魔王様はレベル1の勇者に恋をする! 〜ヤンデレ系こじらせ魔王は愛する勇者のレベルを上げさせない〜

愛善楽笑

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69話 魔王軍幹部会議 ①

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 次の目的地は【サンドリッチの街】

 冒険者ギルドでそう決めたユーナたちは、宿で一泊して翌日から【サンドリッチの街】を目指すという。

 私はもっとユーナのそばでゴロゴロにゃんにゃんとニャンコのままでいたかったのだが、そうもいかない。ぐずぐずしていたらユーナが旅だってしまう。

 その前にいろいろと手を打たねばならないのだ。ユーナを危ない目に遭わせるわけにはいかない。

 さっきからナデナデしてくれるユーナとしばしの別れを惜しむように「んみゃっ!」とひと鳴き、私は彼女の腕に顔をぐいーっ、と擦り付けてからカウンターから飛び降りた。

「あ、クロスケどっかいきよるん? もう少し遊びたいんやけどな」

「……んみゃ~」

 その声に反応した私は、ユーナを見上げてニャンコらしく気まぐれな感じを見せる。
 後ろ足で頭をカキカキ、ふわぁ~、とあくびをして、ユーナたちに背を向け歩き出す。

 最後まで完璧なニャンコ魔王。

 トコトコトコ! スタスタスタ……! と入ってきた入り口から外へ出た私は、人気のまったくない路地裏でニャンコの姿を解除して、瞬間移動で魔王城へと帰るのだった。


 ☆★


 さて、私は魔王城へ帰ってくると、すぐさま幹部会議を開くことにした。もちろん、魔王軍の皆に次の命令を下すためでもある。

 いつもなら独断と偏見で命令を下す私だが、今回は人間たちの街も関わってくる。

 部下の意見も聞いておきたいところだ、その上で次の行動に移りたいと思う。私は魔導水晶板を取り出し、魔法文字を打ち込むとノゾッキー、ビエル、ロリエラにDMを一斉送信する。

 そのメッセージはこうだ。

【四天王全員会議室へ集合。次の命令の内容についておまいらと話したい】

 すると、すぐさま三人から返信が来る。

【オッケー魔王様! 困りごとならセッシャにお任せ!】

【つぎのさくせんでちね! あたちとまおーちゃまのらぶらぶふーふだいさくせんかちら!】

【ふっ……! 二人きりじゃないのが納得しかねるけど、いいぜ……? maouttp……】

 …………。

 ……とりあえず、フランクだけど珍しくマジメな返信したノゾッキーにだけ私は【頼んだぞ】とメッセを返す。あとの二人は既読スルーだ。

 ロリエラ、何その作戦。誰得なのか知りたい。
 ビエル、もうお前が送ってくるリンクは踏まないからな……!

 なんなんだろう、ほんと。こいつら魔王軍の実質的な司令官としては実に優秀なのに……みんな変態。

 大事なことだからもう一度言わせてもらう。

 優秀だけど変態、変態なのだ。

 だって、盗撮と覗き大好きなバカと、男なのに私とどーにかなりたいアホと、私の股間を隙あらば狙うエッチい少女…………あとゴリラ。

 あ、ゴリラはもう四天王じゃなかったか。

 ちなみに余談だが、魔王軍の中からは『魔王様、そろそろエツィー様の代わりになる柱を選ばれたほうが?』という声も出始めていた。

 まぁそれは置いといて、私が四天王たちにDMを送ってからその後しばらくして──魔王城幹部会議室。

 円卓のテーブルを囲うのは私とノゾッキー、ビエル、ロリエラだ。

「魔王ちゃま、どうゆーことでちか?」

 ロリエラが耳をぴょこぴょこ、長いしっぽをふりふりしながら私に聞いてくる。

「ドラゴンたいじ、あーんど人間のまちをしょーあくする……ずいぶんとこーげきてきでちね? まおーちゃまのさくせんぽくないでちよ?」

「まぁ待てロリエラ。魔王様には俺たちには計り知れない……何か考えがあるのさ」

 その隣の席にいるビエルがロリエラに言う。

 そう、今までの魔王軍にとって、人間たちは天敵であり倒すべき存在。本来ならヤツらをコテンパンにすることが目的だ。

 しかしそれは私の美学に反する。

 憎しみ合って何か互いに得があるのか? そんなものは絶対にない。きっと我々も彼らも、いつか分かり合えると信じている。

 その時だった。

「オッケェエエエエエイ!」

 会議室にノゾッキーの声が響き渡る。

 珍しく私の意見にふざけずにいたノゾッキーは席から立ち上がると、私に向かって言う。

「つまり、今回の作戦の意図はこういうことでしょう? 民を苦しめるドラゴンと領主をギャフンと言わせるどころか、人間たちに『魔王様めっちゃイイヤツじゃん!』と思わせること!」

「ウム。ノゾッキーよ、今日は珍しく冴えてるじゃないか。褒めてつかわそう」

 そういやこいつ、ほんとは四天王の中でも頭いいのだ。私の言葉を瞬時に理解できるのは感心する。

 魔導水晶板の操作も慣れてるし、だてに〝ドヤッター〟のフォロワー数が10万魔族なワケではない。

 普段からこうなら私もこいつに魔法をぶっ放すことないんだがな……。
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