魔王様はレベル1の勇者に恋をする! 〜ヤンデレ系こじらせ魔王は愛する勇者のレベルを上げさせない〜

愛善楽笑

文字の大きさ
57 / 89

57話 ザッコス盗賊団をやっつけろ! 後編

しおりを挟む


 私はかつて、ユーナを全力で守ろうとしたあの日に、魔力が限界突破していた。

 初級の魔法ですら、高威力となる自分の力に驚いたのを記憶している。

 わずか半径1センチほどの炎の玉でも大爆発を起こしてしまうほどだった。

 そして、今の私は全属性の魔法をすべてを使いこなすなんて当たり前。

 そんな私は実験として、よく魔法防御アイテムや魔法無効化アイテムに対して自分の魔法を叩き込んだことがある。

 本来なら魔法を無効化するそれらを、私は全て叩き壊してしまったのだ。もちろん例外なくだ。

 ザッコス盗賊団に向け、私は左手から〝煉獄の炎〟右手から〝裁きの雷〟を放つ。

「掃き溜めのゴミども、焼け焦げ懺悔せよ! 〝煉獄の炎クリムゾンフレアー〟! 〝裁きの雷ジャッジメントライト〟!」

「「「ぐぎゃあああああああ! あぢいいいい!」」」

 燃え盛る炎と、降り注ぐ稲妻が瞬く間にザッコス盗賊団一味を焼いていく。

 のたうち回る姿はダンスそのもの。

 ザッコス盗賊団の断末魔の叫び声が響きわたり──やがて静かになっていくのだった。

 そして、パンツいっちょに片っぽ靴下着用の、プスプスと丸焦げになって倒れる盗賊たち。

 ふと横を見ると、唯一、私の放つ魔法を遠巻きに見ていた親玉モヒカン……ザッコスと呼ばれた男が、ヘナヘナとへたり込んでいた。

 私は落ち着いた口調で親玉モヒカンに尋ねる。

「で? 魔法が効かないんだったか?」

「そ、そんなバカな……! お、俺様たちが装備してるのは魔法石で作られた魔法無効の首飾りなはず……」

 私の魔法の迫力に気圧されたザッコスは、ぶるぶると震えて答えた。
 私はザッコスにゆっくりと歩み寄ると、ヤツの目の前にしゃがみ込み、モヒカン頭をグイ、と右手で掴む。

「魔法を無効化しようってのはいい考えだがな、これが差というものだ」

 私が真顔で喋ることによほど恐怖したのか、ザッコスは剥き出した歯をカチカチと鳴らして言う。

「ば、ばけもんだ……!」

 化け物じゃない、魔王だ。私をその辺のモンスターと一緒にするな。

 まぁ仕方ないか、こいつは私を見るのも初めてなんだろうし。それに、こいつらはさっきまで自身まんまんで暴れまわってたからなぁ。

 まさか自分だけ残して全滅させられるなんて考えてもなかったろう。ましてや魔法を無効にできるアイテムが意味を成さないなんて、完全に予想外だったのだから。

 そんな私の目に、焦りだす親玉モヒカンザッコスの顔が映る。

「た、たのむ! 許してくれぇ!」

 追い詰められたザッコスの、死に物狂いの命乞いが響き渡る。

 叫んだところで私が許すと思うのだろうか?

 答えは否、許さん。

 私は力強く握りしめた右手を後ろに曲げ、勢いをつけてザッコスを殴りつける。

「ゴフゥッ! あがが……た、頼む、い、命だけは助けてくれッ!」

「は? 何を調子のいいことを言ってるんだケダモノが。お前……今まで散々、女や子どもを嬲り倒してきたんだろ? 同じように命乞いをした者たちに、お前は酷いことをしてきたんだろう?」

「そ、それは……」

「つーかお前、私を殺す気満々だったくせに筋違いなこと言うなよ、この掃き溜めの人間ケダモノが……! お前も炎の中でダンスを踊れ! 〝煉獄の炎クリムゾンフレアー〟!」

「ぎゃあああああああ! あぢ! あぢいいいい!」

 懇願し命乞いをするザッコスに、私は問答無用で煉獄の炎クリムゾンフレアーを放つと、ザッコスは狂ったようにのたうち回る。

 やがて炎が収まると、プスプスと焼ける、モヒカン頭の丸焼きのいっちょ上がりで、パンツいっちょ片っぽ靴下着用の変態が無様な姿をさらす……。


 ま、魔力は抑えたからな。

 こいつら全員、やがて目を覚ますだろう。

 さて……どうしてやろうかな……!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...