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第11章
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駅から歩いて15分程。巧の実家は国道沿いで、数台の車が並んで、大きなシャッターの建物がある裏手の方にあった。お盆休みなのだろうシャッターも降りていた。横手の方から、玄関に回って、扉は網戸になっていた。
私は、お姉ちゃんの見立てで白の綿のフレァーなワンピースを着て、胸にお花のブローチをつけていた。サンダルも白いものをお姉ちゃんがこの日の為に買ってくれたのだ。出来るだけ、清楚で若いふうに見せた方がいいよと、お化粧も薄くリキッドファンデーションを伸ばしただけにした。お土産は無難なとこで、お茶が良いわと・・・信楽の奥の朝宮の新茶のものを持たされていたのだ。
「ただいまー 帰りましたよー」と、巧が元気な声で網戸を開けて・・。
「お帰りなさい 暑かったでしょ お疲れ様」と、中から若い女の人が迎えてくれた。多分、お兄さんのお嫁さんなんだろう。赤ちゃんを抱きながら、出てきた。それと、その後ろから小さな男の子がお母さんのスカートを掴みながら・・。
「まぁ 可愛らしい人ね びっくりした 巧さん この人なのー 若ーい」
「帯屋香波と申します」と、頭を思いっきり下げていた。
「おぉー よく来たなぁー」と、その時、後ろから大きな声がしてきた。振り返ると、真っ黒に陽焼けして、油に汚れた作業服の男の人。私は、びっくりしたこともあって、巧の腕を思わず掴んでしまっていた。
「あっ すまんなー 驚かせてしまっていたか 兄の剛です」
「いきなりなんでな 仕事してたの?」
「あぁー 少し工場の片付けを 巧が来る前にと思ってな まぁ あがれよ お母さんも待っているぞー」
中のリビングダイニングに通されて、お母さんが椅子に座っていた。
「香波 お母さん 足が悪いから、座ったままでな お母さん、帯屋香波さんだよ」
「帯屋香波です よろしくお願いいたします」と、又、思いっきり頭を膝に付くくらい下げていた。
「まぁ まぁ あがのとこによーおこし かえーらしいことよ」
「嫁の恭子です こっちは 満 3歳 そして この娘は渚 8か月よ あのね お母さんは 今 あなたのこと 可愛らしいって言ったのよ」と、お嫁さんも挨拶してくれた。
そして、ダイニングにみんなが座って、ビールを継がれていた。
「じゃぁ とりあえず 乾杯じゃ」と、お兄さんの音頭で始まった。私は、少し口をつけただけでグラスを置いていたら
「なんじゃ 香波さんは苦手なのか? 遠慮せんでいいぞー」
「あのー 私 まだ・・」
「兄貴 香波はまだ19なんじゃ」
「えー そうかー 若いなーとは思っとんじゃが やっぱり、そうなんかー いや 本当は高校生ぐらいに見えてたんよー」
「そう 私もね 見た時 びっくりしちゃった 巧さん よく こんな可愛い人見つけたわね 大学で?」
「いいや たまたま 出会ったんだ でも、結ばれていたんだよ」
「そうかー だから、早いこと ものにしちゃおうって思ってるんだな」
「そんなことないけど でも、出会ってから もう 4年も経っているんだよ」
「えー そんな子供のうちから・・やるのー 巧」
「だって 私も高校の時から、約束させられたわよ でも嫁いだのは21の時だったわ」と、恭子さんは私に麦茶を出してくれていた。
「それで、来春なんだな 式は・・・ 食わせていけるだけの給料あるんだろうな」
「うん なんとか 贅沢しなきゃーな 香波も立派な仕事を持っているし 別に、あてにしている訳じゃぁないよ しばらく、子供は我慢する 落ち着いたら、兄貴が出してくれた学費も返していくよ」
「バカヤロウ そんなものはなー 巧が一流の大学に入ってくれたお陰でな 高卒の俺でも、近所にも自慢できるんだ 返すなんてこと言うなよ だったら、早いこと 子供作れ 可愛いぞー」
「ありがとう 兄貴」
「うん 香波さん 不器用な男だけど よろしくな でも あんたみたいな可愛い娘が、義理でも俺の妹になるなんてなー 又、近所にも自慢できるわー」
「あらー 私じゃぁ 自慢になんないみたいじゃぁない あんなに可愛かった私をこんな風にしたのは貴方ですからね」と、恭子さんも明るくて素敵な人だった。その後も、高校の時、他に付き合っている人が居たんだけど、この人が私を無理やり奪ったのよーって、話をしてくれていた。
