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第12章
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年が明けて、新年のお祝いをしてから、平安神宮に皆でお参りに行ってきた後、巧を招いていた。お父さんも、もう、家族同様なんだからと呼んだのだ。
私とお姉ちゃん、お母さんも着物で迎えた。巧はスーツ姿で来たのだ。やっぱり、私は門扉の前まで迎えに出ていた。門の両脇には、松の〆飾りが・・以前は門松を置いていたという話だ。
「巧 年が明けたね いよいよ 今年 巧のお嫁さんになれるんだね」
「うん ふたりで幸せになるんだからね」
「うふっ 今さらなんだけど 私、お嫁さんとして ちゃんと出来るか ちょっと 不安 ずーと 一緒だと 喧嘩することもあるんじゃぁないかとか」
「考えすぎだよ そりゃぁ 口喧嘩くらいはあるだろー だけど、香波のことは愛してるから・・」
「巧 ねぇ キッス」と、せがんでいった。
「ここでかー 誰かー 見られるー」と、言っている巧に唇を合わせていった。食卓には、いつものお店の押しずしが並んでいた。
「うん 巧君 よく来てくれたな。いろんな人に会うから、感染対策に気を使って 大変なんだろう?」
「ぇえ でも、出来るだけ 会わないようにして オンラインとか 離れてしゃべるとかですかねー お父さんの方も お客様相手ですから大変なんでしょ?」
「そーだな 来店の人は居なくなった だけど、燿が通信販売とか海外にも広げてくれているんで、何とか、繋いでいる 大変な世の中だ まぁ 今日は、ゆっくりしていってくれ なんなら、泊ってもいいぞー」
「お父様 飲む相手にお呼びしたみたいね ほどほどにね」と、お姉ちゃんがお母さんに代わって釘を刺していた。だけど、私は、お姉ちゃんこそ ほどほどにねと思っていた。
最初は、ビールで始まって、お父さんが私にも勧めてきたので、最初の1杯だけ。でも、その後はお酒になって、お姉ちゃんはワインを持ち出してきて、私にも継いで来ていた。そして、お姉ちゃんは殆ど1本ひとりで空けてしまって
「ねぇ 巧ちゃん 学内で初めて香波に出会った時 見ても無視して気づかなかったんだって?」
「うーと そーだったと思います チラッと見て 可愛い娘だとは思ってたんですけどー」
「香波から聞いてるんだからー 香波が眼の前に行って、「バク」と・・・はずめて 気づいてくれたってー」
危険。お姉ちゃんは、もう、ろれつが怪しかった。
「はぁ でも、僕の知っている香波は陽焼けして、真っ黒な男の子みたいな娘だったんですからー それに、あんなとこで・・まさかと思いましたよー 面影はあったけど・・・まさかねって 香波だなんてー 可愛い娘すぎたんです」
「うふふっー あん時 香波は 精一杯 可愛くしとったんだよー すんべてをぶつける気持ちでね んにゃー 香波」
「お姉ちゃん 私 そんなに・・」もう、お姉ちゃんは酔って怪しかった。だけど、少し、危ない足取りで、もう1本取りに行こうとしたので、お母さんが
「燿 まだ 飲むんだったら、着物 もう 着替えなさい 苦しいんじゃあない?
香波ちゃんも」と、手招きをしてくれていた。
私達は、ブラウスとスカートに着替えて、戻ったけど、お姉ちゃんはスクっとしてワインを持ってきていた。そして、私にも、飲みなさいよと継いで来ていた。お父さん達もそれなりにお酒が進んでいた。お母さんが何回もぬるめのお燗に立っていたから・・。
「匠ちゃんはさぁー 一度会っただけで 香波をとりこにすてしまったんだからー すごいよねー すぅれって 狡くない?」と、お姉ちゃんは、絡むようだった。
「はぁ・・・きっと 結ばれていたんですね」
「なにを 古臭いことを・・・わたすと香波のほうこそ 結ばれてたんじゃ! わたすの香波を泣かすようだと 許さんよ!」と、お姉ちゃんはしつこく迫っていたのだ。
9時頃になって、お父さんも限界に近かったので、巧はお暇しますと、席を立って帰ると行った時も、お父さんは、もう何の反応もしなかった。お姉ちゃんも座ったまま手を振るだけで、立ち上がる気もなかったみたい。お母さんは、玄関まで見送りに出てくれて、私は、門扉の表まで・・
「巧 ありがとうね お父さんに付き合ってくれて」
「いいや 楽しかったよ 明日、はじめ と会うんだ 香波も来いよ」
