性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

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30.任せてください!!

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 警備隊の人に、少し強めに言われたら、簡単に腰がひける僕。

 な、なんだか、威嚇されているような気がして怖い……なんでそんなに怒ってるんだ?

 魔物が出たのであろう通りには、警備隊の面々が立っている。みんな、怖い顔をして僕の方を睨んでいるように見えた。見知らぬ男が急に近づいて来たから、冒険者か何かのように見えてしまったんだろう。

 だけど、僕は冒険者じゃないし、引き下がるつもりもない。
 だって、そんなことをしていたら、魔物の情報を集めることができない。魔物に関する情報がないと、森を守る砦の魔法使いたちの方でも対応できない。

「あ、あのっ……僕、冒険者じゃありません! 砦の魔法使いなんです!」

 答えると、警備隊のみんなが僕を見る目が険しくなる。
 なんなんだ……なんだか、嫌な雰囲気だ……

「砦の魔法使い? そんなもんがなんの用だ!!!!」

 迫って来たのは、大柄な男の人。僕よりずっと背が高くて体も大きくて、なんだかすごい威圧感だ。警備隊の紋章のあるマントを着ているし、多分彼が隊長だろう。

 突然敵意を向けられて腰が引けそうだけど……

 僕は、その男を見上げた。

「あ、あのっ……」

 声をかけようとした僕だけど、急に手を引かれた。見上げれば、僕の手を握ったヴァトズフィウズ様が、僕に微笑んでいる。

 こんな時なのに、ヴァトズフィウズ様は余裕があるな……なんだか羨ましい。だけど、その顔を見たら、僕も落ち着いた。

 隊長らしき男が、僕を怒鳴りつける。

「おい!! 聞いているのか? 砦の魔法使いが警備隊に何の用だと聞いているんだ!」
「あ、あのっ……魔物が現れたんですよね? もしかしたら、森の方から流れて来たのかもしれないし……詳しいことを教えてくれませんか?」
「黙れっっ……!! 砦はこっちに関与しない約束だろう!! この街を守っているのは、俺たちだ!! ここで勝手な真似はさせないぞ…………」

 どうやら相手は、僕らがここにいることが相当気に入らないらしい。僕らの方に凄んでくる。

 こんな風にされるのは、フォルゲソスで慣れているけど……だけど、やっぱり怖いものは怖い。

 だけど、なんでこんなに怒ってるんだ? 砦の魔法使いだからって、目の敵にされるいわれはないけど……

 少し尻込んでいたら、ヴァトズフィウズ様が僕の前に出た。

「落ち着け……勝手なことをしたいとは言っていない」
「なんだお前は…………? お前も、砦の魔法使いか!!」

 怒鳴る隊長に、ヴァトズフィウズ様は冷静な様子で答える。

「ああ。そうだ。昨日からな」
「……昨日だと?」
「ああ。新入りだ」

 肩をすくめて飄々と言うヴァトズフィウズ様にカッとなったのか、隊長らしき男は、ヴァトズフィウズ様に迫っていく。

「入ったばかりの奴は失せろっ……! 新入りに、ここの掟が分かるのか?」
「や、やめてくださいっ……!!」

 僕は、ヴァトズフィウズ様と隊長の間に押し入った。

 ここに行くって言ったのは僕。ヴァトズフィウズ様が砦の魔法使いだっていうなら、僕も砦の魔法使い。彼ばかりを矢面に立たせるなんて、できない。

 だけど、ヴァトズフィウズ様は僕に小声で言った。

「下がってていいぞ? 俺が話をつける」
「で、でもっ……僕だって、砦の魔法使いです!! それに、ここに飛んできたのは僕だし…………さ、さっき言ったじゃないですか。新人だって……僕に任せてください!!」

 昨日のお礼だって、まだなんだ。魔物の情報も欲しいし、ここは僕に任せて欲しい!

 自分では、強気な様な顔をしたつもりだ。

 だけどそれを見たヴァトズフィウズ様は少し驚いたような顔をしていた。そして、僕から顔を背けてしまう。

 なんでっ……!? やっぱり僕、そんなに頼りにならないのか!? ……ならないな……

「ヴァトズフィウズ様……? あ、あの…………ほ、本当に、僕に任せてもらって……」
「ああ。そうする。だが、危なくなったら俺が出るからな」
「……はい!」

 任せてもらえたのは嬉しいのに、やっぱりだいぶ心配されている様な気がする。

 昨日は色々お世話になったし……僕だって、ヴァトズフィウズ様のこと、守りたいのに。

 僕は、隊長に振り向いた。

「あの……彼には、あなた方の邪魔をする気なんかありません。僕もです! こ、ここはあなた方の管轄だと言うなら、森は、僕らの管轄です!! な、何があったのか、教えてくれませんか? 魔物が森から来ているなら、僕らも力になれるかもしれません!」
「黙れっ!! 喧嘩を売っているのか?!」

 そう怒鳴って、隊長が僕に掴みかかってこようとする。

 なんでいきなりそうなるんだ!?

 僕が驚いていたら、その手をヴァトズフィウズ様が掴んで止めた。

「手を出すなら、こっちも黙っていないぞ」
「ちっ……! 黙ってろ! 新人!!」

 苛立つ隊長は、ヴァトズフィウズ様の手を振り払った。

「偉そうなことを言う前に、そっちはそっちの魔物をなんとかしろ!!」
「こっちの? 森のか?」
「他にどこがあると言うんだ!!」

 ……め、めちゃくちゃカッとなってる……

 そんなことをしていたら、通りの奥の方から、隊長を呼ぶ声がした。

「隊長!!!! こっち来てください!! 魔物の破片があります!!」
「今行く!!」

 答えた隊長は僕らに振り向くと「これから、魔物の出どころを調査するんだならな! 邪魔をするなよ!! 砦の魔法使い!!」と怒鳴って去っていった。
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