少女は 見えない糸だけをたよりに・・

すんのはじめ

文字の大きさ
46 / 60
第9章

9-5

しおりを挟む
  16日 お休みなんだけどお店で私は、お昼ごろ待っていた。巧がくることになっている。

「香波 受かったよ 採用だって」と、巧が飛び込んできた。

「わー 良かったー」と、私は、巧の胸に飛び込んでいって、そのまま、唇を合わせていた。

「もう 沖縄には行かないんでしょ?」

「あぁ ここに居る やっぱり、香波は沖縄に行くのは嫌だったのか?」

「うぅん そーじゃないけど いろいろと大変じゃぁない 巧と一緒だっていっても知らない土地だし」

「そーだな まぁ 良かったよ 僕も やりたいことができるからな」

 そして、今夜の送り火を一緒に見ようと約束して、また、夕方に落ち合うことにした。私は、家に帰って、お父さんとお母さんに報告したら、喜んでくれて、改めてお祝いを兼ねて、巧を紹介することになった。

 お母さんに浴衣を着せてもらっていたら、お姉ちゃんが帰ってきて、巧と出かける話をしたら

「いいわねー たっぷりと甘えてきなさいね あー 少し、濃いめにお化粧してあげるから」

「うん なんか 今まで もやもやしていたんが スーとしたから」

 地下鉄の駅で待ち合わせして、出町柳から河原まで歩いていくつもりだった。

「香波 特別 可愛いよ 唇も紅いね」

「うん お姉ちゃんにね 夜だから、濃いめでいいわよって」

「そうか 初めて見るね いゃ きれいだよ」

「ありがとう 巧の彼女だからね」と、腕を組んでいった。

 鑑賞する人であふれていたけど、8時の点灯まで時間があって、組んでいる腕が汗ばんできたけど、私は離さなかった。巧も別に暑いからとあえて解こうとしてこなかったから・・。

 点灯が始まって、しばらくしてから、私達は河原沿いを歩いて下って行った。

「あさって 沖縄の水島さんのところに報告に行ってくるよ 気を使ってくれたからな ちゃんとしておかなきゃー」

「そう 私も その奥様って人に一度 お会いしてみたかったけどね」

「まぁ そのうち機会あるよ」

「そうね いつか連れてってね あとね お父さんが巧に一度会いたいんだってー 就職決まったお祝いも兼ねてね お願い 一度ウチの家に来てーぇ」

「ウチの家かー」

「あぁ ごめん 私 もう あそこの子になったみたいだね」

「なんにも 謝ることないじゃぁないか 9月になったら、一度 お邪魔するよ はっきり 言う 香波と結婚したいってな」

「巧・・ それ プロポーズ?」

「ああ 香波 僕と結婚してください 直ぐって わけじゃぁないけど」

「巧 ありがとう やっと はっきり言ってくれたね うれしい! 私 巧のお嫁さんになります」

「そうかー 言ってなかったったっけー」

「うん はっきり 言ってくれたの 初めてだよー 私 思い切って、京都に出て来て良かった! お父さんとお義母さんもおばぁちゃんも きっと喜んでくれるわー バクも」と、私、涙ぐんでいた。

 河原町で少しお祝いしてから、巧は家まで送ってきてくれた。

「やっぱり 立派な家だなー 気遅れするかもな」

「そんなことないよ みんな優しい家族だよ」

 そして、裏口のある通りにまわって、人の居ないのを見て、この前みたいに、私は自分から巧に「ねぇ」と、せがんでいった。

 ― ― ― * * * ― ― ―
 
 巧が沖縄から帰ってきた時、私は、泳ぎに行こうよと誘っていた。レンタカーも借りてよーと、おねだりしていた。8月も末なんだけど、まだまだ暑い日が続いていた。

 お店のお休みの水曜日、岡崎公園で待っていると巧が青い車で来てくれて、琵琶湖に行く予定だった。私は、くるみちゃんから聞かされていたので、彼と泳ぎに行ったこと・・そして、帰りに、琵琶湖大橋の袂のラブホテルに入ってきたことを・・だから・・。

 最初、私達は手をつないだりして、重なったりして泳いだり、砂で遊んだりしていた。私は、おにぎりと醤油漬けの焼肉のお弁当を用意してきていた。

「ウン いつも 香波のおにぎりはおいしいよ 中の梅干しも塩辛くってうまいんだ 紀州のものなのかー?」

「残念ながら 若狭のものだって でも、お母さんが毎年自分で漬けているんだって 去年も今年も、私が手伝ったんだよ 売っているのは、甘いからお父さんがダメなんだって」

「そうかー だから おいしい訳だ 僕も、売っているはちみつ入りなんて、気持ち悪くって食べられないんだ」

「よかったー 私も、お漬物なんてものもね 甘ったるいのダメなの 田舎もんだからね」

「まぁー そ~いうわけでもないだろうけど 僕も地元の梅干しは塩辛いので育ってきたから」

 そして、食べた後は、私が持ってきたビーチマットで二人でプカプカ浮かんで泳いでいた。

「ねぇー 泳いでいるって 割と つまんないもんだね 巧と一緒だから、まだ、いいけどね」

「そうだなー 割と 飽きてくるね」

「ねぇ もう、行こうかー あのねー 私 つもりしてきたの 巧に抱かれたい」

「香波・・ じゃあ 帰ろうかー」

 私達は、着替えて帰る身支度をして・・そして、巧は琵琶湖大橋を渡らないで、そのふもとにあるラブホテルを目指してくれた。

 戸惑いながら、ふたりで部屋に入って、私はびっくりした、部屋の中は段差があって、部屋ン中に大きな樹があって南国に来たみたいだった。

 私、痛みを感じていたんだけど、それよりも、巧とつながっていることの歓びのほうが嬉しかった。そして、巧のものを中に感じているとき

「巧 私のこと 忘れないでよー」

「なに言ってんだよ 香波をずーと離さないし、愛し続けるよ」

 繋がったままで、舌も吸い上げられてしまったら、私は、身体が浮いているみたいで、夢中で両手も両足も彼にしがみついていった。すごくうれしかったんだったんだものー。私は、もう、この人のものになったんだと・・

「ねぇ・・・思いっ切り 愛してぇー・・・ウチは あなたのものです・・・」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...