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49.これから僕はどうすればいいんだ!?
しおりを挟む驚いてずっと見上げていたら、ヴァトズフィウズまで首を傾げてしまう。
「どうなんだ?」
「え…………」
き、急に聞かれても……
だって、そもそもまだ、「好き」って言われた時点で、頭がついていってない。
好きって……
え!!?? 僕のことが??
それって??
……な、なんなんだろう……
ますます混乱する僕。
だって、好きって……なんだ??
僕だって、ヴァトズフィウズ様のことは好き。だって、ずっと一緒に魔物退治してきたんだし、彼といる時間は楽しい。
あ……普段から、相棒って言ってたし、ヴァトズフィウズ様だって、そんな風に僕を好きって伝えてくれたんだ!!
でも……じゃあ、抱きしめてこんな至近距離で「好き」なんて言うか?
好きって……僕が!??
「あ、あの……あ、あ……僕…………あ、あの……あ、えっ……と……」
焦るばかりの僕に、彼は、畳み掛けるように聞いてくる。
「キスは嫌か?」
「はい!!?? え!??」
「キスだ」
「…………き、キス?」
「嫌か?」
「い、いや!? えっと…………いや、とか、そうじゃなくて………………」
嫌……なのか?
嫌ではないけど……
だって、なんでいきなり、キス……なんて話になるんだ!??
焦るばかりで、どうしていいのか分からない。
動くこともできなくて、その腕の中で見上げていると、彼が、少し微笑んだ気がした。
彼の手が、僕の頬に触れた。そして、今度はそこに唇が触れてくる。
「ひゃっっ…………!! へっ……」
ちょっと頬に彼の唇が触れただけなのに、体が、激しく震えた。
びっくりしている僕は、完全に固まってしまう。
けれどヴァトズフィウズ様は、僕の頬から微かに唇を離して囁く。
「嫌か?」
「…………ひゃっ……!」
そんなそばで囁かれたら、くすぐったいです!!
嫌か?
嫌かって、いや……なのか?
それも、すぐには答えられなかった。
だって、ヴァトズフィウズ様のことは好きだ。ずっと一緒に魔物退治だってしてきたし、嫌なはずがない。
だけど、じゃあ、キスもするかって言われたら…………するのか? えっと…………
戸惑う僕に、彼は優しく言った。
「嫌なら、そう言っていい。分からなければ、それでもいい。どちらかなら、俺は引き下がる」
「…………」
引き下がるって……今?
どうしよう……
い、嫌じゃない。
嫌じゃないけど…………急にそんなこと言われても分からない……
ヴァトズフィウズ様は、それが僕の答えなら、そう答えればいいって言ってくれている。
だったらそう答えればいい。
だって、そうしたら引き下がってくれるんだから…………
それなのに、分からないって、言えない…………
彼の手が、僕の手を握る。そこから、強い魔力を感じた。
混乱する僕を、ヴァトズフィウズ様は見下ろしている。そして、優しく何度も頬に触れて、微笑んでくれる。
何一つ、嫌なことはされてないのに…………
く、くすぐったくて、動けない。
なんだか訳がわからなくて、しかも、ずっと抱きしめられて、ますますドキドキしてる。どんどん何が何だかわからなくなる。
な、何か…………返事をしなきゃ……
まだ何も言えない僕に、ヴァトズフィウズ様はにっこり笑って言った。
「……送る」
「へ!?」
「これからギルドに戻るんだろう? 送る」
「あ、でも………………」
送る、なんて、今言われても……
ど、どうしよう…………
ヴァトズフィウズ様の顔、ちゃんと見ることができない。
好き……??
えっ……と…………好きって、なんで、好きなんだ?
とにかく、落ち着かなきゃ。
そうでなかったら、今の状況も理解できないし…………僕はこれから、どうすればいいんだ?!!
起こったことが全く理解できなくて、とにかくその場を取り繕うだけで、精一杯。
こうじゃなくて、もっとしなきゃならないことが、あるはずなのに……
「僕、あっ……僕、大丈夫です! ヴァトズフィウズ様は、一族に会わないといけないんですよね……だったら、僕は……あの…………一人で行けますから」
「…………そうか……」
僕を抱きしめていたヴァトズフィウズ様の腕が緩んでいく。
気づいたら、僕は彼の腕を掴んでしまっていた。
「あ…………」
見上げて、我に返る。
何してるんだ。自分で話をはぐらかしたくせに。
なんで……手を離したくなくなってるんだ……!
焦るばかりの僕に、ヴァトズフィウズ様は微笑んだ。
「やっぱり、送るか?」
「へ!!?? あ、いや……ち、違います! えっと……大丈夫です。あ…………本当に、大丈夫、です…………あの、ただ、ギルドに行くだけだし……」
「そうか……だったら、俺も行ってくる」
「え…………?」
「一族に会いにだ」
「あ、はい……すみません。そ、そうですね…………」
もう、自分がバカすぎて、嫌になりそうだ……さっきから僕、訳がわからない……
そんな、訳の分からない僕のままでいると、ヴァトズフィウズ様は、僕から離れた。
「……悪いな。森の方に、一族が魔物退治に来ているんだ! オフィトインのことを報告しなくてはならない。すぐに戻るから、宿で待っていてくれ!」
いって、ヴァトズフィウズ様は僕を置いて先に帰っていった。
じっと、その背中を見つめてしまう。
僕…………何してるんだ。
こんなことしたいわけじゃないのに。
「あっ…………え、返事っ…………」
どうしよう……
結局僕、何も返事できなかった。
これから……どうしたらいいんだ?
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