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11.なんか、怖い……とは、口が裂けても言えない!
しおりを挟む突然現れたヴァトズフィウズ様は、昨日のフードをまた被っていて、怖いくらい僕にニコニコして言った。
「部隊を組む話だろう? 俺と組もう」
「……え、えっと…………な、なんでここに……いつ入ってきたんですか?」
「今だ」
「でも……全然気づきませんでした」
「だろうな。魔法で気配を消して近づいたからな。俺はこの魔法で気づかれたことは一度もない」
……笑顔でそう言っているけど……だからって、なんで勝手に部屋に入って僕のすぐそばに立つんだ?
「なんで、そんなことを…………」
「そっと近づかないと捕まえられない…………いや、話せないような気がしたんだ。昨日何度も逃げられたからな」
「…………」
捕まえられないっていう方が、本心な気がする……
話すだけなら、僕だって逃げたりしない。昨日は確かに逃げたけど、それは、誤解が解けていなくて、僕は敵だと思われていると思っていたからだ。
「…………えっと……なぜ僕がここにいるのが分かったのですか?」
「なんとなく、リュイウェリレクがここにいるような気がした」
「…………」
僕がここに来ることなんて、ほとんどないのに……それに、昨日会ったばかりで、しかも少し話しただけなのに。
それに昨日から、突然現れすぎている。僕の部屋にも鍵を開けていつのまにか背後に立っていたし、今も、一応砦の主の部屋なのに、勝手に入ってきている。
グレヴロオル様もびっくりして目を丸くしているじゃないか。
偶然見つけたってことはあるかもしれないけど、それにしても、背後にこっそり立って、話を盗み聞きしなくても良くないか?
僕がいつだってなんでも疑っちゃうだけかもしれないけど……
……なんだろう。昨日もそうだったけど、なんとなく危ない気がする。
昨日だって助けてもらったくせに、随分失礼なことを考えてしまっていることは、分かっている。
だけど……や、やっぱり、なんだかちょっと怖い!!
そしてそのせいか、つい後退り。
すると、ヴァトズフィウズ様も僕に近づいてくる。しかも、こうなる僕が心底不思議だと言わんばかりの表情で。
「リュイウェリレク? どうした?」
「え!? えっと…………」
なんか、怖い。
……とは、口が裂けても言えない。
「だ、大丈夫です……僕、部隊なくても魔物退治、できるので……」
「だが、部隊はあった方がいいだろう? その方が、生きて帰ってくることができる確率も上がる」
「そうですけど…………」
「それに、これからかなり強力な魔物退治に行くようだ。だったら部隊があった方がいいだろう?」
「…………」
確かに、ヴァトズフィウズ様の言うとおりだ。
こんな風に思うことが多いのに、なんで素直に僕は頷けないんだろう。
それに、なんだかどんどん迫ってきて、迫られるたびに、一歩一歩、僕も後ろに下がって行く。
昨日からずーーーーっと感じていたことだけど、なぜかヴァトズフィウズ様の前に立つと、警戒心が増す。
助けてもらったし、結局あの後ヴァトズフィウズ様が食べておけって言って置いていってくれたパンや果物、ミルクや肉や野菜も全部食べたけど、毒も入ってなければ、魔法もかかっていなかった。本当に、僕に食べさせるためだけに用意してくれたんだ。そのことに関しては、本当に感謝している。彼のおかげで、フォルゲソスたちからも逃げられたし。
それなのに、なんでこんなに警戒してしまうんだ……
「え、えーーっと……ヴァトズフィウズ様。僕、ほ、本当に一人で大丈夫です。一人でずっと魔物退治もしてきたし、全部一人でやる方法くらい、心得ています」
「そうか。俺は、リュイウェリレクがいないと嫌だ。一緒に行こう」
「……」
そう言うこと言ってるんじゃない。
だけどそれを聞いていたグレヴロオル様が、ヴァトズフィウズに言った。
「ヴァトズフィウズ殿……困ります。そのようなことをされては……その男は、一人で魔物退治に行くと言っているのです。だったら一人で行かせて、思い知らせた方が……」
まだ、グレヴロオル様の話は終わっていないのに、ヴァトズフィウズ様の魔法が、グレヴロオル様の頭のすぐそばを掠めて、彼の背後の壁に着弾する。
音もしなかったけど……今の、当たってたら死んでたんじゃ……
全く動けなくなっているグレヴロオル様に、ヴァトズフィウズ様が冷酷に言う。
「黙れ。今は俺が、リュイウェリレクと話しているんだ」
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