性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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23.連れて行ってください!

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「あの…………フォルゲソスたち、大丈夫なんですよね?」

 そう聞いて僕が首を傾げると、ヴァトズフィウズ様は、もちろんだ! って言ってくれた。

 だけど……

 フォルゲソス様が背後に歩かせている、巨大な使い魔の竜の背中に乗せたフォルゲソスたちは、ずっとぐったりしていて動かない。眠りの魔法をかけられただけの人もいるけど、フォルゲソスはヴァトズフィウズ様の魔法を受けてから、もがき苦しみ出して倒れたまま。
 ヴァトズフィウズ様と初めて会った時、キャマバラーデが倒れたこともあるし、だんだん不安になってくるんだが……

 だけど、ヴァトズフィウズ様は「もちろんだ!」としか答えない。

 生きてはいるみたいだし……殺してないって言ってたから…………とりあえず、砦に運ぶか。

「あの……本当に、大丈夫なんですよね?」
「ああ。もちろんだ。リュイウェリレクの前だからな」
「…………」

 僕の前じゃなかったらするわけじゃないよな……







 フォルゲソスたちは砦に運んで、一応回復してから、彼の部屋に放り込んだ。
 その日の魔物退治は順調に終わり、グレヴロオル様に今日の報告をすると、驚いていたけど、特に咎められることはなかった。フォルゲソスのことで何か言われるかと思っていたのに……

 それから自分の部屋に戻った僕は、明日の準備を始めることにした。

 外で泊まるのに必要なものを用意して、明日からは、森で野宿できるようにしよう。森の中は危険だけど、その方が、早くグレヴロオル様に言い付けられたことをこなせるんだから。

 そう思って準備を始めたけど、なぜかヴァトズフィウズ様まで部屋についてきた。こんなところ、ヴァトズフィウズ様が来るような場所じゃないような気がするんだけど……

 本人にはそう伝えたけど、やっぱり彼は聞いてくれない。そして、僕を諦めてもくれない。

「なあ。部隊に入らないか?」
「…………」

 もしかして、ずっと諦めてくれないつもりだったら、どうしよう……僕、本当に部隊に入る気はないのに。

「あの……ご自分のお部屋に帰らなくていいんですか?」
「俺はリュイウェリレクといたい。リュイウェリレクこそ、さっきから何をしているんだ?」
「外で眠る準備です。明日からは、森で寝ようと思って……」
「魔物が出て危険なんじゃないのか?」
「結界を張って、夜は魔物が来ないように見張ります。今日は随分魔物退治ができたし、早く言われたことをこなしたいんです」
「………………だったら、街へ行ってみないか?」
「へ??」
「少し飛べば街があるだろう? そこで装備を整えた方がいい。それに、リストにあった集める素材だが、それなら、街の方から森に入った方が早くて安全にそれがある場所に辿り着けるぞ」
「でも……僕、お金を持っていません。街になんか行っても……」
「今日魔物を退治して手に入れた素材を売れば、これからの旅費にもなる。それだけあれば、食事も宿も取れるだろう」
「……」

 そうか…………

 そんなこと、考えたこともなかった……

 いつもは手に入れた素材は部隊のものだけど、今日は僕の手元にある。これがあれば……もうここを出ていけるのかもしれない。

 ここを出るって言ったけど、僕……これからどこに行こうとか、何をしようとか、まだ具体的に決まっていない。

「でも……僕…………街を歩いたこと、ありません」
「全くないのか?」
「全くってことはありません。と、通ったことはあります……」
「通った……そうか………………だったら、一緒に行こう」
「へ!?」
「このそばの街は、多少魔物が現れたりもするが、賑やかで多くの珍しい商品が並ぶ、何度行っても飽きない街だ。一緒に行くなら、案内もできる。食事もうまいぞ? あのあたりでしか取れない食材を使っているから、それを目当てに街を訪れる観光客も多いんだ。この先、ここを出てからのことを考えるための資料も手に入るはずだ」

 そんなの聞いたら……俄然行きたくなってくる!! 僕が見たことも聞いたこともないものが、いっぱいあるんだろう。

 楽しそう……

 でも、いいのかな……

 また少し緊張していた。

 だって僕、ろくに街なんて歩いたことない。用事を言いつけられて歩いたことはあるけど、あの時は早く帰らなきゃ殴られるから、周りになんて構ってる暇がなかった。
 恥晒しって言われていた僕は、一族の屋敷にいる時はあの屋敷に、砦に来てからはずっと砦と森の行き来だけしかしていなかった。それが……街に行く??

 少し怖いけど……

「わ、分かりました!! つ、連れて行ってください!」
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