「帰ってるんだ そうねー 式に呼べないもんなー わかった」と、私は、通りに誰も居ないのを確かめて
「ねぇ 抱きしめてよー」と、眼をつむって顔を寄せて行った。
私とお姉ちゃん、お母さんも着物で迎えた。巧はスーツ姿で来たのだ。やっぱり、私は門扉の前まで迎えに出ていた。門の両脇には、松の〆飾りが・・以前は門松を置いていたという話だ。
「巧 年が明けたね いよいよ 今年 巧のお嫁さんになれるんだね」
「うん ふたりで幸せになるんだからね」
「うふっ 今さらなんだけど 私、お嫁さんとして ちゃんと出来るか ちょっと 不安 ずーと 一緒だと 喧嘩することもあるんじゃぁないかとか」
「考えすぎだよ そりゃぁ 口喧嘩くらいはあるだろー だけど、香波のことは愛してるから・・」
「巧 ねぇ キッス」と、せがんでいった。
「ここでかー 誰かー 見られるー」と、言っている巧に唇を合わせていった。食卓には、いつものお店の押しずしが並んでいた。
「うん 巧君 よく来てくれたな。いろんな人に会うから、感染対策に気を使って 大変なんだろう?」
「ぇえ でも、出来るだけ 会わないようにして オンラインとか 離れてしゃべるとかですかねー お父さんの方も お客様相手ですから大変なんでしょ?」
「そーだな 来店の人は居なくなった だけど、燿が通信販売とか海外にも広げてくれているんで、何とか、繋いでいる 大変な世の中だ まぁ 今日は、ゆっくりしていってくれ なんなら、泊ってもいいぞー」
「お父様 飲む相手にお呼びしたみたいね ほどほどにね」と、お姉ちゃんがお母さんに代わって釘を刺していた。だけど、私は、お姉ちゃんこそ ほどほどにねと思っていた。
最初は、ビールで始まって、お父さんが私にも勧めてきたので、最初の1杯だけ。でも、その後はお酒になって、お姉ちゃんはワインを持ち出してきて、私にも継いで来ていた。そして、お姉ちゃんは殆ど1本ひとりで空けてしまって
「ねぇ 巧ちゃん 学内で初めて香波に出会った時 見ても無視して気づかなかったんだって?」
「うーと そーだったと思います チラッと見て 可愛い娘だとは思ってたんですけどー」
「香波から聞いてるんだからー 香波が眼の前に行って、「バク」と・・・はずめて 気づいてくれたってー」
危険。お姉ちゃんは、もう、ろれつが怪しかった。
「はぁ でも、僕の知っている香波は陽焼けして、真っ黒な男の子みたいな娘だったんですからー それに、あんなとこで・・まさかと思いましたよー 面影はあったけど・・・まさかねって 香波だなんてー 可愛い娘すぎたんです」
「うふふっー あん時 香波は 精一杯 可愛くしとったんだよー すんべてをぶつける気持ちでね んにゃー 香波」
「お姉ちゃん 私 そんなに・・」もう、お姉ちゃんは酔って怪しかった。だけど、少し、危ない足取りで、もう1本取りに行こうとしたので、お母さんが
「燿 まだ 飲むんだったら、着物 もう 着替えなさい 苦しいんじゃあない?
香波ちゃんも」と、手招きをしてくれていた。
私達は、ブラウスとスカートに着替えて、戻ったけど、お姉ちゃんはスクっとしてワインを持ってきていた。そして、私にも、飲みなさいよと継いで来ていた。お父さん達もそれなりにお酒が進んでいた。お母さんが何回もぬるめのお燗に立っていたから・・。
「匠ちゃんはさぁー 一度会っただけで 香波をとりこにすてしまったんだからー すごいよねー すぅれって 狡くない?」と、お姉ちゃんは、絡むようだった。
「はぁ・・・きっと 結ばれていたんですね」
「なにを 古臭いことを・・・わたすと香波のほうこそ 結ばれてたんじゃ! わたすの香波を泣かすようだと 許さんよ!」と、お姉ちゃんはしつこく迫っていたのだ。
9時頃になって、お父さんも限界に近かったので、巧はお暇しますと、席を立って帰ると行った時も、お父さんは、もう何の反応もしなかった。お姉ちゃんも座ったまま手を振るだけで、立ち上がる気もなかったみたい。お母さんは、玄関まで見送りに出てくれて、私は、門扉の表まで・・
「巧 ありがとうね お父さんに付き合ってくれて」
「いいや 楽しかったよ 明日、はじめ と会うんだ 香波も来いよ」
「帰ってるんだ そうねー 式に呼べないもんなー わかった」と、私は、通りに誰も居ないのを確かめて
「ねぇ 抱きしめてよー」と、眼をつむって顔を寄せて行った。
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