私達は、夕方近くなって、もう、帰るからと、泊っていけと言われるのを断って、巧の実家を後にした。帰る前、私は、お母さんの手を握り締めて「これから、よろしく お願いします 私 今、とっても 幸せなんです」と、言っていたら、お母さんも「巧は優しい子だから 仲よくね」と、帰してくれていた。
私は、お姉ちゃんの見立てで白の綿のフレァーなワンピースを着て、胸にお花のブローチをつけていた。サンダルも白いものをお姉ちゃんがこの日の為に買ってくれたのだ。出来るだけ、清楚で若いふうに見せた方がいいよと、お化粧も薄くリキッドファンデーションを伸ばしただけにした。お土産は無難なとこで、お茶が良いわと・・・信楽の奥の朝宮の新茶のものを持たされていたのだ。
「ただいまー 帰りましたよー」と、巧が元気な声で網戸を開けて・・。
「お帰りなさい 暑かったでしょ お疲れ様」と、中から若い女の人が迎えてくれた。多分、お兄さんのお嫁さんなんだろう。赤ちゃんを抱きながら、出てきた。それと、その後ろから小さな男の子がお母さんのスカートを掴みながら・・。
「まぁ 可愛らしい人ね びっくりした 巧さん この人なのー 若ーい」
「帯屋香波と申します」と、頭を思いっきり下げていた。
「おぉー よく来たなぁー」と、その時、後ろから大きな声がしてきた。振り返ると、真っ黒に陽焼けして、油に汚れた作業服の男の人。私は、びっくりしたこともあって、巧の腕を思わず掴んでしまっていた。
「あっ すまんなー 驚かせてしまっていたか 兄の剛です」
「いきなりなんでな 仕事してたの?」
「あぁー 少し工場の片付けを 巧が来る前にと思ってな まぁ あがれよ お母さんも待っているぞー」
中のリビングダイニングに通されて、お母さんが椅子に座っていた。
「香波 お母さん 足が悪いから、座ったままでな お母さん、帯屋香波さんだよ」
「帯屋香波です よろしくお願いいたします」と、又、思いっきり頭を膝に付くくらい下げていた。
「まぁ まぁ あがのとこによーおこし かえーらしいことよ」
「嫁の恭子です こっちは 満 3歳 そして この娘は渚 8か月よ あのね お母さんは 今 あなたのこと 可愛らしいって言ったのよ」と、お嫁さんも挨拶してくれた。
そして、ダイニングにみんなが座って、ビールを継がれていた。
「じゃぁ とりあえず 乾杯じゃ」と、お兄さんの音頭で始まった。私は、少し口をつけただけでグラスを置いていたら
「なんじゃ 香波さんは苦手なのか? 遠慮せんでいいぞー」
「あのー 私 まだ・・」
「兄貴 香波はまだ19なんじゃ」
「えー そうかー 若いなーとは思っとんじゃが やっぱり、そうなんかー いや 本当は高校生ぐらいに見えてたんよー」
「そう 私もね 見た時 びっくりしちゃった 巧さん よく こんな可愛い人見つけたわね 大学で?」
「いいや たまたま 出会ったんだ でも、結ばれていたんだよ」
「そうかー だから、早いこと ものにしちゃおうって思ってるんだな」
「そんなことないけど でも、出会ってから もう 4年も経っているんだよ」
「えー そんな子供のうちから・・やるのー 巧」
「だって 私も高校の時から、約束させられたわよ でも嫁いだのは21の時だったわ」と、恭子さんは私に麦茶を出してくれていた。
「それで、来春なんだな 式は・・・ 食わせていけるだけの給料あるんだろうな」
「うん なんとか 贅沢しなきゃーな 香波も立派な仕事を持っているし 別に、あてにしている訳じゃぁないよ しばらく、子供は我慢する 落ち着いたら、兄貴が出してくれた学費も返していくよ」
「バカヤロウ そんなものはなー 巧が一流の大学に入ってくれたお陰でな 高卒の俺でも、近所にも自慢できるんだ 返すなんてこと言うなよ だったら、早いこと 子供作れ 可愛いぞー」
「ありがとう 兄貴」
「うん 香波さん 不器用な男だけど よろしくな でも あんたみたいな可愛い娘が、義理でも俺の妹になるなんてなー 又、近所にも自慢できるわー」
「あらー 私じゃぁ 自慢になんないみたいじゃぁない あんなに可愛かった私をこんな風にしたのは貴方ですからね」と、恭子さんも明るくて素敵な人だった。その後も、高校の時、他に付き合っている人が居たんだけど、この人が私を無理やり奪ったのよーって、話をしてくれていた。
私達は、夕方近くなって、もう、帰るからと、泊っていけと言われるのを断って、巧の実家を後にした。帰る前、私は、お母さんの手を握り締めて「これから、よろしく お願いします 私 今、とっても 幸せなんです」と、言っていたら、お母さんも「巧は優しい子だから 仲よくね」と、帰してくれていた。
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