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25.だったら
しおりを挟む「大きな街ですね……こんなところを歩いたのは、初めてです。あ、あのっ……! あれは!?? あ、あれ!! なんですか?」
僕が、いくつもの建物が並んでいる屋根の向こうに少し見えた建物を指差して言うと、ヴァトズフィウズ様は、微笑んで答えた。
「あれは、冒険者ギルドだ。登録していくか? 森へ行くなら、グレヴロオルに指定された魔物退治と一緒に、ギルドで依頼された魔物も倒せば、それで報酬をもらうこともできるぞ」
「……登録…………」
そんなことができるんだ…………
冒険者か…………少し緊張するけど……夢のスローライフのためには、お金だって必要だ。お金が貯まったらまずはっ…………装備を新しくしたいな……もっと効率よく、魔物退治ができるように。
これからのことを考えていたら、ますます楽しくなる。
ヴァトズフィウズ様は、続けて言う。
「少し行けば、素材を売る店もある。装備や魔法の道具もあるから、見ていくといい」
「あ、ありがとう……ございます…………!!
答えたら、ヴァトズフィウズ様はにっこり笑って先に歩いていく。
……なんだか僕……すっかり案内されちゃってるけど、いいのかな?
ずっと珍しいものばかりで、楽しくてキョロキョロしながら歩く僕と違って、ヴァトズフィウズ様は、ここに来たことがあるんだ。彼は、あれだけ魔物退治をした後で、僕の案内までしてくれている。
それに、ヴァトズフィウズ様だって、これだけ歩いて疲れたんじゃ…………それなのに、こんなふうに連れ回したりして、いいのか?
彼も僕も、森の中であれだけ戦った後。明日も魔物退治に行くなら、武器や装備の手入れだって必要。彼は平気そうにしているけど、早く休んだほうがいいはずだ……
考え込んでいたら、ヴァトズフィウズ様は、こちらに振り向いた。
「リュイウェリレク? どうした?」
「あ、えっと…………」
「もう少し行ったら、珍しい魔法の道具を売る店がある。取り扱っているのは、そこくらいでしかお目にかかれないものばかりだ。寄っていくか?」
「………………いいえ……あ、あの……っ! き、今日はもう遅いし、素材を売る店だけにします……」
「…………いいのか?」
「はい!!」
「……俺に気を使わなくていいぞ」
「えっっ!?」
見透かされた気がして、驚いて顔を上げた。
すると、ヴァトズフィウズ様は僕に振り向いて微笑む。
「やっぱりか……俺に気を使わなくていい。本当は、あちこち見て回りたいんじゃないのか?」
「それは…………そうですけど……でも、今日一日これだけ助けていただいたんです! いつまでも僕に付き合わせるわけにはいきません。ご迷惑……でしょうし……」
「全く迷惑じゃないぞ」
「……」
「リュイウェリレクが俺といて楽しそうにしてるんだ。どうだ? 俺たちはまた一歩、部隊に近づいたと思わないか?」
言って、ヴァトズフィウズ様は僕に振り向いて、少し得意げに笑う。
僕を部隊に入れるため…………? そんな風に言うけど、本当は違うんだろう。僕のことを気遣ってここに連れて来てくれたんだ。
「……部隊ではないです…………」
そう言いながら、僕は首を横に振った。
「……今日はヴァトズフィウズ様だって、たくさん戦った後です。あの……あ、ありがとうございました。やっぱり、素材を売り終わったら宿へ向かいましょう! 早く休まないと、魔力だって回復しません!! あ……明日も……僕はヴァトズフィウズ様と魔物退治に行きたいんです!」
「…………」
答えたら、彼は少し黙り込んでいた。じっと僕を見つめていたかと思えば、突然肩を抱いてくる。
「へっ……!? あのっ……ちょっ…………!」
強く抱き寄せられて、急に他人との距離が近くなって、僕はびっくり。
だけど驚く僕には構わずに、ヴァトズフィウズ様は僕を引き寄せて上機嫌。
「そうだなっ……! 明日も一緒に行くぞ!」
「あ、あのっ……でも! 肩……」
「いいじゃないか。部隊なんだし」
「ぶ、部隊じゃないって言ってるのに……それに、魔物退治の部隊って、肩を抱いて歩かないような気がします……」
「だったら相棒だ。行くぞ!」
「あ、あのっ……ま、まってっ…………」
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