性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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10.出て行きたいんです!

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 ヴァトズフィウズ様は、もう一度部隊に入らないかと僕を誘ってくれたけど、僕はそれを断った。すると「また誘う」と言って、彼は去って行った。

 ヴァトズフィウズ様には悪いけど、僕には兼ねてから考えていたことがあったんだ。

 さっきも、ここで使い魔に襲撃されて、それにヴァトズフィウズ様を巻き込んでしまった。こんなこと、もうごめんだ。

 出て行こう……

 そう簡単には、ここを離れられないのは分かっている。だけど、ここを出て行かなきゃ、また今日みたいに、誰かを巻き込むかもしれない。それに、僕自身も、もうこれ以上ここでなぶりものになるなんて、嫌だ。

 ここを出るんだ。

 ここを出て、僕は僕の行きたいところに行くんだっっ……!!

 それがどこかはまだ決めていないけど、行きたいところに行って、やりたいようにやる! 好きなことをして、好きに生きてやる!!

 そう思ったら、急に力が湧いた。

 ずっと考えていたけど、なかなか実行に移せなかった。だけど、もうここにはいたくない!

 明日になったら、砦の主にそう話に行こう。

 ヴァトズフィウズ様にも……もう一度、挨拶に行こうかな……それと、お礼ももう一度言いたい。部隊の件も、断らないとな……







 昨日の決意から一夜明けて。

 僕は、砦を管理している方の部屋の前に立っていた。中にいるのは、王家からここの管理を任された貴族の男で、僕はほとんど会ったことがない。

 かなり緊張する……僕が普段、ここにくることなんて、ほとんどないからな。

 だけど、僕はもう、ここを出るって、決めたんだ!!

 思い切って、僕はその扉を開いた。すると、奥にいた男が僕に振り向いた。ここを管理している、グレヴロオル様だ。
 彼はここに僕が来て、ひどく驚いているようだった。

「フォルゲソス……どうした?」
「朝早くに申し訳ございません。でも、僕……お、話があるんです!!」
「話だと?」
「はい……僕、ここから出て行きたいんです!!」
「出て行く?」
「はい!!」

 答えながらも、内心、ひどくドキドキしていた。
 そんなに簡単に、ここを出ることはできない。魔物退治の方は、人手は十分足りているし、僕がいなくても問題はないだろう。ただ、雑用をする人が一人減るし、グレヴロオル様は、僕の一族に金を出している。いきなり僕が出て行くと言ったって、分かりました、なんて言ってくれるわけがない。

 すると案の定グレヴロオル様は、呆れたような顔をして言った。

「ふざけるな。城の雑用は誰がする? それに、お前の一族には随分金を払っているんだぞ」
「僕がここにいるのは、魔物を抑え込むためです! だ、だったら、魔物が減れば、僕、ここにいなくてもいいはずです!! 僕が魔物を減らします! それに、お金なら魔物退治の際に僕が手に入れた素材もお渡ししてきました!! それは僕の一族に払った金くらいの金額になるはずです! 手切金が必要なら出すし、素材がいるならお渡しします!! 僕はっ……」
「あー、うるさいな。分かった」

 あまりにもあっさり分かったと言われて、驚いて顔を上げた。

「え……?」
「朝からうるさい。お前なんかに魔物を減らすことなど、できるわけがないだろう」
「できるかもしれないじゃないですか!! 僕だって、ずっと魔物退治をしてきたんです!」
「あーー分かった分かった。できたらな。できたら……解放してやる。どうせお前一人いなくなったところで、こちらは痛くも痒くもない。争いの種がなくなって、せいせいする」
「本当ですね? じゃあ、魔物を減らして金を渡したら、僕はここを出て行きますから!」

 それから、ここを出て行くための計画を話し合い、いくつか強力な魔物を倒したら、僕は解放されることになった。このくらいなら、やれそうだ!!

「ありがとうございます…………これならすぐにやれそうです!!」
「ふん……お前なんかにそんなこと、できるものかっ……! 部隊もなしに、そんな強力な魔物が退治できるはずがない!」
「え…………」

 部隊って聞いて、昨日ヴァトズフィウズ様に誘われたことを思い出した。

 ヴァトズフィウズ様…………まだ、僕のこと、誘う気でいてくれているのかな? ……そんなわけないよな。

 だって、僕じゃなくても、強力な魔法使いならいるし、ヴァトズフィウズ様だったら、そう言う魔法使いを探せるはずだ! うん!! もう僕のことなんか、忘れてるよな!!

 僕がフォルゲソスに何もしてないってことは、一族に報告してくれないと困るんだけど……

 そう思っていたら、突然隣から声がした。

「部隊の編成……ちょうどいい。俺と部隊を組もう」
「わっっ…………!!」

 びっくりした……いつのまにか、隣にヴァトズフィウズ様が立っている。しかも、さっきからずっとそこにいたかのように、平然と。

 何っ……!? この人、何をしにきたの!!?? それに、いつ入ってきたの!? 神出鬼没すぎるだろ!!
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