43 / 60
第9章
9-2
しおりを挟む
2月になって、私のお誕生日には、いつものホテルではなくて、近くの洋食屋さんでと私からお願いした。
「香波 こうやって だんだんと大人になっていって、そのうちワシから離れてしまうのかと思うと少しさびしいが、ますます綺麗になっていくので嬉しいよ」と、お父さんが言ってきた。
「お父さん・・ まだ、先のことですよ まだ、しばらくはお世話になります。お父さんに、こーやって可愛がってもらえて とっても 嬉しいんです。きっと おばあちゃんも 安心していると思います」
「そうか そうかー ワシも香波と居ると 元気が湧いてくるんだよー これからも散歩に付き合ってくれよなー」
お店の人が日生のものですと言って、前菜に焼き牡蠣が並べられてきた。
「おぉー 香波の故郷のものをと言っておいたのだよ 懐かしいだろー」と、お父さんが自慢げに私に言ってきて
「えぇ わざわざ 頼んでくださったのですかー うれしい」と、私は言ったのだけど、実際はあんまり食べたことが無かったのだ。島の生活では、贅沢なので私達の手に入ることは無かったから。でも、お父さんが私に気を使ってくれているのが嬉しかった。
その日の夜、お姉ちゃんが
「香波 お店 衣替えするね クレープはやめて、ホットサンドとジュースだけにするわ それと、ティクアウトに力を入れるわ 多分 CORONAが蔓延して、大変なことになるからね」
「お姉ちゃん それって 大変なの?」
「うん 収まればいいけどね なんか 大変なことのような気がする 人に感染するから・・人の集まるとこには、規制がかかりそうなの それに、飲食店は敬遠されるからね 移るからってー それに、大学だって、学生さん 減るわよー」
「そう 私には、ピンとこないけど・・」
「あとね すみれちゃんが うちのテイクアウトの商品を自分のとこでも扱いたいんだって それに、もう1台 自分のところの販売車を増やすらしいよ あの人もやり手よねー 自宅にこもる人が増えるって睨んでいるんだわー チャンスに変えていくんだわよ」
「・・・評判いいみたいですね あそこのパン」
「うん 調子良いみたい だから、品数を増やしたいのよー それで、ウチの商品に眼をつけて、売れるって思ったんじゃぁない? うちのホットサンドの扱いの件 香波 打ち合わせしておいてね 全部 任すから でも ウチの製造ってことは守ってよ! それと、今のお店の改装も必要よ 客席を減らすの ティクアウトの見場が好いようにして、ショーケースを増やすわ」
「えぇー お姉ちゃん そんなー 私 困ります なんにも わからないですし・・」
「いいの 自分で考えてやってみてー ウチも売上伸びないと困るしー 私ね 木屋町にもう1軒 お店 考えていたんだけど 中止にしたの なんか、人も集まらないしね 嫌な感じもするし すみれちゃんとこの話も、丁度いいかなーって思ったのよ こんな時は、香波みたいに 怖いもの知らずのほうが、好い考えが浮かぶと思うし、思いっきりやって 失敗しても、私が責任持つからね」
「もうー お姉ちゃんは いつも そんな調子なんだからー 私 振り回されてるんだよー」
「いいの 香波は賢いんだから 信頼してる それに、もう18なんだから、少しぐらいはお化粧すればー そのままでも、可愛いんだけどさー」と、抱きしめられて、また、誤魔化されてしまった。
「私は お姉ちゃんが言うんだったら、頑張るからね」
その日は、お姉ちゃんのベッドにもぐりこんで、寝てしまった。お姉ちゃんには悪いんだけど、私はお母さんのぬくもりを感じていたのだ。匠さんの時とは、やっぱり違うのだ。柔らかい・・・
「香波 こうやって だんだんと大人になっていって、そのうちワシから離れてしまうのかと思うと少しさびしいが、ますます綺麗になっていくので嬉しいよ」と、お父さんが言ってきた。
「お父さん・・ まだ、先のことですよ まだ、しばらくはお世話になります。お父さんに、こーやって可愛がってもらえて とっても 嬉しいんです。きっと おばあちゃんも 安心していると思います」
「そうか そうかー ワシも香波と居ると 元気が湧いてくるんだよー これからも散歩に付き合ってくれよなー」
お店の人が日生のものですと言って、前菜に焼き牡蠣が並べられてきた。
「おぉー 香波の故郷のものをと言っておいたのだよ 懐かしいだろー」と、お父さんが自慢げに私に言ってきて
「えぇ わざわざ 頼んでくださったのですかー うれしい」と、私は言ったのだけど、実際はあんまり食べたことが無かったのだ。島の生活では、贅沢なので私達の手に入ることは無かったから。でも、お父さんが私に気を使ってくれているのが嬉しかった。
その日の夜、お姉ちゃんが
「香波 お店 衣替えするね クレープはやめて、ホットサンドとジュースだけにするわ それと、ティクアウトに力を入れるわ 多分 CORONAが蔓延して、大変なことになるからね」
「お姉ちゃん それって 大変なの?」
「うん 収まればいいけどね なんか 大変なことのような気がする 人に感染するから・・人の集まるとこには、規制がかかりそうなの それに、飲食店は敬遠されるからね 移るからってー それに、大学だって、学生さん 減るわよー」
「そう 私には、ピンとこないけど・・」
「あとね すみれちゃんが うちのテイクアウトの商品を自分のとこでも扱いたいんだって それに、もう1台 自分のところの販売車を増やすらしいよ あの人もやり手よねー 自宅にこもる人が増えるって睨んでいるんだわー チャンスに変えていくんだわよ」
「・・・評判いいみたいですね あそこのパン」
「うん 調子良いみたい だから、品数を増やしたいのよー それで、ウチの商品に眼をつけて、売れるって思ったんじゃぁない? うちのホットサンドの扱いの件 香波 打ち合わせしておいてね 全部 任すから でも ウチの製造ってことは守ってよ! それと、今のお店の改装も必要よ 客席を減らすの ティクアウトの見場が好いようにして、ショーケースを増やすわ」
「えぇー お姉ちゃん そんなー 私 困ります なんにも わからないですし・・」
「いいの 自分で考えてやってみてー ウチも売上伸びないと困るしー 私ね 木屋町にもう1軒 お店 考えていたんだけど 中止にしたの なんか、人も集まらないしね 嫌な感じもするし すみれちゃんとこの話も、丁度いいかなーって思ったのよ こんな時は、香波みたいに 怖いもの知らずのほうが、好い考えが浮かぶと思うし、思いっきりやって 失敗しても、私が責任持つからね」
「もうー お姉ちゃんは いつも そんな調子なんだからー 私 振り回されてるんだよー」
「いいの 香波は賢いんだから 信頼してる それに、もう18なんだから、少しぐらいはお化粧すればー そのままでも、可愛いんだけどさー」と、抱きしめられて、また、誤魔化されてしまった。
「私は お姉ちゃんが言うんだったら、頑張るからね」
その日は、お姉ちゃんのベッドにもぐりこんで、寝てしまった。お姉ちゃんには悪いんだけど、私はお母さんのぬくもりを感じていたのだ。匠さんの時とは、やっぱり違うのだ。柔らかい・・・
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる