血の繋がりのない極道に囲まれた宝

安達

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調教される日々

逃亡 *

「庵。」

「………。」



亮が出ていき数秒が経ったあと瀧雄は庵の名を呼んだ。だが庵の返事はない。



「寝てんのか?」



そういい瀧雄は庵の顔を覗き込んだ。すると予想通り庵は寝てしまっていた。



「まぁあんだけ泣かせりゃ寝るか。」



瀧雄は亮から庵を任されたが寝てしまえば逃げる心配は無いと思い拘束具を全てとると庵をベットに寝かせた。そして寝室から出ていった。だがこの時庵は寝ていなかった。あの薬を入れられては寝れるものも寝れない。しかし瀧雄は忘れていたようだ。宏斗が来たことで…。庵には好都合。しかも拘束具も全て無くなった。逃げる絶好のチャンスだ。そこらじゅう痛む体を起こし服を着て庵は物音を立てないよう静かにドアへと近づいた。ドアの前までたどり着くとドアに耳を当てリビングにいる2人の声を聞いた。



「…早く出ていけよ。」



何やら揉めている声がする。しかも長くなりそうだ。せっかくのチャンスを無駄にしたくなかった庵は一か八かの賭けに出ることにする。失敗すればさっきの続きをされる。だが成功すれば自由だ。こんなヤクザたちに囲まれて生活する必要がなくなる。



「絶対逃げ切ってやる…。」



庵は1度深呼吸をして再びドアに耳を当てた。そして2人の声が少し遠ざかったその時を狙いドアを開けて玄関へと走り出した。だが庵はここで違和感を覚えた。その違和感と言うのが…。



「あ?庵か?おい瀧雄、寝てんじゃなかったのかよ。」

「はは、馬鹿なやつ。タイミングが悪すぎるだろ。」



亮も瀧雄も庵を追いかけてこなかったということ。追いかけるどころかそれを楽しそうに見ている。どうしてかは分からなかったがここで足を止めたくなかった庵は玄関へと走り続けた。そしてやっと着いた玄関。ドアノブを握り開けようとしたが…。



「くそっ…開けよっ、なんでだっ、開いてくれよ…っ!」



ドアは一向に開かなかった。これこそが2人が笑っていた理由。だが庵は諦めなかった。開かないのならば壊せばいい。全力で体当たりしたり蹴ったりした。だけどやっぱり開かなかった。そんな風に時間ロスをしてしまったことで後ろから亮達の足音が聞こえてきた。



「庵。さっきのじゃ足りなかったか?」



そう聞こえて庵が振り返ると楽しそうに笑いながらそう言ってくる亮の姿があった。その亮の隣には瀧雄がいる。



「今度は丸一日虐め倒してやろうか。」

「嫌に決まってんだろクソ野郎っ、早くここから出せよっ!」

「まだそんな口が聞けるか。声もガラガラなのによく叫べるな。」



あんだけいたぶられたというのに庵は諦めず逃げようとする。そんな庵に亮はますます惹かれていった。そんな口が聞けるのであれば聞けないようにすれば良い…と。



「うるせぇっ、いいからここを開けろよ…っ!!」

「もう1回ドアノブ握ってみろよ。そしたら開くかもしれねぇぞ。」

「…そんな挑発に騙されると思うなよ。」

「そう言うなって庵。亮の言うこと信じてやってみろ。」



信じるわけが無い。だけど少しでも可能性があるのならと庵は2人の言うことを聞くことにした。だがこの決断が後々庵を苦しめることになる。



「…嘘ついたら殴ってやる。」

「そんな泣きそうな顔して言われても唆るだけだぞ。」



からかわれるように亮にそう言われ庵はむしゃくしゃしてドアノブを握りドアを開けてしまった。



「え…開いた?」

「言ったろ?俺達は嘘つかねぇよ。」



逃がしてくれたのか?この2人が…?庵は色々考えることがあったが今は後だ。逃げなければ。庵は少しだけ開いたドアを前回まで開けようと腕に力を入れた。

しかしーーー。



「…な、なんでっ、」

「楽しそうだな庵。」



ドアの前には龍之介がいた。庵は部屋に戻り龍之介から逃げようとするも後ろには亮と瀧雄がいる。挟まれてしまった。もっと早く気づくべきだった。これが罠なんだって…。



「おいお前ら、躾出来てねぇじゃねぇかよ。亮。説明しろ。」

「それがこいつ意外と忍耐力凄いみたいで相当のことしたはずなんですけどまだ逃げる気力があったみたいです。」

「ほぅ…そうかそうか。なら生きてる事さえ辛くなる事をしてやらねぇとな。二度と逃げる気を起こさせないように。」
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