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20.それは禁止です!
しおりを挟む「それより、あれじゃないか? 倒す予定の魔物」
そう言ってヴァトズフィウズ様は、フォルゲソスたちを追ってきた魔物を指差している。
え……? そうだったかな?
リストを見て確認してみる。
あ……本当だ!! あの魔物も、リストに入ってる!!
そんなことをしていたら、フォルゲソスが悲鳴みたいな声を上げる。
「な、何をしているんだ!! 早くあれを倒せっ……!!」
「……そんなに怖いなら、こんなところに入ってこないでください。あの魔物に手を出そうとしたんですか?」
「うるさい!! なんでこんなところにあんなものがいるんだ!!」
「…………」
……知らなくてきたのか……
なんで知らないんだ? 森には魔物退治のために入っているし、危険な魔物がいる場所も、その都度確認するはずなのに。
さては迷ったな……
僕ら砦の魔法使いは、ずっと砦と森を行ったり来たりしている。だけど魔物が多い森の中で魔物退治をしていると方向を見失うことがたまにある。普段は方向を示してくれる魔法を使って魔物を探すけど、多くの魔物に襲われると退治の方に夢中になって、なんとか倒した後には魔力が尽き、自分がどこまで来たのか分からないって、たまにあるんだ。
でも……フォルゲソスも一緒にいる奴らも、魔物と戦った後には見えないな……
じゃあ一体、何してたんだよ……
早く魔物を退治しに行きたいし、正直言って、放っておきたい……だけど、そんなことしたら、またフォルゲソス様がグレヴロオル様に泣きついて面倒臭いことになりそう。
庇いながら戦うと馬鹿にしてるのかってうるさいだろうし、眠りの魔法をかけて魔物を退治したら砦まで運ぶか? だけどそれだと魔物に彼らが襲われそうだし、一旦連れ帰るか……どっちにしろ、面倒臭い。
悩んでいると、ヴァトズフィウズ様が僕の隣に並んで言った。
「ここは俺が何とかする」
「えっ……?」
「好きに倒してこい。だいぶ慣れてきたようだし、後方支援は任せろ」
「い、いいんですか? そんな……侯爵家の方に、僕のサポートをさせるような真似をして……」
「侯爵家の方じゃない。部隊の仲間だ」
「……」
違うって言ってるのに……
だけど、ヴァトズフィウズ様が背後を任されてくれるなら、ありがたい。フォルゲソスとヴァトズフィウズ様を置いて行くことになるけど、フォルゲソスも、ヴァトズフィウズ様に手を出すことはしないだろう。フォルゲソスは自分より力のある人には、絶対に手をあげないから。
「あ、ありがとうございます!! すぐに戻ります! 何かあれば、使い魔で知らせてください!!」
「ああ。もちろんだ。使い魔なら、すでにリュイウェリレクにつけている」
「………………え?」
突然の告白に、慌てて辺りをキョロキョロしたら、そばを飛んでいたものが羽ばたき、少し大きくなった。小さな竜のようなそれは、確かに使い魔だ。小さくしてあった上に、透明なガラスみたいな姿をしているから、気づけなかったんだ。
僕は、一気に引っ張り出した魔力を使って体を強化して、その使い魔を捕まえた。
「ヴァトズフィウズ様!! これ、やめてください!! 監視は禁止です!!」
「何を言ってるんだ? リュイウェリレクが使い魔で連絡を取ることを提案した今作ったんだぞ?」
ヴァトズフィウズ様は、当たり前だろ? みたいな風に話すけど、本当か!? 何だか、やけに楽しそうだし、僕と目を合わせようとしないし……
「や、約束ですよ!! もう使い魔を使っての監視は禁止です!」
「そうか……残念だが……」
何が残念なんだよ! 何が!! 高名な侯爵家がわざわざ使い魔作って僕を監視って、何してるんだ!!
「リュイウェリレクがそう言うなら、仕方ない。分かった。使い魔は、連絡用だ」
そう言って、ヴァトズフィウズ様は僕に使い魔を摘んで差し出した。彼がそれに魔法をかけると、それは光を失っていく。
「魔力を込めてみろ。俺とリュイウェリレクの思い通りに動くようになる」
「は、はい!」
魔力を込めると、それは僕の周りを飛び回り始めた。
「それで、俺とリュイウェリレク、二人の思い通りに動くようになった。その上、使い魔が何をしているか、リュイウェリレクにも分かる。それで安心だろう?」
「…………安心ではありませんが……分かりました。か、監視は禁止ですからね!!」
釘を刺した僕は剣を握り、魔物に向かって行った。
背後から、ヴァトズフィウズ様の魔法が飛んでくる。それが、体に力を与えてくれる。強化の魔法だ。
やっぱり……この強化の魔法はすごい……魔力までこんなに強化できるなんて。こんな力、僕の強化の魔法では出せない。
一族に受け継がれてきた魔法って聞いたけど、やっぱり聞いてみたくなりそう。
体が思い通りに動く。いつもより魔力が溢れて、巨大な魔力の剣で、魔物が放つ弾を斬り払い、魔物に駆け寄った。
溢れた魔力で空を飛ぶように飛び上がれて、剣を振れる。剣に込められるだけの魔力を込めて、僕は魔物の中心を一刀両断にした。
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