性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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21.なんでまだ、そう思えるんですか?

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 半分に割れた魔物は、それを構成する魔力が暴走したのか、破裂するように魔力の弾を飛ばす。その一つ一つが暴れるように動き出して、僕は、慌てて結界を張った。

 しまったっ……! 破壊の仕方が甘かったんだ!!

 それは、ヴァトズフィウズ様の方にも飛んでいく。だけど彼は、恐ろしいほど圧倒的な魔力を込めた魔法の弾で、それらを全部撃ち落としてくれた。

 急いで空からヴァトズフィウズ様たちがいる方に降りていく僕。

 彼らがいる方は結界で守られている。ヴァトズフィウズ様は無事みたいだけど……

 彼をそんな目に合わせてしまった申し訳なさで、胸が苦しいくらいだ。魔物を倒すはずの僕がちゃんとできていなかったから、彼を危険な目に遭わせてしまったんだ……

「ヴァトズフィウズ様!! も、申し訳ございません!!」
「申し訳ない?」

 ヴァトズフィウズ様はそう言って、首を傾げている。

「何がだ?」
「な、何がって…………だって、僕がちゃんと魔物を倒せてなかったから、こっちに魔物が…………もっと強力な魔法で、一度に破壊するべきでした」
「そうしなかったのは、俺と動けないフォルゲソスがいるから、それを庇ったんだろう?」
「…………え? は、はい……」

 気づいていたのか……

 でも、だからと言って、僕の判断ミスで彼らを危険な目に合わせてしまったことには変わりないのに。

「俺も無事、こいつらも無事だ! そもそも二人で戦っているんだ。支援しあって当然だ! 俺は助かったぞ、リュイウェリレク!」
「ヴァトズフィウズ様……」
「リュイウェリレクの素晴らしい魔法も見せてもらえたしな!!」
「…………」

 ヴァトズフィウズ様……嬉しそう……そんなに大したことはしてないんだけど……
 僕の魔法より、侯爵家の方が危険な目にあったことの方が、問題だと思うのだが。

 それなのに、ヴァトズフィウズ様は急に顔を近づけてきて言う。

「俺たちは息があっていると思う! 部隊に入らないか?」
「入りません……」

 いつもみたいな返事をしても、ヴァトズフィウズ様は気を悪くした様子もなく、「ダメか……また別の方法を考えるか……」なんて言っている。

 ヴァトズフィウズ様は僕の責任を追求したりはしないけど……

 なんでまだ、僕に部隊に入ってほしいと思うんだろう……だって、僕が何かするといつもろくなことにならない。

 僕はずっと、誰にとってもクズ野郎だったし、これからそうでなくなる気もしない。

 早い話……怖いんだろうな……またあの時と同じ目に会うのが。こんな時にまで、婚約者と自分の一族に、クズが! なんて怒鳴られたことばかり思い出しちゃうんだから。

 だけどそんなことはヴァトズフィウズ様には関係ないし、家を追い出されてフォルゲソスには奴隷扱いされている僕なんかに、ここまで頑なに断られたら、もう僕のもとから去っていきそうなのに。

 ヴァトズフィウズ様は「いい魔法が見れたからよしとするか!」と言って僕に微笑んでいた。

 ヴァトズフィウズ様が喜んでくれるのは、ちょっと嬉しい。だったらもう少し魔法を使ったほうがいいのかなって思うけど、そんなに大した魔法は使えないし、それで失望されたらと思うと……

 戸惑っていたら、そばでへたり込んだままのフォルゲソスが喚き出した。

「おいっ……!! 貴様っ……!! ど、どういうつもりだっ……!」

 フォルゲソスも無事みたいだな……怖くて動けないだけで……

 だけど、いきなり怒鳴られても困る。

「どうって……そんなこと言われても困ります」
「何が困るだ!! 貴様っ……よくもそんなことが言えたな!!」
「えーっと……なんのことですか?」

 訳がわからなくて聞くと、フォルゲソスはますます耳が痛くなりそうな声で怒鳴る。

「ふ、ふざけるな!! すべてお前のせいだっっ!! お前が生意気を言うから、こんなことになったんだ!!」
「僕が? どういうことですか?」
「お、お前が勝手に魔物退治に向かうからだ!! 俺を殴ったゲスの分際で!! 俺より手柄を立てようと言うのか!!」
「…………手柄って…………まさかそれで僕のこと追いかけてきたんですか?」
「当然だ!! 貴様には到底無理な魔物退治を言いつけられているんだ!! さっさと諦めればいいものを、一人で森に入るなど生意気な! 手柄を立てて、あの砦の主の座を狙おうと言うのか! 図々しい!! あの砦の覇権を握るのは俺だ!」
「覇権はいらないので帰ってください」

 キッパリと言うと、フォルゲソスは驚いたのか、ポカンとしていた。
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