性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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29.俺も行くぞ!

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 危険な魔物退治には一人で行かないようにと念を押され、僕は恐る恐る頷いた。

「は、はい…………わ、分かりました」

 そう僕が答えると、ヴァトズフィウズ様はにっこり笑った。

「あ、ありがとうございます…………」

 心配……されてるんだよな。

 だったら「ありがとうございます」じゃない。「僕は大丈夫です」って言わなきゃ。だって、ヴァトズフィウズ様を危険な目に遭わせるわけにはいかないんだから。それなのに……僕だって一緒に行きたいって思ってしまう。

 すると、ヴァトズフィウズ様は嬉しそうだ。

「分かればいい。俺とリュイウェリレクは相棒なんだからな!!」
「……はい」

 相棒か……
 これからこんな風に、二人で魔物退治をすることが増えるのかな……

 そうだ。お礼!! お礼、渡さなきゃ!!

 そう思って、持ってきたお礼のドーナツを差し出そうとしたら、背後で大きな音がした。

 何かと思って振り向けば、窓の外の森に近い方で激しい魔力の光が見えた。

 魔法使い同士の喧嘩か? それとも、もしかして、魔物!??

 ……魔物の可能性が高いな……さっきの光は、魔物が暴れて魔力が漏れ、暴走する時のものだ。放っておくと、爆発する可能性もある。あのままじゃ危険だ。

 街には、街の厄介ごとを解決するための警備隊がいる。街に現れた魔物を退治するのも彼らの役目だ。とは言え、放っておくことはできない。だってあの辺りに魔物が出たのなら、森から流れてきた可能性がある。昨日素材を買ってくれた人の、魔物が増えてるって話も気になっていたし……街やこの周辺のことをよく知っている警備隊とは、できれば情報を共有しておきたい。

「す、すみませんっ……ヴァトズフィウズ様!! 僕っ……見てきます!!」
「俺も行こう」
「え?」
「行くぞ!」

 ヴァトズフィウズ様は、魔法で空を飛んで、窓から出ていく。そして、僕に手を伸ばしてくれた。

「で、でもっ……危険です!」
「何を言っているんだ。部隊だろう!」

 そう言って、彼は僕の手を引くと、窓から飛び出していった。

 部隊じゃないけど……それでも、こうしていると、ひどく心強く感じた。

 街の上空を飛んで行くと、すぐに敵が見えてきた。
 街の通りで暴れていたのは、見上げるほど大きな虫のような姿をしたもの。やっぱり、魔物か!?

 けれどそれは、僕らがたどり着く前に倒されたらしく、崩れて消えていった。

 魔物がいた辺りに降りると、警備隊の制服を着た数人が立っている。

「あ、あのっ……!!」

 声をかけながら近づくと、彼らが一斉に振り向いた。少し、腰がひけてしまいそうだけど……それでも近づこうとすると、制服を着た一人が僕に向かって叫んだ。

「冒険者は下がって!! これは警備隊の仕事だから!! 素材目当てならあっちへ行きな!!」
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