性悪な期待はずれは悪党として死ぬよう言われたたけど、嫌です! 最悪な役回りをやめた僕は好きに行きたい場所を探すんだから抱き寄せないでください

迷路を跳ぶ狐

文字の大きさ
34 / 61

34.行くわけない!

しおりを挟む

 ついに、僕とルイトシオレトさんは怒鳴り合いになってしまう。
 だって、魔物退治なら続けているのに、一体、どう言うことだ?

 すると、ヴァトズフィウズ様が落ち着いた様子で僕らの間に入り、ルイシオレトさんに振り向いて静かに言った。

「つまり、砦の魔法使いが魔物退治をしないせいで、魔物が増えて困っている……そういうことか?」
「ああ。そうだ! お陰で警備隊がその辺りの通行まで制限し始めるし、森に入るだけで許可が必要だし、めんどくせえ! どうしてくれるんだよ!!」

 ルイトシオレトさんは、僕を睨みつけてそう怒鳴るけど、あそこで魔物が増えているなんて話は本当に聞いたことがないし、魔物は確かに定期的に討伐しているはずなのに。

「そんなことを言われても……少なくとも、街道周辺で魔物が増えた話は聞きませんっ……!」
「じゃー、俺が嘘ついてるっていうのか!?」
「そうじゃないですけど……ぼ、僕だってっ……う、嘘なんてついてませんっっ!!」
「てめえ!! 喧嘩売ってんのか!?」

 カッとなったのか、ルイトシオレトさんは僕に掴みかかってきそうになるけど、ヴァトズフィウズ様が彼の手を取って止めてくれた。

「こっちも、争いたい訳じゃない。魔物が増えて警備隊が森に入ることを制限し始めたのだろう? そんなことをされては、俺たちも困る」
「お前らも?」
「ああ。俺たちはこの街を拠点に、森の魔物退治に行きたいんだ」
「なんでだよ? 砦の魔法使いなら、砦が拠点だろ?」
「この辺りの魔物を倒すのなら、ここを拠点にした方が便利なんだ」

 警備隊っていうと、さっき街で会った人達か……
 彼らも、砦の魔法使いに対して腹を立てているようだった。もしかして、ルイトシオレトさんと同じ理由で怒っているのかもしれない。だけど、確かにあの辺りの魔物の数は制御できていたはずなんだけど……

 ヴァトズフィウズ様も腕を組んで言った。

「警備隊が嘘をついているのか…………?」
「そんなわけねーだろ。警備隊だって、腹を立ててるのに!!」

 ルイトシオレトさんに言われて、ヴァトズフィウズ様も「そうか……」と言って考え込んでいる。

 だけど、ここで魔物がいるいないと言い合っていても仕方ない。本当に魔物がいるなら退治しなきゃならないし、その場所に行ってみないと始まらない。

「だ、だったら、僕っ……そこに行ってきます! そしたら、そこの魔物の数も分かるはずだし、ついでに魔物退治してきます! 警備隊が魔物が増えてるって言っている辺りを教えてください!!」
「んなこと言われたって、俺だってそんな詳しいこと知らねーよ!! 警備隊はそんなことまで教えてくれねーんだ!!」

 ルイトシオレトさんは、僕を睨みつけてくる。

 ……警備隊がそんなところまで細かくは教えてくれないか…………魔物が多い辺りを発表したりして、そこに素材目当ての魔法使いたちが集まってしまって、余計に危険なこともあるんだ。

 だけど、それなら森の中を片っ端から探すしかないのか?

 そう思っていたら、ヴァトズフィウズ様がどこか楽しげにニヤリと笑って言った。

「それなら問題ない。これから警備隊も森に入るらしい。あの連中が森に入るなら、俺たちも一緒に行くぞ」
「い、一緒に?」

 そんなの、連れて行ってくれるはずない。不思議に思う僕だけど、ヴァトズフィウズ様はどこか得意げにも見える。

 ルイトシオレトさんだって、そんなの連れて行ってくれるはずないだろって言いだした。

「警備隊は部外者を連れて行ったりしねーよ。冒険者のことだってすぐ追い払うし……あいつらだって、砦の魔法使いには腹を立ててるんだ。連れて行ってくれるわけがない!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました! 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

処理中です...