25だぞ」
「ふうっ まだ25よ だって ときめくような人 現れないんだもの」
「だから 見合いしろって 言ってるのに」
「お父様 私を早く片づけたいの―」
「そんなわけないじゃぁないか 手元に置いておきたいよ けど、いつまでも、結婚もしないのもなー」
「父親って 複雑ネ お父様」
「ふむー お前に心配されたくないわー お前達が幸せになるんだったら・・仕方ないじゃぁないか 親ってそういうもんじゃわい」
そんな中、50代位の女性の人に声を掛けられて
「あのグリーンサラダばっかりじゃぁ駄目? 私 お肉 食べないの」と、
「あっ えーと 待ってくださいね 大丈夫です 詰め替えでもいいですか?」
「ええ いいわよ ごめんなさいね 手間かけて」
「いいんです ちっとも 少し、待ってくださいね」と、私は、急いで詰め替えて、お渡ししていくと
「これね 大根のお漬物 干したの入っているでしょ おいしいの ほうれん草も身体に良い気になるしね それに、外の皮がおいしいの サクッとしていて、ふんわりして 昨日ね うちの研究室の子にもらって、食べたら、おいしくってね」
「ありがとうございます 合成調味料なんかも使わないで、全部自然のものですよー」
「うふふ そうみたいね あのね 私 火曜と金曜 12時半に通るから 用意しておいてくださる? グリーンサラダ」
「わかりました お待ち申しております ありがとうございます」
その女性は大学の校門のほうに歩いて行った。あのマカロニのグリーンサラダは私の自信作なんだ。眼を留めてくれたことに、私は、すごくうれしかった。
午後になって、手が空いた時、すみれさんが
「香波ちやん 余計なことなんかも知れないけどね フルーツサラダの切り口をもっと ちゃんと並べられないかしら せっかくの苺が曲がっているのね だから花びらみたいに両側に均一にね」
「そうですね 今 見た目 悪いですね 工夫します」
「それとね キューイ せっかく入っているのに 埋もれているのよ だったら、箱に入れた後に載せるってどう? その方が新鮮よ 立体感あるし、目立つし」
「うわー すみれさん やってみます ですよね だから、フルーツサラダ売れ行き悪かったのかなー」
「それとね グリーンサラダのも 真ん中にアクセントでラディシュとか赤ピーマンを小さく切って置いたらどうかしら」
「ですね その方が見栄えするかも知れませんね じゃあ 焼き豚のも何か考えます ありがとうございます すみれさん」
「ふと 思っただけよ だけど、香波ちゃん この商品 きっと、評判になるような気がするわよ 外側の皮 おいしい 今までに無い、食感と味よ」
「香波ちゃん 良かったわねー パン屋さんのプロに認められた味よ」と、それを聞いていた暁美さんも
「そんなー 暁美 私は、しがない貧乏パン屋の女房でございます」と、仲の良いふたりがふざけ合っていた。
すみれさんが言っていたように、お客様に認知されるにつれて、売れ出したのだ。一日、50セットを作って2時過ぎには、完売していた。だけど、燿さんはそれ以上は作らないと言って居たのだ。そして、すみれさんは、翌年、思いがけないことから、そのパン屋さんの事業を拡げて行くことになるのだ。
― ― ― * * * ― ― ―
お姉ちやんのお誕生日ということで、家族揃って、ホテルのレストランでの食事だった。
「燿 新しい商品が順調に売れ出しているそうじゃぁないか」と、お父さんがいきなり聞いてきた。
「ええ 香波が頑張ってくれたからね」
「お姉ちゃん 私 言われたことやっただけです」
「私は サポートしただけよ それに、すみれさんのアドバイスも良かったわね」
「いずれにしてもな 香波が燿の店のことを、一生懸命やってくれているんで、ワシも助かってるんだ 香波が居なければ、気になってしまって、帯屋のことに身が入らないものな 今は、香波に安心して、任せているみたいだからな」
「そうなのよ お父様 だから、25までという、お約束 まだ、しばらく続けても良いでしょ お願いします」
「うむー やむえないだろうなー だけど 燿もわかっていると思うが・・ 香波の男とのことも考えているんだろな」
「わかっている まだ もう少し先のことよ それより、お父様のほうこそ、覚悟しています? その時になって、大騒ぎするのって嫌よー あー 香波 別に、あなたは負担に思うこと無いのよ 彼との将来を第一に考えるのよ」
「ありがとう お姉ちゃん 今は、お店のこと一生懸命頑張ります」
「ところで 燿 彼氏もいないみたいだなぁ どうするんだ もう25だぞ」
「ふうっ まだ25よ だって ときめくような人 現れないんだもの」
「だから 見合いしろって 言ってるのに」
「お父様 私を早く片づけたいの―」
「そんなわけないじゃぁないか 手元に置いておきたいよ けど、いつまでも、結婚もしないのもなー」
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「ふむー お前に心配されたくないわー お前達が幸せになるんだったら・・仕方ないじゃぁないか 親ってそういうもんじゃわい」
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