性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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16.これでも我慢していた

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 ヴァトズフィウズ様は、フードを下ろした。それと同時に、着ていたローブも、黒い装備に変わっていく。さっきより、少し動きやすくしたようなもので、攻撃されるのかと思ったけど、彼は、何もしなかった。下ろしていた長い黒髪も、魔法なのか、勝手に黒いリボンで結ばれていく。だけど、結び方が下手なのか、全く結べていない髪もあって、かなりバラバラ。単に、髪が落ちてこないようにしただけって感じだ。

「確かに……見ていた。これでも我慢したんだ。本当は、直接見たかったんだぞ? あんな強力な魔法が使えるなんてな…………一族の面倒な依頼も……聞いてやる価値はあったな……」

 そう言って、彼は楽しそうに笑い出す。

「だが、まさかこんなに警戒心が強いとは…………一族の情報以上だ」
「……それはどういうことですか? 僕に何の用ですか?」
「言っただろう? 俺は、魔法に興味がある。一族からも、魔法を調査するように言われてきた」
「僕のですか? じゃあ、フォルゲソスのことは??」
「あれもだ。想像の通りだった。あれはここの実権を握る気でいたようだが…………すぐに結論が出た。あれは、当主の器ではない」

 さも当然のように言うヴァトズフィウズ様。

 僕もそう思うけど……

「じゃあ……本当に、僕の魔法を調べるために来たんですか?」
「ああ、そうだ」

 答えるヴァトズフィウズ様は、嘘をついているようには見えない。

 そのために、使い魔を使って僕を見張らせていたって言うのか?

 まだ半信半疑な僕に、ヴァトズフィウズ様は近づいてくる。

「一族から言われたのは、激しい爆破の魔法を使う奴がいるから、調べてこい、それだけだ」
「…………」
「一族から言われたのはな」
「…………え?」

 顔を上げたら、ヴァトズフィウズ様は、すぐそばまで迫っていた。

 そして、僕に向かってニヤリと笑う。

「俺自身も、リュイウェリレクの魔法が欲しくなった」
「へっ…………?」
「激しい爆破の魔法を使う奴がいると聞いていたんだ……一度は会ってみたくなるだろう?」
「…………」

 そうかな? 僕が同じことを聞いても、別に会いたいとは思わないけど……

 だけど、ヴァトズフィウズ様は楽しそうに近づいてきて、もう、僕のすぐそばまで来ていた。

「昨日リュイウェリレクがあの部屋で使い魔を破壊した魔法……平然と使っていたが、俺の結界に包まれていてあの威力……あんなものは、なかなか見れない」
「……え、えっと…………魔法だけなら何度でもお見せしますが……あ!! 魔法の調査にも、もちろん協力します! お世話になったし……そしたら部隊の件は諦めてくれますか?」
「嫌だ」
「な……なんで…………」

 だって、魔法の調査に来たなら、僕が部隊に入る必要はないんじゃないか?

 そう思うのに、ヴァトズフィウズ様は、ずいっと僕に迫ってくる。
 つい、後ろに下がろうとしたら、手を握られた。

「俺は……リュイウェリレクと部隊を組みたい……」
「なんで…………僕なんですか?」

 たずねると、僕の手が、一層強く握られた。

「この魔法が、欲しくなった。それに……リュイウェリレクのこともだ」
「……? 僕?」
「一緒に魔法で戦いたい。昨日二人で使い魔と戦ったとき、そう思った。絶対に……捕まえておきたいと」
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