57 / 60
第12章
12-2
しおりを挟む
費用の方は貸衣装代が私のほうがかかるし、一切をお父さんが出すからと言っていたのを、私は巧に伝えるのが辛かった。巧のことだから、プライドがあって素直に納得すると思ってなかったから。案の定
「そんなのダメだよ 香波の衣装は高そうで手が出ないかもしれないけど、せめて、式の費用、写真代ぐらいは出すよ」
「うーん だけど お父さんから念押しされてるんだー これから、二人とも、新生活でお金がかかるんだから、そっちに回しなさいって それに、披露宴やる時のこともあるからって ねぇ 巧 お願い お父さんの言う通りにしてよー この頃、私、毎日、念押しされてるのよ」
「たぶん そうなるだろうなって思ってた・・あのお父さんの香波に対する思いは相当だものなー 自分の手であでやかな花嫁さんにしたいんだろうな おそらく 京都 いや 日本一の花嫁に・・・香波を」
「うん 夢だって言っていたから・・」
「わかったよー 香波 泣きそうな顔するなよー 香波がそうしたいんなら、それで、いいよー ここで、香波を困らせるようなことしたくないもんな」
「ありがとう 巧 わかってくれた? だから、巧 大好きだよ 今度、サービスするね」
「なんだ サービスって そんなにワッフルサンド食べられないよ」
「ちがう! サンドじゃぁなくて・・ もうー バカ いじわる!」
私達は、予約するために、神社に行って、だけど、来年の4月の終わりしか空いてなくて、それも連休前の平日だった。とりあえず、そこで、予約して、もう少し前の土曜か、日曜のキャンセル待ちにすることにしたCORONAのせいでキャンセルする組も多いということだったので。
そして、そして、式には神社なので、私は白無垢で巧は羽織袴なのだ。写真は白無垢と色打掛に白いウェディングドレスで、家族の集合写真も両方撮るということにしたのだ。巧は、何回も・・・って言っていたけど、最終的には私のって言うより、帯屋のお母さんの望みだった。
— — — * * * — — —
一応、式の話が落ち着いたところで、お母さんが
「香波ちゃん 来年 成人式よね だけど 式があるかどうかもわかんないからね あのね 結婚式のこともあるから、前に着た 燿のものでいいかしら・・」
「おかあさん 私 一緒に行く友達も居ないし そんな成人式のために 特別なんて思っていませんから・・」
「なんだー そんな 香波だって 一生一度の成人式だぞー 考えてあげなさい」と、お父さんが言っていたけど
「本当にいいんです お父さん そんなのもったいないですし お母さんの言う通り 結婚式のこともありますから・・」
「そうよ だって お嫁にいってしまったら、振袖はちょっとね もう、着る機会もないのよ だったら、他にお金回したほうがいいわよ 成人式もあるかどうかわかんないのですから・・」と、お母さんは意見を押し通してしまった。
お父さんと散歩に出ていた時
「香波 いいのか ワシは香波のことを燿と同じように思っている だから、せっかくの機会なのに 同じように晴れ着を・・」
「いいんです もう 私は、お姉ちゃんの妹なんですから、同じ着物を着れるだけでもうれしいんですから・・」
「そうか 香波が素直ないい娘で良かったって思うよ でも、式を挙げる時には、島のお父さんとお母さんにも 香波の幸せなとこをちゃんと見てもらおうな」
「うん お父さん もう 言わないでー 想い出しちゃうから・・」
そして、その年も暮れていった。人が集まることのない静かな年の瀬を迎えた。だけど、私は、この家で過ごす最後の大晦日で、大掃除をした後、お母さんから、しっかりとお正月の料理を教えてもらっていた。
「そんなのダメだよ 香波の衣装は高そうで手が出ないかもしれないけど、せめて、式の費用、写真代ぐらいは出すよ」
「うーん だけど お父さんから念押しされてるんだー これから、二人とも、新生活でお金がかかるんだから、そっちに回しなさいって それに、披露宴やる時のこともあるからって ねぇ 巧 お願い お父さんの言う通りにしてよー この頃、私、毎日、念押しされてるのよ」
「たぶん そうなるだろうなって思ってた・・あのお父さんの香波に対する思いは相当だものなー 自分の手であでやかな花嫁さんにしたいんだろうな おそらく 京都 いや 日本一の花嫁に・・・香波を」
「うん 夢だって言っていたから・・」
「わかったよー 香波 泣きそうな顔するなよー 香波がそうしたいんなら、それで、いいよー ここで、香波を困らせるようなことしたくないもんな」
「ありがとう 巧 わかってくれた? だから、巧 大好きだよ 今度、サービスするね」
「なんだ サービスって そんなにワッフルサンド食べられないよ」
「ちがう! サンドじゃぁなくて・・ もうー バカ いじわる!」
私達は、予約するために、神社に行って、だけど、来年の4月の終わりしか空いてなくて、それも連休前の平日だった。とりあえず、そこで、予約して、もう少し前の土曜か、日曜のキャンセル待ちにすることにしたCORONAのせいでキャンセルする組も多いということだったので。
そして、そして、式には神社なので、私は白無垢で巧は羽織袴なのだ。写真は白無垢と色打掛に白いウェディングドレスで、家族の集合写真も両方撮るということにしたのだ。巧は、何回も・・・って言っていたけど、最終的には私のって言うより、帯屋のお母さんの望みだった。
— — — * * * — — —
一応、式の話が落ち着いたところで、お母さんが
「香波ちゃん 来年 成人式よね だけど 式があるかどうかもわかんないからね あのね 結婚式のこともあるから、前に着た 燿のものでいいかしら・・」
「おかあさん 私 一緒に行く友達も居ないし そんな成人式のために 特別なんて思っていませんから・・」
「なんだー そんな 香波だって 一生一度の成人式だぞー 考えてあげなさい」と、お父さんが言っていたけど
「本当にいいんです お父さん そんなのもったいないですし お母さんの言う通り 結婚式のこともありますから・・」
「そうよ だって お嫁にいってしまったら、振袖はちょっとね もう、着る機会もないのよ だったら、他にお金回したほうがいいわよ 成人式もあるかどうかわかんないのですから・・」と、お母さんは意見を押し通してしまった。
お父さんと散歩に出ていた時
「香波 いいのか ワシは香波のことを燿と同じように思っている だから、せっかくの機会なのに 同じように晴れ着を・・」
「いいんです もう 私は、お姉ちゃんの妹なんですから、同じ着物を着れるだけでもうれしいんですから・・」
「そうか 香波が素直ないい娘で良かったって思うよ でも、式を挙げる時には、島のお父さんとお母さんにも 香波の幸せなとこをちゃんと見てもらおうな」
「うん お父さん もう 言わないでー 想い出しちゃうから・・」
そして、その年も暮れていった。人が集まることのない静かな年の瀬を迎えた。だけど、私は、この家で過ごす最後の大晦日で、大掃除をした後、お母さんから、しっかりとお正月の料理を教えてもらっていた。
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる